「第145回 直木三十五賞(直木賞)」(日本文学振興会主催)が14日、発表され、池井戸潤さんの「下町ロケット」が受賞した。芥川賞は1年半ぶりに該当作なし。
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受賞の知らせを受けて同日、東京都内で会見が開かれ、池井戸さんが黒のTシャツにジーンズ姿で登場した。池井戸さんは「企業小説を書いていて(文学賞の受賞は)難しいことだと前から分かってましたので、こういう栄誉をいただいて素直にうれしい」と受賞を喜んだ。居酒屋で知らせを受けたといい、「すいません、こんな格好で。岐阜時代の友だちに話したらすごく喜んでくれた」と笑顔を見せた。
直木賞を受賞した池井戸さんは、1963年6月16日生まれ、岐阜県出身。慶大卒業後、銀行に入行。その後、コンサルタント業のかたわらビジネス書を執筆する。98年に「果つる底なき」で江戸川乱歩賞を受賞。10年に「鉄の骨」で吉川英治文学新人賞を受賞。「鉄の骨」と「空飛ぶタイヤ」は直木賞候補になった。受賞作の「下町ロケット」はWOWOWでドラマ化され8月に放送予定。
「下町ロケット」は、宇宙工学研究の道をあきらめ、東京都大田区の実家の佃製作所を継いだものの、倒産の危機にひんした主人公・佃航平が、大企業から特許技術を20億円で買いたいという申し出を断って、ロケットのエンジン供給を申し出て、日本のものづくりを担った町工場の意地を見せるというストーリー。
直木賞は、文芸春秋の社長で、作家だった菊池寛が1935年に創設。芥川賞と共に国内で最も影響力のある文学賞の一つで、ミステリーなどの娯楽作品が対象。過去には東野圭吾さん、京極夏彦さんら数多くの人気作家が受賞している。(毎日新聞デジタル)
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