はじめの1巻:「泣き虫チエ子さん」 心温まりながらもなぜか切ないささやかな夫婦の日常描く

益田ミリさんのマンガ「泣き虫チエ子さん」(集英社)1巻の表紙
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益田ミリさんのマンガ「泣き虫チエ子さん」(集英社)1巻の表紙

 1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「月刊YOU」(集英社)で連載、チエ子さんとサクちゃん夫婦の日常を描いた益田ミリさんのマンガ「泣き虫チエ子さん」です。

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 会社で秘書の仕事をするチエ子さんと自宅で靴の修理店を営むサクちゃんは、たまにケンカもするけれど仲のいいごく普通の夫婦。チエ子さんは会社帰りにサクちゃんにいつも電話をしてスーパーで待ち合わせ。,2人はデートのように夜ごはんの買い物を楽しみ、チエ子さんはサクちゃんの後ろ姿を見て幸せな気持ちになる……など、2人が互いを思いやりながら過ごす、ほのぼのとした日々の様子が描かれている。

 ◇編集部からのメッセージ 月刊YOU 木原陽子編集長 「胸をぎゅっとされるような切なさが魅力」

 益田ミリ先生に原稿の依頼をして約3年……。すーちゃんシリーズをはじめ、マンガ、エッセイ、小説と大活躍のミリ先生がマンガ誌「月刊YOU」で初連載……! 「泣き虫チエ子さん」というタイトルを聞いたときに「これはいいな!」と思いました。大人になると、なかなか泣けなくなりますよね。年齢的にも状況的にも涙を流してはいられない……。チエ子さんは、子どものころはお姉さんだから、いろいろ我慢しなくてはいけなくて、泣けなかった。でも大人になって、サクちゃんという夫を得て、素直に泣けるようになったんです。

 チエ子さんとサクちゃんの夫婦は、なんとも自然体で、それぞれしっかりと自分の足で立っていながら、でも相手のことを尊重し、大事にしている。こんなふうに生きたい!と思わせてくれるんですよね。

 チエ子さんは日々の生活の中に幸せを見つけるのがすごく上手です。それは一回きりしかない自分の人生としっかり向き合っているからだと思います。だから、どちらかが死んだら……ということにまで思いを馳せる。「泣き虫チエ子さん」には胸をぎゅっとされるような切なさがあって、それもこの作品の魅力だと思います。何気なく過ごしている日常にこそ、大事なものが詰まっているのだから−−心温まる一冊をぜひどうぞ!

 ◇書店員の推薦文 伊吉書院類家店 中村深雪さん 「結婚しても恋をしている2人が素敵」

 「結婚とはこういうものだ」と型にはめることもなく、2人にしかわからないルールでささやかに営まれる生活。「幸せって 目に見えるものだったんだな」というチエ子さんの言葉こそがこのマンガの魅力そのもの! 幸せエピソードの積み重ねに胸が温かくなります。特に印象的だったのはチエ子さんが結婚を決意した瞬間。どんなきっかけなのかは読んでいただきたいのですが、結婚は大事件ではなく、別々に生きてきた2人の日常が自然に重なっていくものなのだなと感じました。結婚しても恋をしている人がとても素敵です!

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