娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?
最終回 捨て身の復讐、決着。
12月23日(火)放送分
ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組を放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、10月9日午後10時半から日本テレビ系で放送されるオムニバスドラマ「ノンレムの窓 2022・秋」を紹介する。
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芸人としてだけでなく、数々のドラマ・映画の脚本を執筆して向田邦子賞やギャラクシー賞を受賞するなど、脚本家としても才能を発揮しているバカリズムさん。本作はそんなバカリズムさんが原案や脚本を務めた“新感覚ショートショート”ドラマシリーズで、今年4月に第1弾が放送された。
今回の第2弾は、窪田正孝さん主演の「未来から来た男」、木村文乃さん主演の「放送禁止用語」、木村多江さん主演の「パスワードが知りたい」の3本立てで放送。「未来から来た男」は、バカリズムさん自身が脚本を手がけ、残り2本は原案を担当。「放送禁止用語」は、伊達さん(大人のカフェ)、「パスワードが知りたい」は安部裕之さんが脚本を担当している。
“バカリズムワールド”と一言でくくるのはいささか乱暴かもしれないが、バカリズムさんの脚本には、身近なシチュエーションにちょっぴりの違和感を混ぜたり、逆に大きなテーマの裏側にあるツッコミどころを普通の目線から浮き彫りにするといったものが目立つ。こうした特徴は、バカリズムさん自身がOLを演じた「架空OL日記」や、ヤンキーバトルをOLの世界で再現した「地獄の花園」にも通じる、バカリズムさんの作品ならではの持ち味だといえるだろう。
その点でいえば今回の「ノンレムの窓」も“バカリズムワールド”が存分に楽しめる3本に仕上がっている。「未来から来た男」は、なぜか3年前にタイムリープしたことで「未来から来た男」として人気者になる主人公のその後、「放送禁止用語」は、急増する“放送禁止用語”を極めようとする朝の報道番組を担当するアナウンサーが織りなす喜劇、「パスワードが知りたい」は、夫の隠し事を突き止めようとパソコンのパスワード解析に必死になる妻と夫の暗闘と、身近な世界やありきたりな設定に、アクセントを少しだけ加えることで、独自の味わいを生み出している。
「未来から来た男」は、いわゆる“タイムリープもの”ではあるが、“過去に戻りたいと思っていない”平凡な主人公が“知らない間”に3年前の過去に戻っていたというアクセントが入ったことで、思いがけない展開が繰り広げられる。ギャンブルもせず、毎日変わらない日々を過ごしていたら、過去に戻ったところで細かいことなど覚えていない。万能にみえるタイムリーパーといえども、意外と穴が多いものだと気付かされる。
「放送禁止用語」では、誤解を与えかねない言葉を全廃したことで起きる弊害、「パスワードが知りたい」は、隠されていると余計に知りたくなるという人間のさがをそれぞれコミカルに描いている。いずれも現代社会を舞台にしつつ、現実には少しだけあり得ないアクセントが加わったことで、テーマが大きく際だっている。
かつて藤子・F・不二雄が提唱した「すこし・不思議」をもほうふつとさせる「ノンレムの窓」。今回が半年を経ての第2弾ということで、また半年後に新たな“バカリズムワールド”を見せてほしくなった。
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