愛川欽也:映画への郷愁込めドラマで監督・脚本・主演に初挑戦

BSフジの連続ドラマ「港 古志郎警視」の会見を行った愛川欽也さん
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BSフジの連続ドラマ「港 古志郎警視」の会見を行った愛川欽也さん

 俳優で司会者の愛川欽也さん(76)が、監督・脚本・主演を務めた連続刑事ドラマ「港 古志郎警視」(BSフジ)の試写会が9日、東京・お台場のフジテレビで行われた。このドラマシリーズを「連続映画」と銘打つ愛川さんは「大人のメルヘンを作りたかった。人に任せるのが17歳の時から大嫌いで、12本のホン(脚本)を自分で書いたが、本当に大変だった。『映画』への僕の郷愁です」とこだわりの映画論を会見で披露しながら入魂の思いを語った。

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 「高校時代、フランス映画でジャン・ギャバンを見たのがきっかけで、芝居の世界に入った」という愛川さんは、このドラマシリーズを「連続映画」と銘打ち、音楽にも改めて録音したシャンソンを使用した。30年以上にわたって数々のドラマシリーズで刑事や探偵役を演じてきた愛川さんの集大成となる。事件の真相に迫るサスペンスドラマだが、テーマは「人間の愚かさ、切なさ、悲しさ」。男女の悲恋から起こされる事件や、大切な人を思うためのうそと罪など、人間の切なさ、優しさが描かれる。

 愛川さんが演じる港警視は、ソフト帽に三つぞろいのスーツを着込み、警視庁目黒川分室に勤務する初老の刑事。20年前に妻を亡くし、1人暮らしをしている。かつて殉職した部下の恋人だった女性が経営する店でのひと時だけが、心の安らぎだ。第1話では、東京・八王子の山中で中年男性の他殺体が発見される。身元確認に同分室を訪れた妻は、「夫ではない」と言い、次にやってきた娘は、遺体を父親と認めるが、大きなショックは受けていない様子。調べを進めるうちに、港警視は被害者が半年前にリストラされていたにも関わらず、家族にその事実を隠していたことを知る……というストーリー。

 愛川さんは今年の初夏から始めた撮影の苦労を「季節感なしでいこうとしたが、猛暑でTシャツを着ている人ばかり。人通りが途切れて『よし今だ!』というと出てきたりして。スタジオでは冷房も切らなきゃいけない。ライトもつけなきゃいけないで……」と振り返った。会見の前日も、何度も編集でシーンを入れ替え、急きょナレーションのシナリオをその場で書いて挿入するなど、妥協を許さない作業が続いたという。

 出演はほかに、任漢香さん、森朝子さん、岩澤亮司さん、赤嶺賢志さん、遠藤良寛さんら。11年1月16日から毎週日曜午後7時放送。全12話。(毎日新聞デジタル)

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