舞いあがれ!:“余白”にも思いが詰まったドラマ作り 細かで丁寧な“仕掛け”も好評

NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第1週の一場面 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第1週の一場面 (C)NHK

 福原遥さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)が10月3日にスタートした。第1週「お母ちゃんとわたし」の放送を終え、視聴者からは「今後の半年間が楽しみ」「第1週いい感じ」と反応は上々だ。中でも、舞の子供時代を演じている浅田芭路ちゃん、母・めぐみ役の永作博美さん、祖母・祥子役の高畑淳子さんらの芝居に加え、脚本家や演出陣の思いが詰まっているような、細かで丁寧な“仕掛け”にも反響が集まっている。

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 舞の原因不明の発熱で揺れるヒロイン一家の姿が描かれた第1週。やがて医師の勧めに従い、めぐみは舞を連れて、結婚以来帰ることのなかった故郷の長崎・五島に。そこで舞を待っていたのは祖母の祥子だった……と物語は展開したが、舞台が東大阪から五島へと移った第3回(10月5日放送)だけを取り上げても、そんな“仕掛け”の連続だったように思える。

 冒頭、部屋で“何か”を作っている様子の舞。リビングでは、舞の兄・悠人(海老塚幸穏さん)に「迷惑かけるかもわからへんけど……」と、家に残す息子を気遣うめぐみの姿が。小学6年生の悠人は「迷惑に決まってるやん。受験まであと9カ月しかあらへんねんで」と生意気な口をきくが、そこへ現れた舞には「はよ元気になれよ。お父さんと2人暮らしはきついし」と彼なりの励ましの言葉を送る。

 その後、自分の部屋に戻った悠人は、机の上に手作りのけん玉があることに気づく。悠人がけん玉で遊ぶと、そこには“合かく”と舞からのエールがひと言だけ記されており、悠人は驚いた表情を見せる……。

 お互いをちゃんと思い合う兄妹の優しさが伝わるシーンで、「けん玉のシーンでちょっとうるっときてしまった」「“合かく”に涙腺崩壊」「舞ちゃんの手作りけん玉に涙。みんないい子」などと視聴者の涙を誘った。

 さらに同回では、「悠人のことも、工場のことも任しとき」とめぐみを快く五島へと送り出した舞の父・浩太(高橋克典さん)が、実は祥子に年賀状を欠かさず送っていたことが判明。

 15年ぶりに実家に戻っためぐみは、祥子にぎこちなくあいさつし、「舞の上に、悠人っちゅう男の子がいるとさ。小学校6年生で、頭が良い子で……」と子供たちの話をするが、祥子は「元気でやっとるっちゅうことは知っとった」と、浩太からの年賀状を取り出し、めぐみに見せる。

 めぐみは浩太の心遣いに驚き、うれしそうな表情も浮かべるが、ここでは、年賀状が上下バラバラになっており、SNSでは「実は祥子は何度も見返していたのでは」「細かいところだけどリアル」という声も上がっていた。

 他にも、共に飼育係となり、ウサギの世話をしていた久留美(大野さきちゃん)に舞が送った便箋が“ウサギ柄”だったり、“余白”にも手を抜かないという、制作陣の作品への思いが感じ取れた。

 もちろんこれらは、キャスト陣の好演あっての、意味のある“余白”。10月6日にNHK大阪放送局(大阪市中央区)で行われた局長定例会見に出席した、本作の制作統括・熊野律時(くまの・のりとき)さんは、「特に大きな出来事はまだ何も起こっていないが、母・めぐみを演じる永作博美さんや祖母役の高畑淳子さん、舞ちゃん(芭路ちゃん)らの一つ一つの丁寧なお芝居や表情など、細かい部分をとてもよく見ていただけていると感じる」と手応えを語っていた。

 10日からスタートする第2週「ばらもん凧(だこ)、あがれ!」では、祥子と舞の2人暮らしがスタート。何をするにも臆病な舞に対し、祥子はなんでも自分でできるように導いていく姿が描かれる。そんな舞がどのように成長し、心も体も強くなっていくのか。そして、その先にある福原さん登場へどのようにバトンをつなぐのか。今後の放送にも注目したい。

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