アフリカ・ソマリアの遊牧民家庭に生まれた少女が、世界的トップモデルになるまでを描いた「デザート・フラワー」(シェリー・ホーマン監督)が全国で公開中だ。「VOGUE」などの一流ファッション誌で表紙を飾るなど活躍してきたワリス・ディリーさんの自伝「砂漠の女ディリー」(草思社)を映画化した。単なるサクセスストーリーではなく、そこには重いメッセージが込められていた。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
ワリスは13歳のとき、老人と結婚させられそうになり、逃げるために家を出た。何日間も砂漠を放浪し、やっとのことでたどりついたロンドンでホームレスまがいの生活を強いられる。そんな彼女が、ファストフード店で清掃作業員として働いていたとき、一流ファションカメラマンにスカウトされる。それによって世界的トップモデルへの道を駆け上がっていくが、その胸中には誰にも明かせない秘密があった……というストーリー。
これは、厳しい境遇に置かれた女性による勇気ある告発の物語だ。何を告発するかは、自分の目で、耳で確かめたほうが、この映画の持つメッセージがより強く伝わるはずだ。脚本は女流のホーマン監督。91年に監督デビューし、今作のほかに1本の映画とテレビ番組も手掛けているが、日本での公開は初めて。それだけに、映画が始まってまもなく、先を急ぐ展開を「はしょり過ぎでは」と懸念させるが、物語が進むに従って、それはワリスの告白の重みを増すために計算されたことだと分かってくる。
ワリスを演じるのは、現役トップモデルとして活躍しながら世界保健機関の親善大使としても活動しているアフリカ・エチオピア出身のリヤ・ケベデさん。ディリーさん本人が「私の妹的存在」「私とたくさんの共通点がある」と太鼓判を押すほど、外見はもちろん内面的にも魅力的にあふれた女性だ。映画「名もなきアフリカの地で」(01年)で米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したピーター・ヘルマンさんが製作を担当している。新宿武蔵野館(東京都新宿区)ほか全国で順次公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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