フジテレビ深夜アニメ枠「ノイタミナ」(木曜深夜1時15分~)で放送中の「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」。幼なじみのきずなと成長を描いた切ない青春ファンタジーが話題になっている。「とらドラ!」や「とある科学の超電磁砲(レールガン)」などのヒット作を送り出し続けている長井龍雪監督に聞いた。(毎日新聞デジタル)
ウナギノボリ
解説:新たな“最高峰”を目指したガンプラ 45周年のこだわりとは
−−企画の経緯は?
アニメ「とらドラ!」の後で、(一緒に制作にかかわった脚本の岡田麿里さん、イラストレーターの田中将賀さんの3人で「またやろう」と。その後岡田さんから「企画が通りそう」と連絡があって「やろう」となったんです。「とらドラ!」は気分よく作れたこともあり、3人でやることが大前提でした。(作品作りで僕の役割は)岡田さんの“暴走”を止めるブレーキ役ですね(笑い)。岡田さんがボールを投げ込み、僕がそれをさばくスタイルでしょうか。
−−制作で気を配っていることは?
アニメであることをことさらに意識せず、丁寧にドラマを描こうということです。幽霊ならば透けたり、(壁を)通り抜けさせたりできるわけですが、あえてやっていません。(キャラクターたちが)見えてない“芝居”をするのも、その場の雰囲気をきちんと描きたかったから。「アニメだから……」という感じにしたくはなかったんです。アニメは作為的な世界で、その作為を見せないようにするのは大切にしていることの一つ。視聴者に違和感を感じさせないことですね。
−−アニメの1話から話題になりました。
アニメっぽい話でなかったので、すぐ受け入れられたことに驚いています。そもそも1話で(ヒロインの一人)めんまが幽霊であることをきちんと分かってもらえるか不安でした。実は、めんまが幽霊っぽく消えた方がいいのか迷いましたが、そこはチャレンジでした。
−−オリジナル作品に挑むのは大変だった?
葛藤はありましたし、今でもありますが、スタッフから質問をされたら即答するようにしています。僕が迷うとみんなに負担がかかりますから。
−−エンディング曲が、01年のヒット曲「secret base~君がくれたもの~」だったことも話題です。
音楽プロデューサーから「このアニメにはこの曲だろう」と渡されたんです。「10年後」「秘密基地」というキーワードも全部あって、あまりにもそのままだったので、一時は「やめよう」となったほどぴったりだったんです。ですが最後は「面白いからベタでいこう」と。
−−長いタイトルですね。
実は仮タイトルで、スタッフ同士では略称の「あの花」で呼んでいたから、「タイトルが長い」という意識がなかったんです。ですがロゴ作りになって、長さに初めて気づきました。長いタイトルですが、音の響きがいいですよ。
−−ヒットアニメを生み出すコツは?
正直分かりません(笑い)。ですが原作のいいところ、面白い部分を引き出そうと心掛けました。「とらドラ!」は、キャラクターの可愛さ、地に足がついた物語だったので、青春ドラマとして描きました。「とある科学の超電磁砲」は、努力・友情・勝利が描かれた王道の少年マンガでした。だかららしく突き進む熱い展開にして、はまった部分をフィルムに出しましたね。
−−視聴者に一言お願いします。
さまざまな仕掛けも残しているので、演出を楽しみに見てください。最後まで一気に楽しんで見てもらえるように頑張ります。
ながい・たつゆき=76年新潟県生まれ。アルバイトの求人雑誌からアニメ業界に入った異色の経歴を持つ。制作進行を経て、演出を手掛ける。代表作は「とらドラ!」「とある科学の超電磁砲」など。
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