87年に製作され、NYウォール街でのマネーゲームを描いて当時大ヒットしたオリバー・ストーン監督の「ウォール街」。主人公の冷酷なカリスマ投資家ゴードン・ゲッコーを演じたマイケル・ダグラスさんは、アカデミー賞主演男優賞に輝いた。その続編「ウォール・ストリート」が4日、公開された。ストーン監督が再びメガホンをとり、ダグラスさんが前作に引き続きゴードンにふんした。彼を師と慕う若者ジェイコブを、「トランスフォーマー」シリーズ(07~09年)などで知られるシャイア・ラブーフさん、その婚約者でゴードンの実娘ウィニーを「17歳の肖像」(09年)のキャリー・マリガンさんが演じている。
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インサイダー取引の罪で懲役8年の刑を食らったゴードンが出所してくるところから物語は始まる。ゴードンとは絶縁状態の娘ウィニーの恋人ジェイコブは、ウォール街で働く金融マン。だが会社が破綻(はたん)。ジェイコブ自身は資産を失ったうえに、父親同然の経営者が投身自殺してしまった。破綻の背後にライバル銀行の顔役ブレトン(ジョシュ・ブローリンさん)の存在をかぎ取ったジェイコブは、彼に対する復讐を企てる。そして、協力を仰ぐためにゴードンの元へ向かう……というストーリー。
23年前の「ウォール街」では、ゴードンのような強欲な男は悪に見えた。それから四半世紀近くがたち、ゴードンすら可愛く見えるような金持ちが資本主義社会に実際に存在する。映画の中で大勢の人を前にしてゴードンが、最近の金融業界の強欲ぶりを糾弾する場面がある。このとき前作を知る人なら思うのではないか。あの腹黒かったゴードンは、一体どこへ行ってしまったのか、と。
チャーリー・シーンさんふんする若き株式仲買人が最後には正義を貫き、善悪の区別がつきやすかった前作に比べ、今作は複雑になった経済情勢を反映してか、登場人物の善悪の判断がつきづらく、そのために娯楽性は薄れた。しかし、ゴードン、ジェイコブ、ウィニーの関係を盛り込むことで、人間ドラマとしての厚みは増した。なお、シーンさんがチラりと姿を見せる粋な計らいもある。4日からTOHOシネマズ日劇(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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