TVアニメ『SPY×FAMILY』Season 3
【MISSION:47】オースティンの苦悩/フツーの飲み会/げつめんちゃくりく
12月6日(土)放送分
怪獣映画「ガメラ」シリーズの60周年プロジェクトの一環として「昭和ガメラ映画祭」が12月5日から角川シネマ有楽町(東京都千代田区)ほかで開催される。シリーズ第1作「大怪獣ガメラ」(1965年)、第2作「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」(1966年)、第3作「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」(1967年)の4Kデジタル修復版を上映。「平成ガメラ」シリーズの特技監督を務めた樋口真嗣さん、多くの名作の4Kデジタル修復を監修する小椋俊一さんが、4Kデジタル修復版を監修した。11月21日からは、「平成ガメラ」シリーズの「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995年)、「ガメラ2 レギオン襲来」(1996年)、「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」(1999年)のドルビーシネマ版になって劇場で順次、復活上映される。樋口さん、小椋さんに「ガメラ」の魅力を語ってもらった。
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樋口さん 端的に言うと空飛ぶことですね。しかも、くるくる回る。回るのが当時はものすごく大変だったようです。4本同時に同じ量、しかもあれだけの量の火が出る火薬を用意しなければいけない。特注で作らなければいけなくて、一本出ないこともあったりするから、結構お金がかかっています。だから、後になればなるほど、くるくる回らなくなるんですよね。
小椋さん 子供の味方で、子供を守るのが魅力ですよね。
樋口さん あそこまで明確に子供に目を向けている作品はあんまりないですよね。「大巨獣ガッパ」にも子供が出てくるけど、「ガメラ」の後ですから。一作目はそういうのもあるけど、二作目は全然子供が出てこない。やっぱり出た方がいいとなっていったんですよね。どうしても「ゴジラ」との比較になってしまいますが、アプローチが少し違うんですよね。「ガメラ」の怪獣は、生き物らしさがあって、科学的に分析しようとする。もちろん、こんな生き物はいないし、科学的でもないのですが、怪獣を倒すために、人間の知恵を絞り、ガメラも自分なりに頑張って弱点を探す。それが大映の怪獣らしさだと思います。
小椋さん 今回はネガフィルムからのスキャンなのですが、ネガの状態は悪くなかったです。縮みや傷、ムラもほとんどありませんでした。揺れもほとんどありませんでした。数カ所だけ黒コマもあったのですが、元々の編集で入っているものでしたし、欠損したところもなかった。
非常に保存状態がよくて、修復は割と早く終わりました。
樋口さん 何が何でもはっきり見せましょうということではなく、当時の映画の雰囲気をそのまま生かそうとしました。低感度だからあんなにキレイなんですかね? 粒状性や厚みがあるのは、当時のフィルムならではですよね。
小椋さん そうですね。ネガはポジに比べると情報量がかなりあるので、そこを引き出せました。黒のディテールなどの情報が出てきました。
樋口さん 映っているものを消すのは簡単なんですよ。ただ、消してしまったら、それは歴史からも消えてしまう。だから、残そうとしています。飛行機を吊るすピアノ線もそうです。消せるんですけど、残しています。それは情報として残さなきゃいけない。消そうと頑張ったけど、映ってしまったものを改ざんしてはいけない。
小椋さん 監修者の方によっては「全部消してくれ」となることもあります。樋口さんは「当時映ってたものを消すのをやめよう」とおっしゃってくれたんです。ピアノ線にしても、修復したことで、目立ってしまうけど、あえて消さない。
樋口さん 今では考えられないものも映っているからワクワクする。ピアノ線が映っているから、こんなに大きなものを動かしていたんだと気付きますね。バルゴンを誘導する際、人工的に雨を降らせるヘリが出てきますが、あのヘリも非常に出来がいいんですよね。昔よりもそこが分かるようになっています。
樋口さん もちろんです。
樋口さん 大映のスタジオのステージは、行ったことがある人は分かると思いますが、横にすごく長いんです。その広さを生かした画作りをしている。引き画がゆったりしているんです。ガメラとギャオスが画面の両端にいて、長いビームの光線が出る。セットが広いからカット割りが少ない。円谷プロの「ファイヤーマン」というテレビ番組があるのですが、それが同じように広いんです。何でだろう?と思っていたけど、セットが大映だったんです。同じ円谷プロの「怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス」という映画もあって、それも広いんです。狭いスタジオだと、カットを割るしかないけど、大映のスタジオは、セットが広いから、どっしり構えて撮るんです。自分も大映のスタジオに行くと、引き画を撮っちゃうんです。
小椋さん 撮影設計も変わるんですよね。
樋口さん 昔の「ガメラ」は子供向けでしたし、「平成ガメラ」シリーズの当時のほかの怪獣映画は子供の方を向いていたと思います。その前に「ジュラシック・パーク」があって、恐竜が出てくる映画だけど、子供向けではなかった。そういうものを「ガメラ」でもできるんじゃないか?と考えていました。話を持ってきた土川勉さんというプロデューサーの方は、すごい制作費を掛けた「敦煌」などをやっていましたし、これは予算が出るぞ!と勝手に思い込んでいたんです。舞い上がっていたけど、実際はそんなに予算がなかった(笑)。ただ、志だけは高かったです。
樋口さん 当時、映画業界で「怪獣映画をやりたい」と言うと、バカにされていましたからね。ちゃんと作れば面白くなるという思いがありました。その頃、小椋さんは、伊丹十三さんなどの映画もやられていて、最前線の方なので、「ガメラ」に来てくれると聞いて、マジかよ!?となりました。
小椋さん 最初に台本をいただいて、一気に大人向けになっていて、ワクワクしました。撮影の技術的にもCGの合成が急激に発達した頃でしたし、新しさを感じましたし、福岡ドームを壊したりしていて壮大でした。
樋口さん あの時にやっていたことを今やろうとしたらお金がかかってしまいますからね。全部CGでやってしまった方が安い。
小椋さん 今はできないことをやっていますよね。
樋口さん 自分の中では「ガメラ」は平成の3本でやりたいことを全部やっちゃったんです。やり散らかした。あの時の自分の若さや勢いに、勝ち負けで言ったら勝てないんですよ。この歳になったら、ああいう無茶なことはできない。かつての自分と勝負するようなことはしたくないですね。
阿仁間満/MANTANWEB
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2025年12月07日 17:00時点
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