SOPHIA:18年ぶり大型ライブイベントへの思いを語る 「獅子に翼」は「未来への挑戦の場」

ロックバンド「SOPHIA」 写真:福岡諒祠(GEKKO)
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ロックバンド「SOPHIA」 写真:福岡諒祠(GEKKO)

 5人組ロックバンド「SOPHIA」が、10月9日にKアリーナ横浜(横浜市西区)で大型ライブシリーズ「SOPHIA LIVE 2023 獅子に翼V」を開催。このライブの模様がWOWOWで生中継される。「獅子に翼」は、自身初の大規模野外コンサートとなった1999年の国営昭和記念公園(東京都立川市)での初回公演から、2005年のデビュー10周年を記念した第4回目の西武ドーム(埼玉県所沢市)公演まで屋外で行われてきた。実に18年ぶり、5回目となる今回は、初の屋内開催となる。ボーカルの松岡充さんに、ライブに向けての抱負や意気込みを聞いた。

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 ◇「最強がさらに最強になる」という願いを込めた「獅子に翼」

 SOPHIAは1994年、松岡さんが声をかけ、インディーズ時代から付き合いのあったメンバーで結成。「都(啓一さん)に関しては、音楽専門学校時代の同級生で。それぞれがやっていたバンド活動を見てきて、僕がSOPHIAというものを描き出してから、この4人を集めたんです。それぞれが僕のことだけしか知らなくて、メンバー同士があまり知らないところからスタートしたので、僕も“こいつらを背負っているんだ”という意識がすごく強くありました」と松岡さんは振り返る。

 1995年のデビュー以来、全都道府県ツアーを3度行うなど、異例の会場かつ独自のスタイルで多くのライブを行ってきた。その中で、「獅子に翼」は「その時期の集大成であり、一番大きなSOPHIAのライブイベント」と松岡さんは位置づける。タイトルは、古来のことわざ「獅子に鰭」「虎に翼」に由来するという。強いものが、ますます強く有利になることのたとえで、「地上を制した獅子が、翼を得ることによって天空をも支配する」ように「百戦錬磨でライブをやり続けているバンドが、さらに上を目指すという、最強がさらに最強になる。そんな願いを込めてつけました」と明かす。会場についても「オーディエンスも含め、見える景色、空……その空間がすべてSOPHIAで埋まってるんだ、というのを感じたくて……」と、過去には屋外へのこだわりもあったという。

 ◇2度の活動休止を経て遂に完全復活へ

 「獅子に翼」は、2010年のデビュー15周年のタイミングで開催が決定していたが、キーボードの都さんが胞性悪性リンパ腫(血液のがん)と診断され、治療に専念するためにSOPHIAは1度目の活動休止を余儀なくされる。当時の心境について、松岡さんは「『獅子に翼』ができなかったということもあるし、15年間ガムシャラに活動してきた中で、都の病気は僕の人生においても大きな出来事で、SOPHIAとしても初めての挫折だった」と吐露する。また翌年に都さんが復帰するも、「獅子に翼」の開催はかなわぬまま、2013年に再び活動を休止。5人が再集結したのは、それから9年を経た2022年10月、日本武道館でのステージだった。きっかけは2020年、コロナ禍で世の中が停滞、激変したことだったという。

 「コロナでエンタメ業界が大打撃を受けて、“集まってはいけない。声を出してはいけない”というマイナスの部分ばかりがフィーチャーされてしまうのが悔しくて。『エンタメの力があるから、実はみんな頑張れるんじゃないの?』って。当初は2、3年で復活するつもりだったのが、あれよあれよという間に9年たって、ファンの方たちを待たせたまま10年は迎えたくないなという気持ちと、こんな時代だからこそエンターテインメントの力が必要なんだから、復活するのは今しかない、という強い思いがありました。結果的に5人全員がそろったのは、一番願っていた形だったので、それはすごく喜びでした」と経緯を明かす。

 日本武道館での復活以降、地元・大阪城ホールでのライブ、自身初のアコースティックライブ「MTV Unplugged」など、意欲的に活動を続ける中で、「『獅子の翼V』は、この9年ぶりの復活の総まとめ。これをやらなければSOPHIAの完全復活は宣言できない、と思ってます」と力を込める。

 ◇「一人一人と向き合えるライブを」

 2005年に行われた前回の「獅子に翼IV」以来、18年ぶりの「獅子に翼V」の舞台は、シリーズ初の屋内会場となるKアリーナ横浜。2万人を動員する世界最大級の音楽特化型アリーナとして9月29日に開業したばかりの会場だ。

 「最初は、『獅子に翼』は野外でオープンエアな感じ、というのが頭にあったんですけど、Kアリーナ横浜を作った会社の運営チームのインタビューを読んで、その発想にとても共感したんです。異業種である不動産業の方なんですけど、『エンターテインメントは、もっといろんな人たちの支えになるんじゃないか』ということで、この一大プロジェクトを立ち上げた。エンタメがコロナで元気がないというときに、新しいアリーナをオープンさせて自分たちで運営するって、なかなかないですよね。異業種から攻めるのはすごいなと思ったし、『僕たちはやったことがないし、分からないけど、分からないからこそできることがあると思う』というコメントにすごくチャレンジスピリットを感じたんです」

 そんなKアリーナ横浜での本公演は「もちろん演出も必要かもしれないけど、ナチュラルで、すごくシンプルな音楽を届けるというか、その時に感じたことをMCで話す“素舞台”というか。そういうライブになればいいなと思います」と話し、さらに「広い会場ですけど、ライブハウスで“目の前にいる”みたいな感覚になれるような、遠くないライブ、一人一人と正面向き合ったライブを目指せたらと思ってます」と抱負を語った。

 ◇「他のライブとは違う特別な空間」で「全力で燃え尽きたい」

 「獅子に翼」は「挑戦の場所」だという松岡さん。「僕の中では、セットリストや演出など、その当時のまとめ的なメニューをやることによって、これを全部卒業して次の未来へ行くぞ、というチャレンジの場だったんです。それまでやってきたことに対するお別れというか、ここから1回、今まで身につけたもの脱いで、降ろして、次に進んでいくんだっていう覚悟がないと、SOPHIAにとってこの先の未来は見えないなと思っていて。そういう意味では、他のライブとは違う特別感があります」と実感を込めて語る。

 当日を楽しみにしているファンに対して、「その瞬間のパワーって、やっぱりすさまじいものがあって、それを感じていただけたらうれしいです。『やっぱりSOPHIAはライブバンドだよね』って自分も感じたいし、思い出だけのSOPHIAじゃなくて、見ている方たちが、今を生きている感覚というものを実感できるようなライブにしたいです。それぞれの人生の場面に僕たちの楽曲が流れて、いろんな出会い、喜び、悲しみもあったけど、『今もあきらめずに生きてるんだ』って感じられて、それを共有できる。その瞬間がいかに素晴らしいか。みんなにとって、そういう特別な空間や時間になると思います」とメッセージを送る。加えて「これが最後になるかもしれない、と思うぐらい全力で燃え尽きたいと思ってます!」と力強く語った。

 ◇メンバーからもコメントが到着

 なお、公演を目前に控え、他の4人のメンバーもコメントを寄せている。ギターの豊田和貴さんは「いまだにオリジナルメンバーでバンドができる喜びと感謝の気持ちを、最高のプレーとパフォーマンスで表現したいと思います」、ベースの黒柳能生さんは「9年ぶりにバンドが復活して、18年ぶりにこの『獅子に翼』を復活させる。ゾンビのようなSOPHIAですけど(笑い)、ビシッとしたライブをやりたいと思いますので、お楽しみに!」、ドラムの赤松芳朋さんは「僕たちにこのような場所を与えてくださってありがとうございます。みんなが楽しめるライブにしたいと思います」、キーボードの都啓一さんは「『獅子に翼V』ができることは喜びでしかないので、最高な1日にしたいです!」と意気込みを語った。(取材・文/水白京)

 *……WOWOWでは、「生中継!SOPHIA LIVE 2023 獅子に翼V」と題して、10月9日午後4時からWOWOWライブとWOWOWオンデマンドで放送・配信する。生中継直前の同日午後3時からは「SOPHIA Special Program “獅子に翼”」と題して、ライブの見どころやメンバーのインタビューなどで構成する特集番組をWOWOWライブとWOWOWオンデマンドで放送・配信。さらに11月と12月には“獅子に翼II”と“獅子に翼IV”を放送・配信し、SOPHIAを4カ月にわたり特集する。

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