ばけばけ:まるで桃源郷? にぎやかで幸せな家族団らんの風景のどこに、視聴者はクギヅケになったのか 第116回を注目度で振り返る

連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK
1 / 2
連続テレビ小説「ばけばけ」のロゴ (C)NHK

 俳優の高石あかりさん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ばけばけ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第116回(3月16日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのだろうか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた割合を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最高値は午前8時12分の75.0%だった。

あなたにオススメ

 「ばけばけ」は113作目の朝ドラ。ヒロインの松野トキと、その夫となるレフカダ・ヘブンのモデルは、松江の没落士族の娘、小泉セツと、「怪談」などの著作で知られるラフカディオ・ハーン(小泉八雲)だ。ドラマの中では大胆に再構成し、登場人物名や団体名などは一部改称してフィクションとして描くという。

 ◇注目度はほぼ60%台後半から70%台前半で推移

 第116回は、物語が一気に10年進行し、トキ(高石さん)とヘブン(トミー・バストウさん)は東京の大久保に引っ越している。長男の勘太、次男の勲、司之介(岡部たかしさん)とフミ(池脇千鶴さん)とにぎやかで幸せな時間を過ごす。ヘブンは子供たちに英語を教え、授業をしに帝大と家を往復する日々。 トキは、そんなヘブンを支えながら、子供たちを愛する。どこからどう見ても幸せで、まるで“桃源郷”のような東京の生活を満喫しているのだが、ヘブンは何やら悩みがあるようなのだ。

 テレビの前の視聴者のうち、画面を注視していた人の割合を示す「注目度」は、一部の時間帯を除くと、ほぼ60%台後半以上を推移。しかも計6分間も70%台に乗るような、視聴者の視線を最初から最後までクギヅケにし続けた回だった。

- 広告 -

 ◇コーヒーに塩 「これでいいんです」

 最初に70%台に乗ったのは午前8時3分(74.0%)で、東京に引っ越したヘブン一家の朝食風景。ヘブンが間違えて、コーヒーに塩を入れたことをフミ(池脇千鶴さん)が注意すると、「これでいいんです。ねえ」と自分のコーヒーにも塩を入れる。そして、2人そろって、コーヒーを飲むが、当然「しょっぱ」となる。それを見ていた司之介(岡部たかし)が「(飲んで)『あー』というな。はしたない」と注意するという、昔と変わらぬ日常風景が展開される。

 少し成長した長男の勘太、次男の勲が登場するという、変化の要素があったこともあるが、視聴者の視線を集めたのは、直前の午前8時2分(69.6%)の余波という面が強かったかもしれない。

 午前8時2分台は、朝食前、ヘブンやトキ、フミに子どもたちが集まり、「おじじ様、おはようございます」と写真に向かって手を合わせている。その場にいない司之介が亡くなったのか?と思ったら、遅れて司之介が部屋に入ってくる。どうやら、「おじじ様」とは、トキの祖父、勘右衛門(小日向文世さん)のことのようだ。写真には、勘右衛門はキリッとした表情と立ち姿でカメラに視線を向ける姿が写っている。もう登場しないかと思うとさみしいが、“ラストサムライ”らしい威厳のある姿にはちょっとクスリとさせられる。

 ◇子どもたちと、あのスキップで遊ぶ 「桃源郷のよう」

 オープニング明けの中盤は、ほぼずっと注目度が70%前後を推移。午前8時8分(70.3%)と午前8時9分(70.0%)、午前8時10分(70.5%)と3分連続で70%台に乗った。

 午前8時8分台は、ヘブンが家庭で勘太や勲に英語を教える場面の後。あわただしく準備を進め、東京帝国大学に人力車で出勤する。途中で人力車を止めると、ヘブンは降りる。「53サイ。イノチ、スクナイ」。あとは、大学まで歩いて向かうようで、どんどん歩いて進んでいく。

 午前8時9分台は、自宅の庭で、女中のクマ(夏目透羽さん)が勘太と勲に、あのスキップを教えている場面。それを眺める司之介が「桃源郷のようだ」と言うと、トキも同意。フミも「私は桃源郷でカツオを削っちょります」と幸せそうだ。

 午前8時10分台は、トキと司之介も庭に降りると、子どもたちにスキップを披露する。そこにヘブンも帰宅。一緒にスキップをする。これまでのトキの物語を考えると、恐ろしいほど幸せな時間の風景が続くシーンだった。

 ◇大学に行くと見せて、ヘブンはミルクホールへ

 終盤は、中盤までの幸せ一色の様相が少し変化し始める。ヘブンはアメリカにいるイライザ(シャーロット・ケイト・フォックスさん)に宛て、手紙を書いている。「次こそベストセラーを書くよ」「最後の一冊になっても後悔しないものを」。50代になったヘブンのただならぬ決意が伝わってくる。

 この日の最高値75.0%をたたき出した午前8時12分はそんな手紙を書くシーンの直後。ヘブンがほら貝を吹き、家族をある場所に集める。何なのだろう? ヘブンについていくと、縁側から、美しい夕日が見えるのだ。フミも「(島根の)宍道湖(の夕景)みたいだわ」と感動している。子供たちがはしゃぐ姿を見て、トキは「桃源郷ですねえ」とヘブンに語りかける。ここでもキーワードは「桃源郷」だ。

 帝国大学への出勤途中、いつものように人力車を止め、ヘブンが歩き始める午前8時13分台は注目度がやや下がったが、午前8時14分に再び74.4%まで急浮上した。大学の方向に歩いていたヘブンだったが、人力車が引き返したのを確認すると、急に行き先を変え、ミルクホールに入る。ヘブンの不可思議な行動はどういう意味があるのだろうか? 何か事件のにおいがする、ちょっと気になる終わりだった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」(関東地区、速報値)。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

写真を見る全 2 枚

テレビ 最新記事

MAiDiGiTV 動画