秋の連ドラ:高視聴率が続々 「南極大陸」「相棒」など6作が17%超え

ドラマ「南極大陸」の一場面=TBS提供
1 / 1
ドラマ「南極大陸」の一場面=TBS提供

 民放の11年10月期の連続ドラマがスタートしている。21日の時点での初回平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は、人気グループ「SMAP」の木村拓哉さんが主演する大作ドラマ「南極大陸」が22.2%で唯一の20%超えを果たし、トップを飾った。2位以降は19.7%を獲得した「相棒 シーズン10」から順に「家政婦のミタ」「謎解きはディナーのあとで」「科捜研の女」「私が恋愛できない理由」の5作品が17%以上を獲得して2.7ポイントの間に並んだ。今年7月期のドラマは、及第点といわれる15%以上を初回で獲得したのは上戸彩さん主演の「絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~」の15.4%のみだったが、今期は「南極大陸」を筆頭に続々と高視聴率を獲得している。

ウナギノボリ

 「南極大陸」は、TBSのドラマ枠「日曜劇場」(毎週日曜午後9時)で放送。同局の開局60周年を記念し、撮影に半年以上を費やした大作ドラマだ。北村泰一さんの「南極越冬隊タロジロの真実」(小学館)を原案にしている。木村さんは、第1次南極越冬隊副隊長で地質学の研究者でもある倉持岳志役で、戦後最大の国家プロジェクトとなった南極観測に仲間や樺太犬とともに命がけで挑んでいく。綾瀬はるかさん、堺雅人さん、香川照之さん、芦田愛菜ちゃんらが出演。同枠では、これまでに木村さん主演で最高視聴率30%以上を記録した「ビューティフルライフ」(00年)、「GOOD LUCK!!」(03年)、「華麗なる一族」(07年)などを放送しており、今後の視聴率にいっそう注目が集まる。

 「相棒 シーズン10」(テレビ朝日系、毎週水曜午後9時)は、放送開始から11年となる人気刑事ドラマシリーズの最新作。「シーズン9」では全話の平均視聴率20.3%(元日スペシャルを含む)を記録しており、今シーズンの初回平均視聴率19.7%はシリーズ最高の出だしとなった。今作は、警察庁の大物幹部の後ろ盾をなくした水谷豊さん演じる杉下右京が、己の正義を守るというスタンスを貫いていけるのかが見どころの一つ。3位となった「家政婦のミタ」(日本テレビ系、毎週水曜午後10時)は、女優の松嶋菜々子さんが約2年ぶりに連ドラ主演を務め、初回は19.5%、第2話は18.7%と高視聴率をキープしている。松嶋さんが演じるスーパー家政婦・三田灯(みた・あかり)が、鉄仮面のように無表情のまま、頼まれた仕事を何でも忠実に“完璧に”こなしていく。松嶋さんの怪演が光る。

 初回平均視聴率18.1%で4位につけた「謎解きはディナーのあとで」(フジテレビ系、毎週火曜午後9時)は人気グループ「嵐」の櫻井翔さん主演で、今年の本屋大賞を受賞した東川篤哉さんの大ヒット小説をドラマ化した。櫻井さん演じる執事・影山と、影山が仕える大富豪の令嬢かつ新米刑事の宝生麗子が難事件を解決していくユーモアミステリー。5位につけた「科捜研の女」(テレビ朝日系、毎週木曜午後8時)は沢口靖子さん主演で第11シリーズに突入した人気ドラマ。初回でシリーズ歴代最高タイ記録となる17.1%を獲得した。今作は、風間トオルさんがレギュラーとして新加入している。6位の「私が恋愛できない理由」(フジテレビ系、毎週月曜午後9時)は初回17.0%で、11年に放送された同枠ドラマの初回視聴率でトップとなった。主演は香里奈さんで、吉高由里子さん、アイドルグループ「AKB48」の大島優子さんという旬の女優をそろえている。

 今後は、22日午後9時から人気アニメをドラマ化し、アイドルグループ「KAT-TUN」の亀梨和也さんが主演する「妖怪人間ベム」(日本テレビ系)、23日午後9時から西島秀俊さんと韓国女優キム・テヒさんがダブル主演するラブコメディー「僕とスターの99日」(フジテレビ系)などのドラマがスタートする。

 メディア文化論が専門の稲増龍夫・法政大学社会学部教授は今期の高視聴率化の傾向について「10月期は毎年一番力が入るクールで、今年はとくに各局が久しぶりに本気を出してきたということでしょう。今クールは各局ともブレがない」と指摘する。トップを飾った「南極大陸」について木村さん主演であることに加え「日本の復興という骨太なテーマを真正面から描いている。東日本大震災で落ち込んだ国民感情をもり立てるという意味でも時期もぴったりだったんでしょう」と分析。続けて「月9は香里奈さん自身の“強い女”というキャラクターが役に合っており、役柄の性格もブレていない正当派の恋愛ドラマ。『相棒』は放送すれば高視聴率が期待できるわけですから、この時期まで温存していたんでしょう。『家政婦のミタ』や『謎解きはディナーのあとで』など演出や映像表現も凝っている」と評した。

 また稲増教授は「今クールは予告を見て初回を見てみたいと思う作品が多かった。冬は家でテレビを見ることが増える時期でもありますし、しっかりとしたいいものを作れば、高視聴率を獲得できるということでしょう」と話している。現在の上位ドラマがどこまで数字を伸ばせるか、また今後スタートするドラマがどこまで高視聴率を獲得できるのか。今後のドラマの視聴率に注目だ。(毎日新聞デジタル)

テレビ 最新記事