薬屋のひとりごと
第13話 外廷勤務
12月27日(金)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、博士号を取ったが無職のさえない青年と、中学生のいとこの少女の共同生活を描いた柳原望さんのハートフルコメディー「高杉さん家のおべんとう」です。コミックフラッパー編集部(メディアファクトリー)の万木壮(ゆるぎ・そう)さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
30歳過ぎて博士号を持ちつつも学内外に職のない青年・温巳(はるみ)。彼の元にある日現れたのが身寄りをなくして頼ってきたいとこの久留里(くるり)。リヤドロ人形のように美しい12歳の少女だった。かたくなに心を開かない久留里に対して、気遣いが空回りする温巳。そんなふたりの交流のきっかけとなったのは「おべんとう」でした。
思い出の料理から旬の楽しみまでさまざまなイベントをおべんとうを介して楽しむふたりの日々と、徐々に温巳に引かれていく久留里の淡い恋の行方にご注目ください。
−−作品が生まれたきっかけは?
もともと虫食をテーマとする地理学に興味を持たれていた柳原先生でしたが(地理学の先生のお手伝いをされたり、ご自身学会で発表されたりも!)それをテーマに……というのはちょっと厳しいと思っていてどうしようかと考えていました。
そのころ、ちょうど私自身がお弁当を作るようになって某SNSのお弁当のコミュニティーの人数が増えてきているのを見て「おべんとうではいかがですか?」と振ったのがきっかけでしょうか。
その後「弁当男子」なんて言葉も出てきたりしたので、いいタイミングだったと思います。その中でなら虫も扱っていいですよ、ということでお話ししていまして、最新の3巻はついにそのエピソードが入っていたりします。
−−編集者として作品を担当するうえでうれしいことは? 逆に大変だったエピソードは?
今月の久留里を誰より早く見られるのは、仕事とはいえやはり役得です。後は読者の方の声がウェブにしろハガキにしろ多く届いてくるのは率直にうれしいですね。たまに帯のコピーをほめてくださる方がいらして、毎回自分の才能の無さと向き合わされて苦労しているので、その分うれしさもひとしおです。
柳原先生と私が温巳を「残念な人」と呼んでいる……という話が2巻の巻末にあるのですが、それはひどい、という声が聞かれたのが大変というかつらかったです。私自身が残念というか、通り越して遺憾な人なので、これは別に我々は彼を嘲笑(わら)っているわけではないのです。
温巳の気遣いの空回り加減は、はっきり言って残念界の星だと思います。あれだけ一生懸命になれる温巳は立派です。伝わりづらいかもしれないですけど、そこはご理解たまわりたいと思います。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
久留里の成長譚(たん)でもありますが、その裏では温巳くんの成長譚でもあるのが、本作の魅力のひとつだと思います。その他、「かわいい中学生女子との同居」「年の差カップル」「地理学」「がんばる不器用三十路(みぞじ)男子」などなどにピンとくるものがおありでしたら、手を伸ばしていただけると幸いです。
もちろん毎日の「おべんとう作り」の励みにもぜひ! 私のイチオシ、温巳の同僚・小坂さんの魅力については触れられませんでしたが、コミックスの方でお楽しみいただければと思います。
メディアファクトリー コミック・ライトノベル事業部 フラッパー編集部 万木壮
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