注目映画紹介:「FURUSATO−宇宙からみた世界遺産」モックンの娘・内田伽羅が初演技

 映画「おくりびと」(08年)の脚本家、小山薫堂さんが構成を担当し、本木雅弘さんの愛娘・伽羅さんが出演していることで話題になった短編実写3D映像作品「FURUSATO−宇宙からみた世界遺産」(日下宏美監督)が19日、3D映画として公開された。日本科学未来館(東京都江東区)のドームシアターガイアでの上映を目的に製作されたが、より多くの人に見てもらおうとドームスクリーン用の作品を平面スクリーン用に編集し直し、全国の3D映画館での上映が実現した。

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 約35分の作品は、世界遺産の保護に協力する地球観測衛星「だいち」の取り組みをテーマに、最新のデジタルカメラによる世界遺産の立体撮影の映像と、「だいち」が撮影した宇宙からの地球、ふかんした世界遺産の映像をまとめたセミドキュメンタリー。ニュージーランドのテカポで見られる世界一美しいといわれる星空や自然、エジプトのクフ王のピラミッド、日本の厳島神社といった3カ国の世界遺産が紹介される。普段は足を踏み入れることができないエジプトの王の墓や広島原爆ドームの内部といった貴重な映像は、3D映像で実際にその場所にいるかのような迫力を味わえる。

 世界遺産はこうした映像とともにその地で暮らす子どもたちの目線から紹介され、小山さんのオリジナルストーリーが貴重な世界遺産の映像の“つなぎ”的な役割を果たす。テカポに住む少年(マット・レイワード君)は、誕生日に母にもらった天体望遠鏡で、亡き父の星を見つけようと星空を見上げる。エジプト・カイロに住む兄弟(ユセフ・ワエル君、アブド・ムハンマド君)は絵描きになるため、毎日ピラミッドを見に来る観光客に絵を売り、兄は弟にプレゼントする真新しいクレヨンを買う。

 広島に住む少女(内田伽羅さん)の大切な場所は、「地球の声に耳を傾けたくなる」という厳島神社と「二度と戦争が起きないように」と祈りをささげる原爆ドーム。誕生日に両親からもらったフルートを練習しながら、いつか演奏旅行に出かけ、世界中にたくさんの友だちを作りたいと願っている。伽羅さんはこの作品で初演技とともに、1カ月間猛練習したというフルート演奏を披露。小山さんに「もし役者になるとしたら、まず世界デビューしてもらいたい」と力説させるほどの存在感を示している。

 小山さんは、同作品で「人間という存在のちっぽけさ」を感じ、「自分の悩みなんて、世の中や歴史の時間軸で考えたらなんでもないんだなと思うと楽になる」と語った。そして、人間が作り上げた文化遺産を見て「そのちっぽけな中の尊さを感じてほしい」といい、「それら二つが交わっているところにいろんな学ぶべきものがあると思う」と作品に込めた思いを語っている。19日からワーナー・マイカル・シネマズ板橋(東京都板橋区)ほか全国の3D映画館で上映。(毎日新聞デジタル)

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