寒竹ゆり監督:沢尻エリカ4年半ぶりの復帰作「芝居が上手なことを見せつけたい」 BeeTVドラマ

「L et M(エルとエム) わたしがあなたを愛する理由、そのほかの物語」の寒竹ゆり監督(手前右)と沢尻エリカさん(C)BeeTV
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「L et M(エルとエム) わたしがあなたを愛する理由、そのほかの物語」の寒竹ゆり監督(手前右)と沢尻エリカさん(C)BeeTV

 女優の沢尻エリカさんが約4年半ぶりに女優復帰する携帯専用放送局「BeeTV」のドラマ「L et M(エルとエム) わたしがあなたを愛する理由、そのほかの物語」が1日から配信される。沢尻さんの女優復帰第1作となる同ドラマのメガホンをとったのは寒竹ゆり監督だ。「(沢尻さんの)復帰作としてほかの監督が撮ったら嫌だなというのが正直な気持ちだった」と話す寒竹監督に起用の理由や沢尻さんの印象、ドラマについて聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 同ドラマは、仕事をバリバリこなしキレイでかっこいいが恋愛に関しては奥手な女性“絵瑠(エル)”と、明るく可愛らしいが恋愛に関しては積極的で小悪魔タイプな女性“絵夢(エム)”という、見た目も性格も対照的な女性2人を主人公に、それぞれの恋愛事情を繊細かつリアルに描くラブストーリー。1話あたり5分程度で、携帯配信ということで寒竹監督は「『次も見たい』という衝動を(視聴者に)起こさせるために普段より“フック”(仕掛け)を付けることを意識して作っていった。それがすごく勉強になった」と話す。物語は絵留と絵夢というそれぞれの2人の女性を中心に進んでいくが、絵留と絵夢を取り巻く登場人物たちの動きや、リンクし合う世界にちりばめられた“仕掛け”にも注目だ。

  寒竹監督は、これまでに佐々木希さんが初主演した映画「天使の恋」(09年)や人気アイドルグループ「AKB48」の初のドキュメンタリー映画「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」(11年公開)を手がけている。

 寒竹監督は沢尻さんについて、「“いいやつ”。役作りのために体を作ったり、積極的に意見をくれたりストイック。モノを作るという意識を共有できる人」と言い切る。「(沢尻さんは)女優らしい女優で“役者バカ”。(役に)入り込む力が強い分、(周りからは)不器用に映るんじゃないかな。役者じゃないと生きづらいと思うし、だから戻ってきてくれてうれしいし、すべての行動が理解できる」と女優として絶対的な信頼を寄せる。

 寒竹監督が興味を持ったのは“女優・沢尻エリカ”だけではなく“25歳の沢尻エリカ”。「二十歳が成人ということになっているけれど、私自身、本当の意味で大人になったのは25歳。彼女は今ちょうど25歳で、ましてやいろいろなことがあった中、彼女がどんな気持ちでいるのかというのに興味があって、等身大の女の人を描くラブストーリーを彼女でできることに興味を持ちました」と明かした。

 沢尻さんで1人2役で全く正反対の女性を描こうと思った経緯を聞くと、「沢尻さんの復帰作で彼女はお芝居が上手。それをきちんと見せたかった。そのためにはインパクトも必要だった。沢尻エリカが復帰するからといって手放しで喜べる状況じゃないし、それを本人も分かっている。そこで『やっぱり沢尻ってすごいよね』って言ってもらいたいし、そう思わせられなかったらそれは私の責任。そこを見せつけるために(2人の女性を演じるのは)一番ベストで分かりやすい形態なんじゃないかなと思った」と話した。また、「沢尻さんには60歳、70歳になっても女優さんでいてほしいし、(沢尻さんの)未来につながる一作であってほしいし、それが期待できる作品でなければ意味がないんです」と真剣な表情で語る。

 沢尻さん演じる絵留と絵夢を取り巻く俳優陣が同ドラマを一層盛り上げている。絵留がひそかに思いを寄せる「さらっとしたさわやかな」年上の男性・真一役にあえて「そのようなパブリックイメージがない、におい立つような魅力を持った」村上淳さん(38)、そして絵夢の年下の男友だち・啓に「一つのしぐさでも奥行きのある演技をする」と寒竹監督が絶賛する中村蒼さん(20)を起用、そのほかに岡田義徳さん(34)、津田寛治さん(46)といった実力派俳優陣が脇を固める。また、沢尻さんが着用する劇中衣装は女性ファッション誌「sweet」(宝島社)と「GLAMOROUS」(講談社)がプロデュース。中には沢尻さんの私物も使用されているといい、約50着の最新ファッションを着こなす沢尻さんのファッションも見どころだ。

 最後に同ドラマのキーワードでもある「いい女」について、寒竹監督は「これこれこうだからいい女っていう答えはないもの。与えられた場所、エリカならエリカで25歳の彼女が今置かれている立場とか、状況の中で本気でやって自分の中で熟成させて生まれた哲学、信念を持っている人が“いい女”なんじゃないかなって思いますね」と表現した。ドラマは1日から配信され、毎週月曜更新。1話約5~7分、全12話の予定。

 また、BeeTVを配信するドコモではスマートフォン・タブレット端末で提供中のサービス「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」の対応機種を1日から拡張する。「dマーケット VIDEOストア powered by BeeTV」は、BeeTVのほか新作映画からドラマ、アニメ、音楽まで日本最大級のタイトル数、全5000タイトル以上を定額525円で見放題で配信している。キーワード検索やジャンル検索に加えて旬のタイトルの特集など見たい番組を簡単に探せるほか、お気に入りの作品はマイリストに入れておくだけで好きなときに見ることができ、ダウンロードすれば電波が届かないところでも視聴できる。

 <プロフィル>

 かんちく・ゆり 1982年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部在学中に初めて書いたシナリオを岩井俊二監督に送り、このシナリオに基づくラジオドラマ「ラッセ・ハルストレムがうまく言えない」(池脇千鶴主演)で脚本家デビュー。岩井監督に師事し、映画「虹の女神」(06年・熊澤尚人監督)のメーキング、編集助手など務めるかたわらラジオドラマの演出を手がける。佐藤健のDVD「My Color」、上野樹里のDVD「ao akua」の監督を経て「天使の恋」(09年)で長編映画初監督。ほかにAKB48のドキュメンタリー第1弾となった「DOCUMENTARY of AKB48 to be continued 10年後、少女たちは今の自分に何を思うのだろう?」(11年公開)がある。

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