今をときめくスターやアーティストにも、初出演、初イベント、初ライブなど必ず存在する“はじめて”の瞬間。そんな未経験ならではのドキドキの瞬間を、本人に振り返ってもらうのが「私のはじめて」です。今回は、伊藤沙莉さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」(総合、月~土曜午前8時ほか)に航一(岡田将生さん)の長男・朋一役で出演中の井上祐貴さんに、「ウルトラマンタイガ」(2019年)の撮影初日を振り返ってもらいます。
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「ウルトラマンタイガ」(2019年)で主人公をさせていただきました。それがデビュー作ではなくて、その前にミュージカルに出たり、映画「ニセコイ」(2018年)でクラスメートの1人として出演したりと、ちゃんとお芝居を経験してから出たんですけど、いかんせん、何か背負ってるものが違いました。
「ニセコイ」のとき、約1カ月ぐらい映画の撮影に参加させてもらいましたが、今思うと何も吸収してなかったなって。
「ウルトラマンタイガ」では、クランクインの日がけん引の撮影で。カメラを構えている前の車にけん引されて、僕らが車の運転をするシーンだったんです。
お芝居は「よーい、スタート」で始めると思うんですけど、僕はその「よーい、スタート」とかも知らないくらいだったので、車が動き出したらもう、始まると思ったんですよ。
本当は車が動き出して、あるポイントを通過したら、「よーい、スタート」だったんです。多分スタッフさんたちの会話をちゃんと聞いていたら、絶対にわかったはずなんですけど、僕は自分のことで精いっぱいだったので、そんなの耳に入ってなかった。
車が走り始めて、せりふが僕からだったんで、バーッと話し始めちゃったんです。そうしたら、「まだまだ」ってスタッフさんが慌てていて。
僕が始めちゃったせいで、もう1回くるっと回ってスタート地点まで戻って……。それがクランクインの日。ああ、これは大変なことになるぞって、その日に覚悟を決めましたね。
それぐらい現場のルールがわかってなかったというか。けん引だったからよりわからなかったっていうのもあるかもしれないですけど、でも「よーい、スタート」って言ってから芝居を始めるのなんて、「ニセコイ」でちゃんと見ておけばわかったはずなのになって、今となっては思います。でも、いっぱいいっぱいだったんですね。無知だったなって。
今はもうそんなこともあったなと、笑いながら話せるようになりました。
1996年6月6日生まれ、広島県出身。2017年に「ホリプロタレントスカウトキャラバン」に他薦で応募し、審査員特別賞を受賞。翌年、ミュージカル「ピーターパン」で俳優デビュー。2019年、特撮ドラマ「ウルトラマンタイガ」(テレビ東京系)でドラマ初主演を果たし、その後、NHK 夜ドラ「卒業タイムリミット」(2022年)に主演、連続ドラマ「unknown」(2023年)などに出演。昨年の大河ドラマ「どうする家康」に本多正純役で出演した。