韓国の個性派俳優、ソン・ガンホさんが出ている作品にハズレはないが、ソンさんが主演で気鋭のチャン・フン監督がメガホンをとった韓国映画「義兄弟」が30日に公開される。期待通りの南と北の男と男の心のふれあいを、アクションあり、ホロリと泣かせる場面あり、笑いありで真正面から描き出す。
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ソンさん演じるイ・ハンギュは韓国の国家情報員。北朝鮮が裏切り者を抹殺するために送り込んだ暗殺者“影”(チョン・グックァンさん)と北朝鮮の工作員ソン・ジウォン(カン・ドンウォンさん)を取り逃がしてしまい、組織をクビになってしまう。6年後、ハンギュは探偵に転身。ある日、偶然にも取り逃がしたジウォンと出くわす。ジウォンにかけられた報奨金を目当てに、「自分と一緒に仕事をしないか」と持ちかけるハンギュ。実はジウォンもハンギュのことを知っていた。お互い相手の素性を知らないふりをして、一緒に仕事をし始める……というストーリー。
南北の緊張感を個人と個人に集約させて描く作品はこれまでもあったが、この作品はひと味違う。ハンギュとジウォンはお互いに素性を知りながら、相手が知っているとは思っていない。ハンギュ、ジウォン、それぞれの思惑を知っている観客は俯瞰(ふかん)で2人を見つめていく。ハンギュがどんな人なのかを描いたその数秒後からジウォンを描き出していて、この時間差がなかなか絶妙だ。また、一つ屋根の下で食卓を囲んだり、一緒に仕事をするうちに少しずつ2人の距離が縮まるが、その関係の描き方も巧妙。観客は2人の関係を歯がゆく見守ることになる。観客は「義兄弟」を見つめる母親にさせられてしまうのだ。
ソンさんの演技には本当に引き込まれ、魅せられる。情にあふれる性格、家族と離れて住む悲哀、ちょっとお調子者っぽくコミカルなシーンのときの仕草や表情などはさすが韓国一の演技派だ。一方、これまでアイドル的な存在だったカンさんも、国家と家族とのはざまで苦悩する工作員を存在感たっぷりに演じている。また、チョンさん演じる、非情で恐ろしくて強い暗殺者はこれぞ悪役という雰囲気。30日からシネマート新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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