真飛聖:「男役に否定的だったことも」17年間の宝塚生活を振り返る WOWOWで24日放送

4月に宝塚を卒業した元花組トップスターの真飛聖さん
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4月に宝塚を卒業した元花組トップスターの真飛聖さん

 4月に宝塚歌劇団を卒業した花組トップスター真飛聖(まとぶ・せい)さんの“現在(いま)”と17年間の軌跡を貴重なアーカイブ映像で追う、「宝塚プルミエール 真飛聖スペシャル」がWOWOWで24日放送される。また、真飛さんが所属した花組の09年の公演「EXCITER!!」も同日に放送、今回は特別企画としてWOWOWオリジナル副声音で、真飛さんの解説入りの番組が楽しめる。真飛さんに、17年間の宝塚生活を振り返って今の思いを聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 3月11日、17年間の集大成ともいえる宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)での千秋楽を終え、東京での公演に向かう途中、東日本大震災が起こった。そのときの状況を真飛さんは「今自分たちにできることは何なのかを話しながら東京公演に向けて、みんなで気持ちをぶつけ合いながら取り組んでいました」と振り返る。公演中も余震がある中、「もしかしたらこの舞台が全部終えられないかもとか、できないかもという状況の中で日々過ごしていたので、千秋楽の幕が下りて自分が袴(はかま)で外に出るまで、この劇場を出るまで、安心というか終われるという感じがなかった。いつも以上に公演の大切さ、お客様のありがたさを感じながら1回1回を魂を込めて、全力でやりました」と力を込めた。

 男役のトップスターとして活躍してきた真飛さんだが、下級生のころは「女っぽい」と言われることが多く、自身の「男役」についても否定的だったり、自分には向いてないと思うこともあったという。しかし「素顔が女っぽいと言われたとしても、舞台では男にしか見られない、“男役”ではなくて、男にしか見えない骨太さであったり、大きさというのを出せる男役に自分はなればいいんだって思い始めてからすごく楽しくなって、ギャップをお客様も自分も楽しみながらやることが“真飛聖”なのかな、と思ったら楽しくてしょうがなくなった」と笑顔で話す。

 95年に初舞台を踏み、「星組」を経て05年に「花組」へ組替えした真飛さん。春野寿美礼(はるの・すみれ)さんの後を継いで08年にトップスターに就任した。今から振り返ると「(組替えは)すごくすてきなこと、仲間が倍に増えるので」と話すが、最初は自分と周りの間の壁を壊すまで、しんどい時期もあったという。

 「トップスターであることとは?」を真飛さんにぶつけると、自身がトップスターであることについて特別に思ったことはないという。その理由は、「トップというものだけを目指してきたわけではない。真実というか、うそのない舞台を作っていきたいとずっと思ってやってきた。与えられた内容を忠実に、うそのないようにこなしていくことが自分の目標だったので、その立場(トップスター)をいただいたとしても、同じ作品を作っている演者(ということ)は変わらない。たまたまその作品の主役をやっているだけであって、その舞台に立っている役者としては変わらない、そういう意識があった」と当時の心情を明かした。

 さて、ファンにとって気になる今後について、真飛さんは「卒業して、(宝塚のような)情熱をかけてできるものっていうのが正直なかなか見つからない状態」と話すものの、「人生一度きりだから、『やれるか』というより『やってみる』のがいいんだなと思い始めている」と前向きに語った。

 24日の公演「EXCITER!!」の放送について、真飛さんは「究極の男役の美学とか、女の色気とかちょっとコミカルな場面があったりとか、いろいろな世界観を感じられるショーに仕上がっているので、内容が凝縮されていて何度でも楽しめる作品。これを見て、(宝塚を見たことがない人も)宝塚を見てみたいなと思ってもらえたら」とメッセージを送る。

 「宝塚プルミエール 真飛聖スペシャル」では真飛さんが、鳴海じゅんさん、朝澄けいさん、百花沙里さんら仲間とキャンプに行ったときの模様も24日午後6時から放送する。09年花組公演「EXCITER!!」は同日午後6時半からいずれもWOWOWで放送。(毎日新聞デジタル)

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