デビュー15周年を迎えた西川貴教さんのソロユニット「T．M．Revolution（T．M．R．）」が、アニメ「戦国BASARA　劇場版」やPSP用ゲーム「戦国BASARA　クロニクルヒーローズ」（カプコン）の主題歌「FLAGS」を22日に発売する。シリーズほぼすべての作品でテーマ曲を手がけてきた西川さんに、「戦国BASARA」への思いや自身の活動について聞いた。

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　クールな伊達政宗や熱血漢の真田幸村といった個性的な性格付けがされたイケメンの戦国武将たちが活躍し、歴史好きの女性「歴女」ブームの火付け役にもなった人気ゲーム「戦国BASARA」シリーズ。05年に発売された第1作の主題歌「crosswise」以来、「T．M．R．」やバンドプロジェクト「abingdon boys school」などを通じて、ほぼすべての作品にかかわってきた西川さんは、「最初からここまで長く続くとはだれも思っていなかったでしょうし、僕自身も毎回『ここでシリーズが終わっても悔いなし』というほど全力で作っているので、新しい作品が出るたびに“自己記録更新”という状態。大変は大変ですね」と話す。

　そんな西川さんが「戦国BASARA」に携わるようになったのは、ゲームのスタッフらからの直接のオファーがきっかけだったという。通常は、アーティストとの間に代理店を立てるのが一般的だが、「ほぼ100％ご指名で直談判に来てくれた」という。「むちゃなこと言う人たちだなあって（笑い）。大丈夫なの？という気持ちもありましたが、（スタッフの）いろんな思いを聞いて、泥の船でもいいじゃないか。命がけでやっている人の手を振りほどくことはできない」と楽曲提供を決めた。

　新曲の「FLAGS」は、信念を持って旗の下に集う武将を率いる天下人のイメージと多くのファンを魅了し続けてきた西川さんのイメージを結びつけて制作された。「ゲーム、テレビアニメときて、今回の劇場版は大きな節目になります。でも単にお祭り騒ぎで終わるんじゃなくて、5年たてばT．M．R．も20周年、戦国BASARAも11周年になる。次の大きな目標に向かっての決意を込めました」と話す。

　ソロの「T．M．R．」や、バンド活動の「abingdon boys school」のほか、ミュージカルやドラマにも挑戦。軽妙なトークでバラエティー番組にも出演するなど活動は多彩だ。「同じことをずっと続けていくと自分で作った殻に閉じこもってしまいそうになるし、周りからもいくら自分でいいと思っても『TMっぽくないよね』と言われてしまう」と語る。「10周年を機にソロやバンドなど、自分の中のアウトプット（表現手段）を分けることに成功できて、全体的にも徐々に底上げできた」と自己分析する顔はバラエティーでの姿とは似つかないストイックで真剣なものだ。「人生の半分以上音楽をやってきて、そこには自分なりの自負もあります。でもミュージカルやドラマは勉強させてもらうという気持ち」と謙虚な一面も見せる。

　「戦国BASARA」では、弟子にあたる真田幸村と拳を通じて信頼を高め合う武田信玄にあこがれるという西川さん。故郷の滋賀県の「滋賀ふるさと観光大使」に任命され、自ら音頭を取って同県初の大型野外音楽フェスティバル「イナズマロックフェス」を09年から開催。3月の東日本大震災の時にはいち早くチャリティープロジェクト「STAND UP！ JAPAN中央共同募金会」を立ち上げた。「後輩や仲間たちが『お前だったら何かできるんじゃないか』って」と照れくさそうに笑う西川さん。あこがれの信玄に近づいているのかもしれない。（毎日新聞デジタル）

　◇プロフィル

　にしかわ・たかのり　70年滋賀県生まれ。96年5月、ソロプロジェクト「T．M．Revolution」としてシングル「独裁−monopolize−」でデビュー。海外での評価も高く、03年8月に米・ボルティモアで開催された「OTAKON2003」などの全米屈指のアニメコンベンションにおいて大規模なライブを開催。また、デビュー当時から続いた人気ラジオ番組「西川貴教のオールナイトニッポン」のパーソナリティー、「POP JAM」においては、初司会にも挑戦するなど、音楽のみならずユニークなキャラクターとして人気を博している。05年にはバンドプロジェクト「abingdon boys school」を本格始動させ、06年12月にシングル「INNOCENT SORROW」でメジャーデビューを果たした。今年4月に約6年ぶり9枚目のオリジナルアルバム「CLOUD NINE」を発売。9月17日と18日には、3年連続となる「イナズマロック フェス 2011」の開催も決定している。