1月27日に公開される劇場版アニメ「金の国 水の国」(渡邉こと乃監督)。岩本ナオさんの人気マンガが原作で、主人公の一人、金の国の王女・サーラの声優を務めているのが浜辺美波さんだ。今年は、同作以外にも、ヒロインを演じている映画「シン・仮面ライダー」(3月公開)や、2023年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」(春から放送)が控えるなど、さらなる飛躍の年になりそうな予感がする。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し、芸能界入りを果たしてから10年以上がたち、いま何を思うのか。22歳の“現在地”に迫ってみた。
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昨年、6年ぶりに開催された第9回「東宝シンデレラ」オーディション。グランプリには埼玉県出身の小学4年生・白山乃愛(しろやま・のあ)さんが選ばれた。浜辺さんもグランプリ発表会にプレゼンターとして登場。“二つ下”の後輩の誕生を見守った。浜辺さんが同オーディションに参加したのも白山さんと同じく小学校の高学年の頃で、オーディションのときのことを「自分がこんなにもできないということを、きちんと分かったときですね」と振り返る。
「今考えると、年齢的には下の方で、中学生と同じレベルでできないのは仕方のないことだったと思うのですが、当時は『なんでできないんだろう』と思いました。当時、あの場(オーディションでの合宿など)ではできなくてはいけないと思っていたので、自分と他人とを比べてしまったりもしました。学校の授業でも、かけっこでも、それまで何かを張り合おうと思ったことはなかったのですが、頑張らなくてはいけない場所に立ったとき、『自分はこんなにもできないんだ』『私って不器用なんだ』と感じて。だから初めて自分としっかり向き合った期間だったなと思います」
当時の浜辺さんを知るスタッフによると、自分で苦手なことを理解した上で、それを補って余りあるほど、負けず嫌いな性格だったとか。10年以上がたったが、浜辺さんは、今も「負けず嫌いは変わらずな気がします」と認めている。
「それがいいときもあれば、悪い方に作用することもあるのですが。昔は人と比べて、だったのが、今はそれがまったくなくて。基本的に自分に対しての負けず嫌いに変わりました。『なんでこんなにできないんだ』と自分に怒ったりもします。自分に対して厳しくなれるので、負けず嫌いな性格が前よりもいい方に働くようになってきたと思います」
負けず嫌いの「質」が変わったと話す浜辺さん。では、女優として作品や役へと駆り立てる「原動力」は何であるのか。以前のインタビューでは「劣等感」を挙げていたが……。
「負けず嫌いな性格と一緒で、根本的な部分は前と変わらず『劣等感』がまず最初にあるのだと思います。加えて、今できるところまで全力を尽くさないと『いつか後悔してしまうのが怖いから』というはあるかもしれないです。いつかの自分のため、もしかしたら他のことをやりたいと思うときが来るかもしれない、子供を産んで、お母さんになって、子供のことを最優先にしなくてはいけないときが来るかもしれない、そういうときに思い残すことがあるのは嫌だなと思っていて。逆に思い残さないところまで今やっておくことで、やっぱりこれ(女優業)が一番だと再確認できるかもしれない。だから、常に“天井”をたたけるくらいまで、自分の中で頑張りたいと思っています」
10代前半から作品を重ね、主演やヒロイン役も数多く経験してきた浜辺さんだが、まだ22歳。今後については「まずは、この仕事を長く続けていきたい、というのがある」という。
「金の国 水の国」でも、金の国の誰からも相手にされないおっとり王女・サーラを演じ、見事な声優ぶりを披露しているが、浜辺さんは「映画とドラマ、主戦場をどちらとも決めず、それこそ『金の国 水の国』のような声のお仕事だったり、あとは舞台だったり、若いうちは幅広く作品に出演できたらいいなと思っていますし、まだまだいろいろなことを学びたいなとも思っています」と向上心をのぞかせていた。
※クレジット(敬称略)
スタイリスト:瀬川結美子/ヘアメーク:進藤郁子(資生堂)
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