名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
うだつの上がらない平凡な青年が、危険なギャンブルに命をかける福本伸行さんの人気マンガを、藤原竜也さん主演で映画化した「カイジ2 人生奪回ゲーム」(佐藤東弥監督)が5日、公開される。今回、福本さんは脚本にも挑戦、自らの手で映画ならではの「カイジ」を描き出した。そんな福本さんと佐藤監督に作品への手応えを聞いた。
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「カイジ」は、96年から福本さんがマンガ誌「ヤングマガジン」(講談社)で連載し、コミックスの発行部数がシリーズ累計1800万部を超える人気マンガ。ささいなきっかけから多額の負債を抱えたカイジが、危険なギャンブルの世界に巻き込まれ、個性的な強敵たちと命懸けの駆け引きをするというストーリー。07、11年にテレビアニメ版が放送されたほか、09年に「カイジ~人生逆転ゲーム」として実写映画化され、興行収入22億5000万円というヒットを記録した。
映画2作目となる「カイジ2」は、原作でも人気の高い「欲望の沼」をベースに、福本さんが新たに考案したゲーム「姫と奴隷」などを盛り込んだ。藤原さん演じるカイジと、伊勢谷友介さん演じる裏カジノの支配人で最大のライバル、一条聖也の息詰まる駆け引きや、吉高由里子さん、生瀬勝久さん、香川照之さんが演じた仲間たちとの信頼や裏切りが渦巻く人間ドラマが展開する。
「何度も作り直していく中で、キャラクターが成長していく感じが面白かった」と脚本家デビューの感想を語る福本さん。普段描いているマンガでは、ストーリーが面白いと「勝手にキャラが“立ってくる”」が、映画の脚本は、俳優がどのように演じるかをふまえて、キャラクターの人間像などを突き詰めていく作業だと分析。「このネタは最初はカイジがやる予定だったけど、(香川さん演じる)利根川にやらせようとか、いろんな面白さや工夫が積み重なっていって、結果的に作品がどんどん深まってくるんですよ」と映画作りならではの魅力を語る。
そんな福本さんの脚本について、佐藤監督は「自分が作った原作を自分自身で変えて、より映画向けに面白くしていくのがすごい」と絶賛だ。メディアとしての特性の違いも手伝って、ストーリーから細かいせりふまですべて原作と同じ映画を作っても、原作のファンから違和感を持たれてしまうことが多いという。そんな中「カイジ2」は、原作者自らが脚本も手がけたことで「ストーリーやせりふも結構原作と変わっているのですが、世界観やカイジの持つメッセージ性が共通しているので、見た人は『カイジだ』と思ってくれる。稀有(けう)な例だと思います」と強調する。
今回の映画のために、福本さんが考案した新ゲーム「姫と奴隷」は、三つの扉がある密室に閉じ込められた「奴隷(プレーヤー)」が、各扉に対応した三つのボタンから一つを選び、脱出を目指す。「姫」がいる正解の扉のボタンを押せば生還できるが、残った二つの扉の先にはそれぞれ凶暴なライオンがおり、間違ったボタンを選択するとライオンに食べられてしまう。ところが、「姫」はあらかじめ正解のボタンを知っており、「奴隷」に伝えることもできる。ゲームの様子は観客たちに公開されており、「姫」が真実を伝えればきわめて簡単なはずなのだが、「姫」と「奴隷」の信頼関係が成否を大きく左右する「カイジらしい」ゲームだ。佐藤監督は「アイデアをいただいた段階で、人間の裏切りを期待して、それが見せ物になっているというところからすごいなと思ったんです。そして、カイジがその裏をかいていくところがさらに面白い」と熱っぽく話す。
「やっぱり役者の方々が素晴らしかった」と振り返る福本さん。「結局僕の映画って、格闘シーンもないし、ミサイルも飛ばないし、役者さんが頑張るしかない。役者さんにおんぶにだっこなんですよ」と笑う。「脚本家デビューなんてとんでもない」と謙そんする福本さんだが、「もしも(映画の)3の話が出てくるとしたら、チャレンジしたい気持ちはありますね」と意欲を見せる。原作では「欲望の沼」の後、マージャンをテーマにした「17歩」というゲームでの対決となるが、「映画だとマージャンはなかなか難しいと思うんですよ。だからもしやるとしても、相当単純化した何かに作り替えることになるでしょうね」と矢継ぎ早に語って目を輝かせた。
「カイジ2 人生奪回ゲーム」は5日から全国で公開。(毎日新聞デジタル)
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2024年12月22日 23:00時点
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