名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
人気演劇「TRUMPシリーズ」の完全新作テレビアニメ「デリコズ・ナーサリー」が8月にTOKYO MXほかで放送をスタートした。「TRUMPシリーズ」は、劇作家の末満健一さんによるオリジナル演劇で、2009年に第1作「TRUMP」が上演され、吸血種と人間種が共生しながらも反目する社会で、伝説の吸血種“TRUMP”の不死伝説に翻弄(ほんろう)されていく人々の血と命を巡る1万年以上にも及ぶ物語が描かれてきた。「デリコズ・ナーサリー」では、ダリ・デリコ、ゲルハルト・フラら吸血種の貴族による“子育て”が描かれる。ゲルハルト・フラを演じる小西克幸さんに作品の魅力、演技のこだわりを聞いた。
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「デリコズ・ナーサリー」は、「TRUMPシリーズ」初となるアニメ作品で、森田成一さんが名門貴族・デリコ家の当主で、将来を嘱望されている血盟議会のエリート議員のダリ・デリコを演じるほか、ダリと同期の血盟議会議員のゲルハルト・フラを小西さん、エンリケ・ロルカを下野紘さん、ディーノ・クラシコを佐藤拓也さんが演じ、豪華声優が集結した。4人の吸血種の貴族が子育てと殺人事件解決に奮闘することになる。
小西さんが演じるゲルハルトは、第1作「TRUMP」にも登場するアンジェリコ・フラの父で、「グランギニョル」といったシリーズ作品に登場してきた。小西さんは、「TRUMPシリーズ」について「設定厨にはたまらない作品」と魅力を語る。
「長く続いている舞台作品で、以前『TRUMPシリーズ』の年表を見せていただいたのですが、とんでもない量があって、『この歴史はすごいな』と思いました。歴史があって、『TRUMPシリーズ』ならではのワードがたくさん登場して、この情報量の多さにより、どんどん沼にはまっていく」
「デリコズ・ナーサリー」は、ダリ、ゲルハルトらの子供たちがメインで登場する第1作「TRUMP」の13年前が描かれる。また、「デリコズ・ナーサリー」の1年前を舞台とした「グランギニョル」には、ダリとゲルハルトがメインキャラクターとして登場している。二人は、吸血種の統治機関・血盟議会の同期でありライバルで、本作でもゲルハルトがダリにきつく当たるシーンが描かれる。
「ゲルハルトは、4人のメンバーの中でも一番の堅物というか。自分の血筋や任務をものすごく大事にしている生真面目な人という印象があります。だから、ダリに対して、『お前はちゃんとできる力があるのに、なんでやらないんだ』と、もどかしさを感じて、常にイライラしている。ダリとは昔からの付き合いで、腐れ縁というか、どこか気になるところがあって、放っておけばいいのに、ずっと面倒を見ている。結局、ダリと一緒に子育てをすることにはなるのですが、どう表現していいのか分からないだけで、元々母性、父性というものはあるキャラクターなのかなとは感じました」
小西さんが演じる上で大切にしたのは、そうしたゲルハルトの生真面目さと、ダリとの心の距離感だった。
「親友でもないし、“同僚”という部分が強いとは思うのですが、長い付き合いがあっても仲良しごっこをしているわけではないので、心を割って一緒にいる二人でもないと思うんですよね。だから、ダリに対して言葉を発する時の距離感は意識しました。4人は子育てをしながら、謎の連続殺人事件の捜査という任務も遂行しなければいけないので、みんなで大変なことをやることによって、どんどん距離が近付いていくような感じになっていけばいいのかなと思って、演じました」
生真面目なゲルハルトは、慣れない子育てやダリに対して、常にイライラしているが、小西さんは「その怒りがヒステリックなものになってしまうのはちょっと違う」と感じたという。
「あくまで任務であったり、貴族としての距離感であったりを踏まえての怒りというか。彼の人となりとして、子供になりすぎないようにしました。簡単に怒る、声を荒らげるのは普通であれば子供がすることなので、そうではなくて、任務を行わないダリに対して叱責する。“叱責”という言葉が一番近いのかもしれないです」
「デリコズ・ナーサリー」の収録は、小西さんら父親キャストと、子供たちを演じるキャストとに分かれて行われることが多かったという。小西さんは子供チームの収録を見る機会があり、「めちゃくちゃうるさくて!(笑い)」と驚いたという。
「父親たちは、子供たちが騒いでいるそばで、任務のための会議をしているんですけど、こんなにうるさかったんだ!と思って、面白かったです。普通のアニメでは、メインのキャラクターのせりふが聞き取りやすいように周りのボリュームを落とすと思うのですが、『デリコズ・ナーサリー』の場合はそうではなくて、あのアンバランス感は好きですね」
アニメでも「TRUMPシリーズ」を手がける末満さんが原作・シリーズ構成・脚本を担当しており、舞台的な演出が織り込まれているという。
「子供がいる中で会議をするシーンもそうですが、本編の裏でも、ちゃんと物語が進んでいるということが明確に記されている気がしました。舞台はやはり生ものなので、同じ演目でも、演じている方の感情、演出が変わっていきますよね。アニメの収録でも、監督から『これを聞いてみたい』『こんな感じはどうでしょう』と同じせりふでもいろいろなパターンを要求されて、いろいろな道を一緒に作ってくださって、舞台を作っているような感覚だったんじゃないかと思います」
「デリコズ・ナーサリー」の魅力の一つは、吸血種の貴族たちが慣れない子育てに奮闘するシーンだ。小西さんも「子供たちへの距離感は非常に難しい」と語る。
「ゲルハルトたちは、本来、子育ては乳母に任せるものであって、自分の仕事じゃないと思っている。貴族はもっと別のやらなければいけない仕事があって、それが自分の使命だと厳格に考えていると思うので、いざ子育てをやるとなると、どう接していいか分からない。だから、泣いている赤ん坊を渡されて『泣くな!』と言ってしまう。圧をかければ泣きやむと思っているんですよね(笑い)。全く慣れていない。今後、彼らの子育てがどうなっていくのか、ちゃんと向き合うのか、気になるところですよね」
厳格で生真面目なゲルハルトを演じることは、小西さんとって挑戦でもあったという。
「これまでゲルハルトのようなキャラクターを演じることがなかったので、オーディションで選んでいただいた時は『本当に俺なの?』とびっくりしたんです。キャラクターを作るところから始まって、演じることは大変でしたけど、楽しかったです。今回は、子育てがメインになるので、『TRUMPシリーズ』の皆さんがよく知っているゲルハルトというキャラクターがどんな子育てをするのか、見ていただけるとうれしいです」
「TRUMPシリーズ」の新たな物語がアニメで描かれる「デリコズ・ナーサリー」。小西さん演じる生真面目なゲルハルトがどんな“父”の顔を見せるのか、注目したい。
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