満島ひかり:“大陸の花嫁”の現実に「重いものを背負って演じた」 ドラマ「開拓者たち」

那須での撮影を終え、笑顔を見せる満島ひかりさん(右)と石田卓也さん=NHK提供
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那須での撮影を終え、笑顔を見せる満島ひかりさん(右)と石田卓也さん=NHK提供

 女優の満島ひかりさん(25)主演で12年1月にNHKのBSプレミアムで放送されるドキュメンタリードラマ「開拓者たち」の栃木県那須町での撮影が7日、終了し、満島さんは「いつも重いものを背負って演じたような気がします。 どの撮影の瞬間も必死でした」と撮影を振り返った。満島さんはこの後、静岡県の伊豆で撮影に臨み、クランクアップを迎える。

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 ドラマは、日中国交正常化40年と同局のBSプレミアム開始を記念して制作された。満州事変以降、旧満州(現中国東北部)に移民した開拓団のひとつ「千振開拓団」の実話をベースにし、満島さんは、口減らしのために開拓団員に“大陸の花嫁”として嫁ぐ主人公・ハツを演じた。物語は、旧満州へ渡った4人のきょうだいが、敗戦とソ連侵攻によって、過酷な逃避行と避難生活を余儀なくされた後、日本に帰国し、栃木県の那須で新たな開拓に挑んだ姿を描く。

 6月から約4カ月にわたって、中国・天津や日本各地で撮影を行ってきた満島さんは「実際に開拓にあたった方々が住む場所で、想像を絶する体験をした方々のお話をうかがいながらの撮影だったので、真摯(しんし)に誠実に向き合いながら演じなければと思ってやってきました。戦前戦後にこうした開拓者たちがいたということを知ることができただけでも自分自身にとってすごく大きいことでした」とコメント。「この地球に人間が生きていることを実感できる生命力にあふれたドラマになると思います」と語り、那須の感想を「とても空の広い神秘的な場所でした」と述べた。

 北川惠・制作統括は、出演者やスタッフが、東日本大震災の被災者や福島第1原発の事故などの現在の日本の状況と、開拓者の体験を重ね合わせ「何を学び何を伝えられるのかを考え、悩み抜きました。満島さんはじめ、出演者の皆さんの素晴らしい熱演は、そうした軌跡の末に生まれたのだと思います」とコメント。今回のドラマを「多くの苦難をたくましく乗り越え、生き抜いた人々の物語」と説明し、「この物語が、大勢の方々の心に勇気の灯をともすことになればと願っています」と話した。また那須での撮影で「那須岳の麓に素晴らしい大地を築かれた皆さんへの尊敬の思いを一層深くしました。日本の大地も農産物も、同じような苦労を重ねた方々の努力によって生まれた恵みであることを、いま実感しています」と話している。

 ドラマにはハツを支える弟・史郎役で石田卓也さん(24)、開拓民を守るために軍への入隊を志願するもうひとりの弟・金次役で綾野剛さん(29)、ハツの妹で看護師になる夢を持つ富枝役で山下リオさん(18)、ハツの夫・速男役で新井浩文さん(32)らが出演する。

 放送は12年1月から全4回。(毎日新聞デジタル)

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