注目映画紹介:「マザーウォーター」 4本目は京都が舞台 多くを語らず安らぎを与える作品

「マザーウォーター」の一場面 (C)2010パセリ商会
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「マザーウォーター」の一場面 (C)2010パセリ商会

 これまで、「かもめ食堂」「めがね」「プール」と3本の癒やし系映画を送り出してきたプロジェクトの第4弾「マザーウォーター」が30日に公開される。キャストは、“常連”の小林聡美さん、もたいまさこさん、“準”常連の市川実日子さん。さらに初参加となる小泉今日子さんと、“和み”を体現しているすてきな女優さんが並んだ。

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 今回は京都が舞台。豆腐屋を営むハツミ(市川さん)、コーヒー屋を開くタカコ(小泉さん)、そして、ウイスキーしか置かないバーを経営するセツコ(小林さん)。彼女たちが生活を営むかいわいには一軒の銭湯があり、マコト(もたいさん)という謎のご婦人が通って来ては、そこにいる赤ん坊をあやして帰っていく。独特ののんびりとした空気と近くを流れる川のせせらぎの中で、人々の何気ない日常とあいまいな関係がつづられていく。

 豆腐を店先のベンチで、まるでプリンのように食べる人がいたり、昼下がりに庭でサクッという香ばしい音をさせながらホットサンドをほお張る人がいたり。かと思えば、道で出会っても立ち話をするでもなく、会釈だけをして別れる人がいたり。豆腐屋、バー、銭湯、コーヒー屋、それらを順に巡りながら流れていくエピソードの数々。特別な事件があるわけではない。時間がゆったりと流れていく。

 映画そのものは多くを語らない。登場人物のある一面だけを見せ、彼らにはどういう過去があるのか、その関係性などは、動作や会話から観客に想像させる。何気ない風景やひと言が心地いい。安らぎを与えてくれるのは女優陣だけではない。銭湯の主人の光石研さん、家具職人の加瀬亮さん、銭湯の手伝いをする青年の永山絢斗さん。彼らは、“そこにいてくれるだけで安らげる”感じが出ていて、見ているこちらも心底落ち着く。30日からシネスイッチ銀座(東京都中央区)、新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国でロードショー。(りんたいこ/毎日新聞デジタル) 

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