篠原涼子さんの当たり役といえる敏腕刑事・雪平夏見を主人公にした人気シリーズ「アンフェア」の11年9月に公開された劇場版第2弾「アンフェア the answer」のDVDとブルーレイディスク(BD)が3月21日に発売される。06年1月に連続ドラマがスタートし、その後、スペシャルドラマの放送や映画化もされ話題を呼んだ人気シリーズで、主人公の雪平はバツイチ、子持ち、大酒飲みだが鋭い嗅覚と執拗(しつよう)な捜査で難事件を解決してきた。今回の劇場版では「すっごく弱くて、女っぽい雪平が見てみたい」と監督にいわれ、「雪平なりの感情を表に出すようにした」という。そんな篠原さんに、撮影の苦労や女優としての将来像について聞いた。(毎日新聞デジタル)
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06年に連続ドラマがスタートしたときは雪平というキャラクターを確立するため、試行錯誤の連続だったという篠原さん。「再放送とかで第1話を見ちゃうとすごく恥ずかしい映像になっているんです(笑い)。キャラクターが今と全然違うんですよね。6年くらいたっているので、成長したからこうなったでいいとは思うんですけど、それぐらい、どういうふうにこのキャラクターを作っていこうかというところから、もがきにもがいてスタートしました」と振り返る。
篠原さんなりに雪平のキャラクターを「冷血でクールで、でもちょっと温かみがある」と分析する。それを今回は佐藤嗣麻子監督から「すごく弱い雪平を見せてほしい。そしてめちゃくちゃ女っぽい雪平が見てみたいっていわれたんです。いままでは1人で立ってても全然生きていけるという、感情が無機質な感じだった雪平が、感情が表に出るような雪平にしてほしいといわれた」ことに戸惑った。「あんまり感情が出過ぎちゃうと、私にとっての雪平像もくずれてしまう。雪平をやる上での感情を出すのはここくらいまでかなって、出し過ぎず、ブレーキをかけたりしたのは難しかったですね。全部出し切っちゃうとだめだから、ちょっと半分くらいに抑えてというのはすごく難しかった」と微妙なバランスに気を使いながら演じていった。
今回の台本は「これで雪平は最後だ」といって渡されたという。「びっくりしたのは、読んでいて途中で雪平がバーンッて(撃たれて)死んじゃうんですよ。本当に死んじゃうのかなと思って。雪平はこれで終わりだよと聞いていて台本をもらったものだから、こういう終わり方?って本当に思っちゃって(笑い)。私も何年、『アンフェア』に携わって、しかも主役をやっているのに、なんで一番最初にだまされてるんだよって」と笑顔で語る。普段はじっくり時間をかけて台本を読み進めるが、今回は「もったいぶる間もなく、いや、もったいぶれないくらいすごく面白かったので、すぐにページをめくって(次が気になって)30分くらいで読んじゃいました。時計を見て、あれ、まだ30分くらいしかたってないって」と夢中で読んでしまったという。
見どころはまず、連続殺人犯だと思われる男の家に雪平が単身で乗り込む場面だという。「結構アンティークなものがそろっていて、おしゃれで、無機質な雰囲気なんだけれども、生活感が漂うような生活のにおいがある感じだったので。気持ち悪いんだけど、おしゃれで、カッコよかった。緊張感ただようシーンで、サイコ的でね。ああいうのはこれまでの『アンフェア』では作っていなかった世界でしたね。あとはやっぱり謎解きですね。『アンフェア』では定番ですが、最後のところの、中島美嘉さんの主題歌がかかって、これまでの映像がフラッシュバックで流れるんですけど、あそこも結構面白いですよね。映画館で見ると見直せないけど、DVDだったら見直せるから、じっくり見られると思います」とアピールする。
主演の篠原さんもだまされたという余韻を残すラストシーン。今回がシリーズ最後だと銘打っているが、本当に続編は作られないのだろうか。「続いてほしいというのはありますけど、続かないと思いますね。『アンフェア』っていつもこういう終わり方しているから、(映画でも)相変わらず、そういう終わり方なんだなって。クソッって(悔しがらせる)くらいで、それが『アンフェア』らしいのかなと思いますね。展開的には続きが見たいですけどね。どうなっちゃうのかな、雪平のその後って」と篠原さん自身も心のどこかで続編を期待している部分があるという。
完成作について、「プロモーションをやっている最中から、すっごく面白かったから、早く見せたいという感覚になっちゃって。プレッシャーというよりも、それまでの『アンフェア』と全然ニュアンスが違うから、続編というより別物として見てもらいたいし、すごく作品が面白くて、素晴らしい魅力的なキャストの人たちもいて、自信はありました」と胸を張る。
10年後は「いろんな役を演じて、それをこなせてる人間になれていたらいいですね」と将来像を思い描いた。10年後、48歳でやってみたい役は「着物が似合う役」だといい、「今は全然似合わないので、着物が似合う女優さんになっていたいですね。着物といっても時代劇に限らず、着物を着る時代背景の役柄をこなせるような女優になりたいですね」と思いをはせていた。
次回は、篠原さんの休日の過ごし方や生き方などについて聞く。
<プロフィル>
1973年8月13日生まれ。群馬県出身。90年に「東京パフォーマンスドール」のメンバーとしてデビュー。94年にシングル「恋しさとせつなさと心強さと」をリリースし、220万枚以上の売り上げを記録。01年ごろから本格的に女優業に移行し、同年に映画「冷静と情熱のあいだ」、ドラマ「カバチタレ!」(フジテレビ系)に出演。05年に主演したドラマ「anego」(日本テレビ系)が話題となり、06年には「アンフェア」(関西テレビ・フジテレビ系)のテレビシリーズがスタート。同年にスペシャルドラマ「アンフェア the special コード・ブレーキング~暗号解読」を放送。07年には映画化第1弾「アンフェア the movie」が公開された。同年6月にはギャラクシー賞個人賞を受賞。コメディーからシリアスまで幅広い役柄がこなせ、その演技力が高く評価されている。「アンフェア the answer」のブルーレイディスク(BD)とDVDはそれぞれプレミアムエディションとスタンダードエディションの2種が3月21日に発売予定。