スペシャルドラマ「新年早々 不適切にもほどがある!~真面目な話、しちゃダメですか?~」
スペシャルドラマ「新年早々 不適切にもほどがある!~真面目な話、しちゃダメですか?~」
1月4日(日)放送分
村上春樹さんが1995年の阪神・淡路大震災の後に発表した短編小説が原作のNHKの土曜ドラマ「地震のあとで」。4月5日放送の「#1『UFOが釧路に降りる』」に出演している俳優の橋本愛さんに話を聞いた。映画「告白」(2010年)以来、約15年ぶりの共演となった岡田将生さんの印象や、現場でかけられた言葉、橋本さんをよく知る演出の井上剛さんとの関係とは……。
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「地震のあとで」は、村上さんが2000年に発表した短編集「神の子どもたちはみな踊る」から4編を連続ドラマ化。舞台設定を1995年だけでなく、2025年にいたるまでに置き換え、“今”に続く“地震のあと”の30年の時間を描く。
橋本さんは、岡田さん主演の「#1『UFOが釧路に降りる』」で、小村(岡田さん)の妻の未名(みめい)を演じた。未名は、震災の報道番組を見続けていたが、ある日、小村に書き置きを残して家から姿を消す。
原作を読んだ最初の感想について「分からないの一言、というくらいの奥深さを感じました」と明かす橋本さん。
「何度も何度も読み返していくうちに『もしかしたらこうだったのかな』とか、例えばドラマで唐田えりかさんが演じられたシマオさんは『人間なのか宇宙人なのか、そのはざまの存在なのか』とか考えたりもしたのですが、一つの正解に絞ろうとすると矮小化されてしまう気がして。謎は謎のまま、そのままの気持ちを大事にしたいと思って、それは今の今まで続いている感じです。でも考えることはやめないというか」
分からないものは分からないまま、それでも思考することは止めずに挑んだ未名役。原作では名前すらなく、冒頭の1ページあるかないか程度の記述しかなかったが、「地震というある種の“暴力”によって、自分の中の暴力に目覚めてしまった人、というふうに私はとらえて演じました」と話す。
「小村にとっては、それはある種の暴力であるけれど、未名の中では唯一の希望だったというか。“目覚める”ことで光を見たというか。映像にもなっていますが、未名は『光に向かって進んでいった人』でもあるので」
劇中では、寝食を忘れるほど、震災の報道番組を見続ける未名が登場するが、橋本さんは「意識と体の別離をずっと感じていました」と振り返る。
「原作の短編集の最初に書かれているゴダールの引用(『気狂いピエロ』から。ニュースがベトナム戦争の戦死者を伝えるシーン)、あれが象徴的だなと私は思っていて。ドラマでも、地震の死者や行方不明者を伝えるニュースが流れて、一人一人名前が読み上げられていきますが、どこか無機質な情報でしかなく、死者や行方不明者がどういう人で、どんな人生だったのかは何も伝わらず、ただ100名だったら100名という一塊のものとして届いてしまう。その残酷さがすぐには到達しない感覚。100人が亡くなりました言われても、すぐには痛みが伝わらない、その距離をずっと感じていた時間でした」
やがて「あなたの中に私に与えるべきものが何一つない」などと、残酷な言葉を残して夫の小村の前から消えた未名。小村役の岡田さんとは約15年ぶりの共演で、前回は教師と生徒という間柄だった。
「今回、久しぶりにお会いしたのですが、以前からお兄ちゃんみたいな存在だったので、フラットな感じでお話ができました。印象的だったのが、草原にいる未名を車の中から小村が目撃するシーン。岡田さんが視線を送る場所に私はずっと(目印として)立っていたのですが、全体の撮影が終わったときに岡田さんが『いてくれてありがとう。いてくれて助かった』みたいなことをおっしゃってくださって。それは普段からやっていることだけど、こうやってお礼を伝えられたの初めてかもって思うくらい、自分のやっていることに意味があったんだって、うれしかったです」
演出の井上さんは、2013年度前期の連続テレビ小説「あまちゃん」や2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」などで知られ、橋本さんとも長い付き合いだ。
「井上さんには子供の頃からを知ってもらっているような感じです。私の混沌とした時期もすべて見てきた方なので、何も隠すことはない。同じ熊本出身なのですが、このドラマの撮影の後、熊本で偶然会って。出会ってから10年以上はたちますが初めてのことで、そういった意味でもご縁を感じるというか、少なからず重なる景色を見てきたからこその安心感があるというか、井上さんが作る作品はやっぱり好きだなって思います」
橋本さんから見た井上さんは「全部表に出る方」だとか。
「思っていることや感じていることがにじみ出るタイプというか。悩まれるときはすごくグルグルと考えていらっしゃったりもして、自分もすごく役、作品についても考えて考えてから現場に行くから、それ以上に考えている人がいると安心しますよね、一緒に戦ってくれているんだなって。今回、私の出番は微々たるものではありましたが、一緒に戦いたい、同じ葛藤を抱えたいと思える方と、共に作品を作ることができるのは喜びです」
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2026年01月05日 23:00時点
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