週刊少年ジャンプ(集英社)の人気マンガを舞台化した「ミュージカル『テニスの王子様』」(テニミュ)のセカンドシーズンの第3回公演「青学(せいがく)vs氷帝(ひょうてい)」が24日、「TOKYO DOME CITY HALL」(東京都文京区)で大千秋楽を迎えた。03年4月から約7年にわたり上演された「ファーストシーズン」だったが、ファンの願いに応え、10年8月より「セカンドシーズン」として新キャストで再始動。11年1月の「青学vs不動峰」の上演を皮切りに全国大会決勝戦まで新たな演出で展開している。「テニミュ」のブレークを決定づけた伝説の一戦「青学vs氷帝」に出演した青学・越前リョーマ役の小越勇輝さん(17)、青学・手塚国光役の和田琢磨さん(25)、氷帝・跡部景吾役の青木玄徳さん(23)に「テニミュ」にかけた思いや、28日に発売される「テニミュ」のシングルCD「Jumping up!High touch!」について聞いた。
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「テニスの王子様」は、天才少年の越前リョーマが、テニスの名門校・青春学園中等部(青学)のテニス部で頭角を現し、ライバル校との戦いを通じて成長していくテニスマンガ。「青学vs氷帝」は、関東大会へ出場した青学の前に、部員200人を誇り昨年度の都大会を制した氷帝学園中等部が立ちはだかる。その頂点に立ち、絶対的な実力とカリスマ性を持つ部長・跡部や、「氷帝の天才」と呼ばれる忍足侑士とたぐいまれなる運動神経を持つ向日岳人のダブルスなど、正レギュラーによる万全の体制で試合に臨む氷帝。一方で、一切の妥協を許さぬ厳格さで部員からの信頼も厚い青学の部長・手塚や、控え選手となったリョーマ。いよいよ全国大会進出への一戦が幕を開ける……というストーリー。7月15日の東京公演からはじまり、大阪、名古屋、福岡で上演された。
テニスにかける男と男の戦いを描いたストーリーはもちろん見どころの一つだが、公演前に合宿でテニスの練習を行うなど、キャストのテニスのフォームの美しさにも息をのむ。また、テンポの良い楽曲が試合を進めていき、まるで本当にテニスの試合を見ているような臨場感を得られる。さらに、テニスにかける思いや仲間への思いなども描かれ、まさに“青春を体感”できるミュージカルだ。
−−自身が演じられたキャラクターの紹介と、演じたキャラクターとの共通点があれば教えてください。
小越 リョーマは生意気でマイペース。試合でも朝寝坊しちゃうような感じです。(共通点は)朝が弱いところ。目覚まし時計を四つくらいつけてますが、一つ目が鳴っても残りがあるから寝ちゃいます(笑い)。
和田 手塚は、まじめで一瞬の隙もない完璧主義者。つまらなく見えますが、テニスにかける情熱は誰よりも持っていてチームメートのことを誰よりも愛していて、本当はすごく人間味がありますが、外には出さない。(共通点は)自分のことに関しては、こだわることはこだわるところ? でも、僕はみんなでわちゃわちゃしていたいタイプですね!
青木 跡部は、派手で強気でナルシストなキャラクター。それとは裏腹に努力を怠ることなく、自分に厳しいものを持っています。(共通点は)僕はナルシストな感じは……(和田さんに言わされながら)あります!(笑い)。
−−テニミュの印象について、教えてください。
小越 ハード! 最初見たときは、あんなに動いて息も切らさず歌っているのがすごいと思った。自分も(ステージに)立ちたいけど、こんなふうにできるのかなっていうのはありました。
和田 僕はオーディションを受けるのが3回目なので、ファーストシーズンも受けたので、いつかあそこに立ってやるっていう気持ちだけで受けてましたね。だから、合格してうれしかった。いい役をいただいたので、まっとうしていきたいなと。
青木 表面的なところしか見なかったときは、正直言うとコスプレみたいな感じにもとらえられる。でも実際、努力なしでは越えられない結構難しい舞台だったり、ギャップがあるなって。表面的にぱっと見た世間体的なものはそういう部分の方が強かったりするけど、そういうのじゃないんだっていうのは伝えきれているのかな、と思います。
−−何を一番伝えたい?
青木 原作の内容ですね。格好だけとか表面的な部分だけを見られて、こういうものだっていうイメージを与える絵柄じゃないですか。だからこそ、本気で舞台に立って、ここはこういう男と男の戦いなんだっていう部分を、一回一回来てくれたお客さんに見せられたらって思います。
−−オール男性キャストですが、現場の雰囲気はどうでしたか?
和田 学校によってちがうと思います。青学は実年齢が離れていて、一番上と下が10個ぐらいちがうので、男子校というよりかは、一つの家族の兄弟のように役割分担が自然とありました。僕はわちゃわちゃしたいんですけど、残念ながら(部長役なので)面倒を見たり、しつけをしないと……。この子(小越さん)は、横でしらーってしてました(笑い)。
−−苦労した点はありますか?
小越 最初は全部が大変でした。僕も手塚(和田さん)も左利きのキャラクターで、実際右利きで、そこから大変だった。歌もダンスも初挑戦で、そういった部分も不安だった。でも、今は楽しんでやれています!
和田 部長っていう役柄をもらっただけで、なんで普段から部長らしくしなきゃいけないのかなって。「最近青学まとまってないんじゃないか」とか「もっと部長としてしっかりしないといけないよ」とか言われて、なにかと部長のせいにされました。(横目で小越さんを見て)座長がいるのに……(笑い)。
青木 一丸となること……ですかね。歌もダンスとかも経験なかったし、今回が初舞台でどれもできなくて。一番手間のかかるキャストだと思う。でも僕は、歌とかダンスとかっていうよりも、ここにいる全員が同じ方向に向かって伝えたいものを出すということが一番難しいことだと思いました。僕は部長という肩書があったから、部長らしいことを言わないといけなかったこともあった。そもそもそういうタイプの人間じゃないんですけど、肩書を与えられたことで、そういうことができるようになったので、自分の中で一つの成長かなと思います。
−−最後にシングルCD「Jumping up!High touch!」についてメッセージをお願いします。
小越 公演とはちがった感じで、PV撮影もさせていただきました。PVではみんなの顔が1人ずつアップで見られます。公演とはちがったおもしろさがあるので、よろしくお願いします!
公演で人気のアンコール曲「Jumping up!High touch!」は、「ハイタッチ!」のかけ声にあわせてキャストが客席に降りて観客とハイタッチすることでも知られている。舞台さながらの全員バージョンと各校によるスペシャルバージョンを収録したシングルCD「Jumping up!High touch!」は、青学(タイプA)、不動峰(タイプB)、聖ルドルフ・山吹(タイプC)、氷帝(タイプD)の全4タイプで28日に発売。DVDが付属する初回限定盤(タイプA)は、同曲のPV(プロモーションビデオ)とメーキング映像を収録し1800円。そのほかは1000円。
また、「ミュージカル『テニスの王子様』 コンサートDream Live 2011」は、11月5、6日に神戸ワールド記念ホール(神戸市)、11月12、13日に横浜アリーナ(横浜市中区)で開催予定。一般チケット(6000円)は、10月2日午前10時から発売開始。
<小越勇輝さんのプロフィル>
おごえ・ゆうき 1994年4月8日生まれ。東京都出身。「劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王」でラモン役、映画「おくりびと」出演など着実にキャリアを積んでいる。ミュージカル『テニスの王子様』では主役の越前リョーマを堂々と演じている。
<和田琢磨さんのプロフィル>
わだ・たくま 1986年1月4日生まれ。山形県出身。モデルや、舞台「飛行機雲2009流れる雲よ DJから特攻隊へ愛を込めて~」主演などで活躍。ミュージカル『テニスの王子様』では、手塚国光役を演じ圧倒的な存在感を見せている。
<青木玄徳さんのプロフィル>
あおき・つねのり 1987年10月19日生まれ。埼玉県出身。モデルとしてCM出演を経て、ミュージカル『テニスの王子様』で本格デビュー。初のミュージカル出演ながら、原作でも人気の高い氷帝学園テニス部部長・跡部景吾を気高く演じ、他を寄せ付けない卓越したカリスマ性を発揮している。