名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
中国のファンタジー小説が原作のアニメ「龍族 -The Blazing Dawn-」。中国随一の映像美を誇るアニメスタジオ・HANABARA Animationが手がけ、大手配信プラットフォーム・テンセントビデオで、累計再生回数が5億7000万回を突破した人気作で、日本語吹き替え版が4月6日にTOKYO MXほかで放送をスタートした。普通の高校生として平凡な日々を過ごしていた主人公の青年ルー・ミンフェイが、ある日、人類の敵である“龍”を殺す精鋭を育成する学院に入学することになり、龍王たちを討伐する戦いに身を投じていく……というストーリー。日本語吹き替え版では、声優の山下大輝さんがルー・ミンフェイを、村瀬歩さんがミンフェイを「兄さん」と呼ぶミステリアスな少年、ルー・ミンゼイを演じている。二人に作品の魅力、収録の裏側を聞いた。声優として「ほぼ同期」という二人にお互いの魅力についても語り合ってもらった。
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山下さん 非常に美麗な映像という印象が強いです。背景の一つ一つに対しても、すごく手間ひまをかけていて、こだわりが詰まっているなと思いました。アクションシーンであったり、壮大な学院、カメラワークなどが本当に緻密に作られていて、スタッフの方々の熱意を感じます。
村瀬さん やはり映像のきれいさが、今まで体験したことのないレベルでした。「龍族」は、2Dアニメーションではあるのですが、3D的な表現と2Dの良いところを、2次元の画面に落とし込んでいる感じがして。どのような作画過程を経ているのかは分からないのですが、頭の中で想像したものをそのまま映像にしているかのようなすごさを感じました。本当にびっくりしました。レベルがすごいな!と。
山下さん 現代とファンタジーをミックスしているような世界観なのかなと思いました。登場するキャラクターも多国籍で、中国人のキャラクターだけではなく、日本の名前のキャラクターもいれば、ヨーロッパ系のキャラクターもいます。龍を倒すという目的の下、さまざまなところから優秀な人材が集められた学院の物語というと、すごく壮大なのですが、学生らしいわちゃわちゃとした雰囲気とのギャップもあったり、そうかと思うと、身近に死があるシビアな世界でもあって。10代、20代前半のキャラクターたちが、命のやり取りをしているところが、「ちょっと恐ろしいな」とも感じました。いろいろな要素があるので、幅広い層が楽しめる世界観作りになっているのだろうなと思いました。
村瀬さん いろいろな登場人物を見ていて、正直な人がすごく多いなと思いました。印象的だったせりふとして、ミンフェイがミンゼイに「クソガキ!」というシーンがあって。ミンゼイは、見た目は小さくて可愛らしいのですが、人を手玉に取るようなこともしているから、確かにクソガキ感があるんですけど、日本であればもう少しマイルドな言い方になるのかなと。そこに文化の違いを感じる部分もありました。自分の生き方とか考え方、学院での振る舞いに関しても、すごく正直な人が多くて、いろいろな人の思惑が分かりやすく交差していくから、見ていてもストレスがたまらないというか。
村瀬さん すごく速いです。最初、アフレコしている時は、他の方の収録を見ながら、アニメとして見たら「速くてついていけないのでは?」と一瞬思ったんですけど、実際に完成した映像を見ると、邦画や外画のしゃべりのペースに近いというか。アニメーションのちょっとゆったりした感じの“聞かせる”しゃべりというよりは、意図を持って話しているやり取りを“見て”理解していくというか。会話のテンポを楽しませる作りになっている。これだけ映像がきれいで、視覚的にいろいろな情報を得られると、このくらいの速度でも伝わるんだなという発見があって、すごく面白いなと思いました。
山下さん ミンフェイは、一見秀でた能力がない平凡なキャラクターという印象なのですが、あることをきっかけに、自分にも何かしら可能性や才能があるのではないか?と思い始める。それを解き明かしていくキャラクターかなと思いました。話が進むにつれて、自分自身というものを知っていく物語だなと。なので、演じていても謎がたくさんあって、一つ謎を解き明かしたら、まだほかにもあって。彼自身、自分が何者なのかを分かっていない状態で巻き込まれて、物語が進むにつれ、いろいろなことを知っていくので、そういう過程が演じていても楽しい。ミンフェイと一緒に知っていくのが面白くて、視聴者の皆さんとも同じ目線で楽しめるようなキャラクターだなと思いました。
村瀬さん ミンゼイは、印象としてはミステリアスで、どちらかというとダークな雰囲気があって「あんまりいい人じゃなさそう」みたいな(笑い)。
村瀬さん 「ミンフェイに気付いてほしい」「何かをしてほしい」みたいな、何か目的があるんだろうなとは感じているのですが、ビジュアルも原音のお芝居も、ミステリアスというアイコニックなところがすごく目立っているので、そういう部分を大事にしてお芝居したいなと思っています。制作の方にミンゼイのせりふにどんな意図があるのか聞いたことはあるのですが、向こうでも協議した結果、僕自身に伝えられることも取捨選択されている感じがして、「あんまり知りすぎないほうがいいのかな」と思って。「ミンゼイが次に何を言うんだろう?」と、ドキドキしながら台本を読んでいる感じがありますね。
山下さん ミンフェイは、情緒の切り替えがすごくて、とんでもない切り替わり方をするんですよ。
山下さん 村瀬さんもテンポと言っていましたけど、テンポ感プラス情緒の100か1かみたいな切り替えが、とても大変でした。ミンフェイの場合、非常に高いテンションのシーンが突然やってくるんですよ。その上で、めちゃくちゃテンポも速くなって「どうしてここでこれが出た?」と思ったりして(笑い)。
村瀬さん たしかにすごいよね。
山下さん 台本をチェックしながら「ここでこれが来るのか。さあどう演じよう?」となることも多かったです。ただ、日本っぽさにも変えていきたいなと思っていて。原音の方の声の出し方は、上のほうで出すほうが多いなと思ったんです。そして、その一定の高さのまましゃべる印象でした。これを日本語にした時に、音やテンション感を下から上までいろいろ使ったほうが聞いていて面白いなと思ったので、原音にあまり縛られずにやってみようと。うわーっ!という高いテンションで話していたとしても、下のほうからやってみようかな?とか、アプローチの方法を変えて面白くできたらいいなと思ってチャレンジしてみました。シリアスとギャグの切り替えを意識的にやっているところもあったり。そこが難しくもあり、面白いところでもあると思っています。
村瀬さん ミンゼイは、今までの流れとは関係なく急に話し始めるので、どうしようかなと。ただ、ミンフェイに何を伝えたいのかは置いておいて、「伝える」という意志は持っている。「そのままでいくと死ぬぞ」というような思いを持って、ミンフェイに何か大事なことを伝えるというか。忘れちゃいけなさそうな単語は、ちょっと立てるようにしたりとか、そういう意識ではやっていました。あと、ミンゼイが暗い表情で涙を流すシーンがあったのですが、なぜ泣いているのかは今の時点では分からなくて、「さあどうするか?」みたいな(笑い)。とはいえ、ありがたいことに、僕もいろいろ作品をやらせてもらって解決する手段はいろいろ持っていたので、その手段がハマったかなと。
山下さん いろいろ武器があるもんね。どの武器を使ったら合うんだろう?みたいな。
村瀬さん この作品は、僕だけじゃなくて、山下さんもそうだし、各々が持っている武器をふんだんに使って楽しんでいる感じがあります。
村瀬さん 大きく声の種類を四つぐらいに分類した時に、我々は「高音、若い役をやる」という同じゾーンに入ると思うんですけど、声質というか、役割が全然違っていて。山下さんの声は、すごくエモーショナルというか、熱を持っている。ギャグをやっても面白いし、叫びとか声を張った時に、すごくドラマを感じるというか。そういうところが楽器としてめちゃくちゃ魅力的だなと思います。
山下さん うれしい! 僕も同じようなことを思っていて。オーディションでは、少年役とか同じキャラクターを受けていることも多いんです。
村瀬さん そうだね。
山下さん 二人とも、いわゆる“少年声”のくくりには入っているのではないかなと思うのですが、その中でカテゴライズすると全然違うところにいる。僕の声を「熱を持っている」と言ってくれたんですけど、温度感がやっぱり違うなと。ミンゼイもそうですけど、物事を冷静に見るとか理論的にとか、ちょっと知的な部分、温度としては冷たい部分を演じると、ヒヤッとするような、自分では出ない温度感の芝居をするなと思っていて。お互いにすみ分けがあって、大きいくくりは一緒だけど全然違うというのが面白いですね。あと、滑舌がめちゃくちゃ良い!(笑い)。
村瀬さん 滑舌はたしかに良いかも(笑い)。
山下さん そういった滑舌の良さもあって、知的な部分がさらに増して聞こえるんですよね。難しい文章を的確にすらすら言えるって、頭が良いプラス、クールな印象に聞こえるんです。それは自分にはないし、すてきな部分だなって思います。
村瀬さん それこそ9年、10年前は、多分同じ役を受けまくっていて。お互いに10年くらいたって、「こういう役は自分の声が乗りやすい」「芝居的にもしゃべりやすい」とか、そういう感覚がお互いにあって、その結果、お互いの得意なところで分かれていって。そんな中で、普段はやらないような役をやると、意外と楽しいなと思って。逆に「山下さんもこういう役をやるんだ」とか、「村瀬さんもこういう役をやるんだ」みたいなこともあるだろうし、面白いよね。
山下さん そうだね。全然楽器が違うし、多分芝居のアプローチ方法も違う。お互いに歩んできた道のりは違うけど、お互いにちゃんと「歩んでいる」感というか。
村瀬さん そうだよね。お互いの良き武器を磨いていって。
村瀬さん そうですね。さっき言っていた役割的なところが、そのまま役にも現れているし。
村瀬さん この二人だけじゃないですけどね。「龍族」には出ていないけど、花江(夏樹)くんもそうだし、みんな血で血を洗うかのごとくオーディションを受けてきてね(笑い)。
山下さん きっとみんなも受けているんだろうな……みたいな。
村瀬さん そうそう。オーディション会場に行くと「やっぱり」みたいなのはあるよね。でも、3、4年くらい前から受ける役も分かれ始めたのかな。前よりキャラクターの幅が広い作品も増えているし。
山下さん そうだね。ジャンルが増えたなと思います。
山下さん 今後は、学院に外部が関わってきて、事件が起きます。これまではちょっとゆるめな話だと思っていたところが、そこで一気に深刻な雰囲気になるというか。ただの学校モノではなく、もっと複雑で深いところがだんだんと分かってくるのではないかと。スケールも広がって、龍というものへのイメージも、空想上のものから一気にリアルに感じられるようになってくるかなと思います。
村瀬さん 山下さんが言ったように、日常がだんだんと変わってく感じというか。ミンゼイは、ミンフェイをそそのかすようなことを言ったりとか、意味深なことを言ったりする。ポイントとしては、ミンゼイの行動によって、ミンフェイは何とかうまくやっていけるヒントや力をもらっているから、みんなミンゼイの存在に感謝しなきゃいけない。それは忘れないでほしい(笑い)。ただ意味深なことを言うだけのクソガキじゃない。ちゃんと良いことをしていますから。
山下さん そうだね。導いてくれているからね。その導きが正しいか否かは分からないけど(笑い)。
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