インタビュー(1)の続き。人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメークシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の第一章「黒の侵略」が7月19日から上映される。1980年公開の劇場版第3作「ヤマトよ永遠に」に新解釈を加え、全26話、全七章に再構成する。「宇宙戦艦ヤマト」の音楽を手がけた故・宮川泰さんの息子である宮川彬良さんが、これまでのリメークシリーズと同じく音楽を担当するが、「ヤマト3199」は、兼松衆さんの名前もクレジットされている。兼松さんは「白い巨塔」「黒い十人の女」「クロックワーク・プラネット」など数々のドラマ、映画、アニメの音楽を手掛けてきたことで知られているが、「宇宙戦艦ヤマト」シリーズに参加するのは初めて。なぜ、「ヤマト3199」の音楽は、宮川さんと兼松さんに「宇宙戦艦ヤマト」の音楽の魅力を聞いた。
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宮川さん 敵の音楽、ヤマト側の音楽……などと分かりやすい線引きがあるわけではありません。重要だったのは、メロディーをちゃんと作ってほしかった。「ヤマト」はメロディーが大事。そこをもがいてほしかった。
兼松さん 特にこうしてほしいという指示はありませんでした。これまでの「ヤマト」は意識しつつ、トレースではなく、ある程度は自分のスタイルでやってみました。
宮川さん もがいているんです。これだね!と思いました。彼がすごいのは、この劇伴を作品として捉えているところです。映像にあてるだけの音楽の切れ端のようなものではなく、きちんと演奏会でも演奏できる作品として取り組んでくれた。頭が下がるような思いでした。
兼松さん 「ヤマト」の音楽に参加させていただけるなんて、とんでもないことです。昔のスコアをアレンジするのかな?と思ったけど、一員として迎え入れていただいたので、その思いに応えたい気持ちで書きました。
-ーこれまでの「宇宙戦艦ヤマト」の音楽や譜面に触れて感じたことは?
兼松さん メロディーなんですよね。全てにメロディーがあって、全て歌えるんです。
宮川さん 宮川泰は「歌心」と言っていました。僕は、それを理解するまでに時間がかかってしまいました。彼は、1931年生まれだから、中高生くらいの時に戦争を経験しています。終戦後、「リンゴの唄」が大流行しました。マイナー調の曲だけど、明るく感じた。戦争が終わり、自由になって。マイナーのメロディーが甘く輝かしく聴こえたんです。そこにヒントがあると思っています。僕が20歳そこそこの時、父に「なんで歌心がないんだ」と言われた。厳しいこと言うな……と思ったけど、父には僕が平和ボケしているように見えたのかもしれない。
宮川さん 今は歌心が少なくなっている傾向にあるかもしれません。
兼松さん 僕は、仕事のことはさておき、メロディーにしか興味がないんです。メロディーがなくて格好いいものももちろんあるのですが、やっぱりメロディーなんです。こんなにメロディーを書いていいんですか!と新鮮でした。
宮川さん 宮川泰は全打席メロディーですから。
宮川さん 何が残るか分からないけど、1974年に作られたものが、半世紀残っています。いろいろな意味でエポックメーキングだったんでしょうね。
-ーそれが兼松さんに継承されていく。
兼松さん 重荷ですかね(笑い)。
宮川さん 時として立場が変わるものですから。僕だって若手だったんだから(笑い)。
宮川さん まだ一山ありますよね。二山かな? ここまで豪華にオーケストラで収録するアニメはなかなかないですよね。バイオリンだけで14人ですから。弦楽器は30人。
兼松さん 多いですよね。全員が同じスタジオで演奏しますし。
「宇宙戦艦ヤマト」の音楽は、宮川さんから兼松さんに継承される。互いが刺激を受け、「ヤマト3199」はまた新しい音楽を響かせているようだ。
宮川彬良×兼松衆インタビュー(1) 継承される「宇宙戦艦ヤマト」の音楽
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