ダンダダン
第8話「なんかモヤモヤするじゃんよ」
11月21日(木)放送分
中村光さんによる人気ギャグマンガを実写映画化した「荒川アンダーザブリッジTHE MOVIE」(飯塚健監督)が4日、公開された。荒川河川敷を舞台に、そこを不法占拠する不思議な住人たち……カッパのスーツを着た“村長”や、星形のマスクをかぶった“星”、さらに、自称金星人の“ニノ”など……と、ひょんなことから彼らと暮らすことになった大企業の御曹司“リク”との交流を、笑いとユーモアをまじえてつむいだヒューマンコメディーだ。11年7~10月には、映画と同じスタッフ、キャストによる連続ドラマが放送され、撮影もドラマと映画が同時に行われた。撮影は「貴重な時間だった」と振り返る、リク役の林遣都さんと、ニノ役の桐谷美玲さんに話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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「原作のマンガもドラマも、コメディーの要素が強かったのですが、映画はそれだけでなく、(リクの)成長物語だったり、親子の関係を描いているので、新たな“荒川ワールド”が見えた気がしています」と映画の感想を述べる桐谷さん。今となっては撮影当時を懐かしく思い返せるようだが、撮影当時は、林さんふんするリクに「恋をさせてくれないか」と頼み込む、ジャージー姿の金髪の金星人という役を「もちろん、金星人なんてこれまでやったことありませんし、あまりにも参考にするものが少な過ぎて、最初は不安と戸惑いしかありませんでした」と当時を振り返る。
それでも、弱音をはきつつリハーサルを重ねる中で「ニノってどういう子だろう、一緒に考えてみようと飯塚監督が言ってくださって。実際、監督と2人、ニノの好きそうな食べ物を言い合ったりした」という。撮影前には1週間ほど自宅で「裸足に上履きをはいて、ジャージーで過ごしてみたりもした」という。表情を変えられない設定のため、ほかのキテレツなキャラクターたちを見て、笑いをこらえなければならないという二重の苦労も味わった。笑いをこらえていると眉間(みけん)にシワが寄ってきて、そのつど、飯塚監督からは「ニノ、眉間!」と注意が飛んできたという。
そうして出来上がったニノというキャラクター。自身との共通点は「ない」としながら、うらやましいと思うところは、「自分の思いを素直に伝えられるところや、私たちが当然だと思って口にしないことでも、(ニノは)きちんと人に伝えることができるところ」を挙げた。ちなみに、桐谷さんが監督と考えた、ニノが好きそうな食べ物は、基本的に海のもの。中でも「ナメロウ(アジなどをたたいて作る料理)とかナマコとかモズクとか。実際、私もそういう、“地球っぽくない”ものが好きなので、そのへんは似ていますね」と、ニノとの数少ない共通点を挙げていた。
一方、河川敷の住人たちに比べればいたって“普通の”リクを演じた林さんもまた、「主演としてのプレッシャーに、いっぱいいっぱいのときがあった」と打ち明ける。だがそれ以上につらかったのは、桐谷さん同様、コスチューム姿の共演者たちの存在。「あの格好のままふざけて、いたずらに僕を巻き込もうとしてくれる人がいて、笑っちゃうことが何度もありました」と苦笑する。
2人を笑わせた共演者は、特殊メークに毎日2時間かけた、小栗旬さん演じるカッパの着ぐるみ姿の村長や、山田孝之さん演じる星形マスクをかぶったロックミュージシャンの星、ほかに、シスターの格好をして銃を持ち歩く城田優さん演じる“シスター”などさまざま。その、小栗さんとは初共演で初対面の林さんは「(小栗さんは)眉間が固定されているマスクをつけていたので、どこから見ても怒っているようにしか見えなくて、怖くて仕方なかった」と撮影初期を振り返る。小栗さんと気心が知れていて、現場ではムードメーカーだった城田さんが、小栗さんに「怒ってる?」とときどき話しかけ、そのつど小栗さんは「本当に分かってほしいんだけど、全然怒っていないよ」と答えていたという。それでも撮影後半には、林さんは「(小栗さんが)マスクをつけて話していても、表情がたいぶ分かるようになりました」と“収穫”を得た。
映画は、他人に借りを作ることを極度に嫌い、荒川河川敷の奇妙な住人たちを冷静な視点で突っ込みまくるリクと、自称・金星人の奇妙な女の子ニノのロマンスについても描いている。演じる2人に、それぞれ相手の役柄をどう思うかたずねると、桐谷さんは「リクはすごく真面目で、一生懸命なところはすてきだと思う」と前置きしつつ、「恋愛対象として付き合うなら、細かそうで面倒くさいだろうな。私は割と大雑把な性格なので、いっぱいダメ出しされるんだろうな」と分析。
かたや、桐谷さんより一つ年下ながら、桐谷さんいわく「頼れる存在」の林さんはニノについて「人に足りないものをいっぱい持っている女性。素直さもそうですが、人を簡単に判断しないところがすてき」で「人を幸せにする女性」とベタ褒め。そして、自分が恋人とケンカをしたときのことを想像して「彼女が(ニノのように)すねてジャージーを頭からかぶったり、布団から出てこなくなったりしたら、このヤロー、みたいでいいですよね」と目を輝かせた。すると、すかさず桐谷さんが「うそ、よく考えて。絶対に面倒くさいよ。ちょっと機嫌が悪いだけで(布団から)出てこなくなっちゃうんだよ」と、このときばかりは“頼れる”林さんに、お姉さん風を吹かせていた。「荒川アンダーザブリッジTHE MOVIE」は4日から全国で公開。
<林遣都さんのプロフィル>
1990年、滋賀県生まれ。07年「バッテリー」が俳優デビュー作ながら初主演を飾り、日本アカデミー賞などで新人賞を受賞。その後も「DIVE!!」(08年)、「ラブファイト」(09年)、「風が強く吹いている」(09年)、「パレード」(10年)などに出演。ほかに、12年公開待機作として「莫逆家族 バクギャクファミーリア」や「ガール」などがある。
<桐谷美玲さんのプロフィル>
1989年、千葉県生まれ。06年「春の居場所」で映画デビュー。「赤い文化住宅の初子」(07年)、「同級生」「体育館ベイビー」(ともに08年)に出演。「音楽人」(10年)では主演を務めた。ほかのおもな出演作に「君に届け」(10年)、「ジーンワルツ」(11年)、「ランウェイ☆ビート」(11年)、「乱反射/スノーフレーク」(11年)など。12年公開待機作に「逆転裁判」(11日公開)がある。
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