乙葉しおりの朗読倶楽部:第7回 紫式部「源氏物語 桐壺」 登場人物の名前の謎

「全訳 源氏物語 一 新装版」作・紫式部、訳・与謝野晶子(角川文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「全訳 源氏物語 一 新装版」作・紫式部、訳・与謝野晶子(角川文庫)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。7月から配信され、これまでに20万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが「朗読倶楽部」の活動報告と名作を紹介する「乙葉しおりの朗読倶楽部」。第7回は、紫式部の「源氏物語 桐壺」だ。

ウナギノボリ

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 みなさんこんにちは、乙葉しおりです。

 先日、朗読倶楽部のみんなと一緒に、ボウリングに行ってきました。

 部長さんいわく、「腹筋と背筋が鍛えられて、腹式呼吸のトレーニングになる!」ということで、意外なところで練習ができちゃうものなんですね。

 顧問の先生は「アレは遊びたいだけだ」と言ってましたけど……。

 そうそう、私、ボウリングをするのは初めてだったんですが、ボウリングの球って思ったように転がらないものなんですね……。

 重い球は持つのが大変ですし、軽い球はすぐに曲がってしまうし、近くのレーンの人たちがみんなこっちを見ていて、とても恥ずかしかったです。

 え? 私のスコア……ですか?

 あの……2ゲームやって、どちらも50でした……。

 「同じスコアであがるなんて、ある意味すごい」って、みんなに言われました。うぅ……(>_<)

 次の機会に備えて、みんなには内緒で、こっそり練習しようと思います。

 つ、つぎはせめて70くらいは取れるようにがんばらないとっ!

 ではここで朗読倶楽部結成のお話の続きに移りますね。

 部のメンバーに勧誘した中等部の生徒さんの提案で、文芸部は朗読部に生まれ変わることになりました。

 まだまだ課題はありますが、ひとまず部の結成に必要なのは、顧問の先生を残すのみ。

 文芸部の時は国語の先生にお願いしようと考えていましたが、朗読になると発声、発音なども指導していただける必要がありそうです。

 でも、音楽の先生は軽音楽部や、ブラスバンド部などの顧問になるのが普通ですから、朗読部の顧問になってもらえる人がいるかどうか……。

 中等部の先生にお願いすることは可能か相談してみようとしたところ、彼女は自信満々の様子で「ぴったりな人がいる」と、ある方向を指さしました。

 その先には……頭を抱えた司書の先生が……。

 先生は昔、音楽活動をしていたことがあって、本と発声の両方に知識があるというのです。

 でも、飛び込みのような状態で部室に部員までお世話になったのに、このうえ顧問の先生までお願いしてしまうのは、いくらなんでもあつかましいのでは……と、今思い返してもそう考えてしまうのですが、そのときの先生はどこかあきらめたような様子で、「これもまた、成り行きというものか」と、一言。

 朗読部の顧問を引き受けてくださることになったのでした。

 ……と、いうところで、今回はここまでで、次回はいよいよ朗読倶楽部結成のお話に一区切りとなります。

 その後もまだまだお話したいことがありますので、よろしくお願いしますね(^−^)

■しおりの本の小道 紫式部「源氏物語 桐壺」

 こんにちは、7回目にご紹介する1冊は、紫式部さんの「源氏物語」から「第1帖・桐壺」です。

 「源氏物語」は、今から1000年以上前の平安時代に執筆されたと言われている、現存する中では日本最古の長編作品であることは皆さんもよくご存じだと思います。

 源氏物語の巻数には諸説があって、現在有力なのは54帖説ですが、お話の時間経過で帖をまたいだ部分に空白の時期がある点などから、実際はもっと巻数があったとする説も根強く残っているようです。

 お話は平安京を舞台に、主人公の光源氏と、その子孫に至るまでの恋愛模様を描いたもので、「桐壺」は、光源氏誕生から12歳の元服までを描いた、最初の物語になります。

 では題名にもなっている「桐壺」とは、どういう意味なのでしょうか?

 これは、光源氏のお母さんである桐壺更衣(きりつぼのこうい)のことと考えられていますが、この名前は本名ではなく呼び名だということはご存じですか?

 お話の舞台となっている平安御所は七殿五舎(しちでんごしゃ)という12の建物があるのですが、このうちの淑景舎(しげいしゃ)という建物は庭に桐が植えられていることから「桐壺」と呼ばれています。

 更衣とは後宮での女官(にょかん)の地位のことで、中宮(ちゅうぐう)、女御(にょうご)に次ぐ位だそうですから、それほど身分の高い人ではなかったようです。

 つまり、桐壺更衣とは本名ではなく、「淑景舎に住む更衣という役職の女官さん」という意味で、源氏物語に出てくるほとんどの登場人物は、こうした役職や通り名を元にした呼び方をしているんです。

 実は、光源氏のどこが名字でどこが名前なのか、調べているうちに分かったことなんですけど……あはは。

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