デビュー小説「告白」の文庫が200万部のミリオンセラーを記録し、松たか子さん主演の映画もヒットした湊かなえさんの3作目の小説「贖罪(しょくざい)」(東京創元社)のドラマ化が決定し、12年1月にWOWOW「連続ドラマW」枠で放送されることが1日、明らかになった。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
15年前、ある田舎町で小学生の少女エミリが男に連れ去られ、殺される事件が発生した。直前まで一緒に遊んでいた仲良しの小学生4人は第一発見者になる。犯人は見つからず、事件は迷宮入り。エミリの母・麻子は、目撃した犯人の顔をよく思い出せない4人を責め、「犯人を見つけなさい。でなければ、私が納得できるような“償い”をしなさい」と激情の言葉を投げつける。事件への恐怖、麻子の言葉へのショックを抱えながら、それぞれの道を歩み大人になった4人。「“償い”とは何か?」という呪縛にとらわれてきた彼女たちは、やがて連鎖する悲劇を引き寄せていく……というストーリー。
映画「叫」(07年)や「トウキョウソナタ」(08年)などで知られる黒沢清監督が演出を担当する。黒澤監督は「殺人という出来事はおそらく理不尽に、唐突に起こるのだろうと思う。しかしそれに至る人生のメカニズムは数年、ひょっとすると数十年のスパンをもって、ゆっくりと構築されていくのではないか……と推測はできても、これまで私はそのような途方もない時間を作品で扱ったことがなかった。それが今回、一気に5人分も扱うことになり、最初は大いに面食らった。1人でも手に余るのに、特異な人生を五つ並列に描くことが、いったいどうやれば可能なのか」と最初は戸惑ったものの、「ところが結果としてはこれが多分よかった。一人一人の途方もなさが、5人集まるとそれはあたかも大きな流れ、避けることのできない必然的な運命のように思えてきたのである」と話している。
原作の湊さんも「『贖罪』という作品は子どものころに受けた言葉が、それぞれの将来にどのような影響を及ぼすのだろうか、またその言葉を放った本人は、その言葉が与えた影響をどのようにとらえるのだろうかといったことを考えながら書いた作品です。それを今度は、映像でご覧いただいた方々がどのように受け止められるのかをとても楽しみにしていますし、心に残る作品になってくれるといいなと思います」と期待を寄せている。(毎日新聞デジタル)
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