「かもめ食堂」(06年)や「めがね」(07年)、「プール」(09年)を手がけてきたプロジェクトの第4作、「マザーウォーター」(松本佳奈監督)が公開中だ。フィンランドの海辺の街・ヘルシンキ、鹿児島県の与論島、タイのチェンマイに建つゲストハウスのプールと、水の音が聞こえる町で撮影されてきたシリーズ最新作の舞台は「京都」。鴨川が流れる町で、メニューはウイスキーだけのバー、コーヒー屋、豆腐屋といった水にまつわる店を開いた女性たちと近所に住む人々の物語が、ゆるやかなリズムで描かれる。家具工房で働くヤマノハ役の加瀬亮さん、銭湯「オトメ湯」の主人を演じた光石研さん、オトメ湯を手伝うジン役の永山絢斗(ながやま・けんと)さんに話を聞いた。(細谷美香/毎日新聞デジタル)
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−−加瀬さんは「めがね」「プール」、光石さんは「めがね」に続く参加、永山さんはこのプロジェクト初参加になりますね。
光石さん 永山さんは初めてとは思えないほどスッと入ってきて、サッと去っていかれて。加瀬さんも普段からニュートラルな方なので、2人とも現場のにおいを感じ取るのが本当に上手だなと感じました。
加瀬さん 僕の役は中途半端な“中年青年”(笑い)、その上に大人なオトメさん、下にまっさらな若者としてのジンがいるという感じで、真ん中で両方を見られたことが、役にとっても、今の自分にとってもすごく勉強になったなと思いました。僕にとって光石さんは“大人な男性”のイメージ。九州男児の内弁慶で、“男が思う男らしさ”がある人なんです。でもこのチームでは“女性が思う男らしさ”に変換するので、光石さんはどうやっているのだろうと。
光石さん いやいや、たぶんネコをかぶっているだけで、いつも七転八倒しています。
加瀬さん 永山さんは、僕は「めがね」のときにあんなにてこずったのに、本人は大変だったのかもしれませんが最初から自然になじんでいるように見えて、素晴らしい感覚だと思いました。すっかり安心して見ていましたね。
永山さん これまでの作品も大好きでずっと見ていたので、その中に僕が入れるのかどうか心配でした。撮影に入ったらその不安は消えていきましたが、僕はお二人と似ているようなことをしているだけで……。お二人が持っているものをまだ全然持っていないのに、僕はズルイんです。
光石さんと加瀬さん ハハハ(笑い)。
−−この映画ではいわゆる観光地としてではなく、暮らしてみたくなるような普段着の京都が切り取られていますね。京都に滞在しての撮影で新しい発見はありましたか。
光石さん 20代のころから京都の撮影所に通っているのですが、今回初めて触れることがたくさんありました。川がこんなふうに流れているんだなとか、喫茶店があんなにあるんだなとか。朝、地元の方が喫茶店に通う文化も知って、新鮮な驚きがありましたね。
加瀬さん これまでも夜、歌舞伎の役者さんに祇園に連れて行っていただいたりしたことはありましたが、あまり普通に路地を歩いたことがなかったんです。こんなにも路地の先は真っ暗なんだなって、東京にはないああいう感覚を味わえたことはすごくいいなと思いました。それと女性スタッフが多いので、ご飯を食べるお店にしても女性たちの感覚で見つけてくる場所が多くて、自分1人ではたどりつけないところに行けたのもよかったですね。
永山さん 僕は修学旅行以来の京都でした。碁盤の目の街があって、ビルもある。でも何か東京とは違う安心感があるなと感じていたんです。ある日、そうだ、街の向こう側に山が見えるから安心するんだと、歩きながら発見しました。
−−心に残ったせりふをおしえてください。
光石さん もたいさん演じるマコトの「今日も機嫌よくやんなさいよ!」。いい響きですよね。
永山さん ジンは受け身なのであまり名言は残していないんです。なので、オトメさんがいう「いろんな人がいるって思えばさ、どんなことだって楽しいと思えば、それはそれで楽しくなっていくのさ」みたいなせりふが好きです。確かに!と思ったので、このせりふにします。
加瀬さん 今回は、あえて大げさにいうと“もたいさん、もの申す”みたいな映画なので、マコトさんのセリフのすべてに大事なことが詰まっているような気がしますね。
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