ちいかわ
第349話 あくむ(1)
6月5日(金)放送分
人気テレビアニメ「モノノ怪」の完全新作劇場版「劇場版モノノ怪」三部作の第三章「劇場版モノノ怪 第三章 蛇神」が5月29日に公開された。「劇場版モノノ怪」は、2024年7月公開の第一章「唐傘」、2025年3月公開の第二章「火鼠」を経て、第三章「蛇神」でついに完結を迎える。劇場版三部作は、個人にとっての正解と集団全体の利益は必ずしも合致しないという「合成の誤謬」をテーマとし、大奥を舞台に組織としての大義と犠牲になる個人の対比を描いてきた。その裏には「自分より大切なものができると、世の中を大切にできる」という隠しテーマがあったという。テレビアニメから「モノノ怪」を手がけてきた中村健治総監督に作品に込めた思いを聞いた。(※インタビューには本編のネタバレが含まれます)
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「劇場版モノノ怪」は、女たちの情念が渦巻く大奥を舞台に、薬売りがモノノ怪の正体を追うことになる。第三章のメインキャラクターは、大奥の最高位である天子と、天子の正室である御台所の幸子。幸子は待望の男児を授かるも死産となってしまい、身代わりとして連れてこられた男児を我が子と偽ることを余儀なくされる。どん底の中で、幸子が愛を口にするシーンは印象的だ。三部作を制作する上では、“愛”をどう描くかを議論したという。
「愛って、便利な言葉すぎて、『愛の感動作』『愛のドラマ』というと大体大丈夫みたいなところがありますが、実際は大丈夫じゃない。では、この作品における『愛って何だ?』を言語化しようとしました。自己愛は愛ではない、自分の外側に自分より大切なものができてそれを大事にすることが愛であると。なおかつ、もう一つ条件があって、見返りを求めたらそれは愛じゃないという。『どんなひどいことを言われてもいい、とにかくあなたが大切』ということが愛じゃないかと。そう定義して、そこから全キャラクターの行動をジャッジすることにしました」
政治的な策略や愛憎渦巻く大奥の中で、個人の行動を愛の視点で見た時、「自分以外のものを大切にできるということの延長に、世の中のことを大事に思える気持ちがあるんじゃないか」と考えた。
「例えば、第三章には150年前に大奥を作った天局が登場するのですが、彼女は周りのことを愛しすぎていて、あそこまで行くとみんな理解が追いつかなくなる。ただ、その手前にすごくいいバランスがひょっとしたらあるかもしれない。幸子は血の繋がらない赤子を見て、『自分より悲鳴を上げている存在がいたかもしれない。まずい、見逃していた』と気付く。自分のことでいっぱいいっぱいで見えていなかった、と。あの瞬間が結構大事なんじゃないかと思います」
個々人の気持ちと全体の利益にズレが生じた末、不幸な出来事が起こり、モノノ怪が生まれてしまった大奥を舞台に描かれてきた「劇場版モノノ怪」。改めて愛の視点で物語を見た時、何を感じるのか。スクリーンで確かめてほしい。(しろいぬ/MANTANWEB)
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