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トーマス・ホーン:「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」に主演 天才少年の素顔は?

映画
米映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」で主演した“天才少年”トーマス・ホーン君

 12年の米アカデミー賞で作品賞にノミネートされている「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」は05年に出版された同名小説を、「リトル・ダンサー」「愛を読むひと」などで知られるスティーブン・ダルドリー監督が映像化したヒューマン作だ。主人公は、01年9月11日のアメリカ同時多発テロで、トム・ハンクスさん演じる最愛の父を失った少年オスカー。亡き父のクローゼットで一つの鍵を見つけた彼は、その鍵が、父からの最後のメッセージに違いないと確信し、その鍵穴を探す旅に出るというストーリーだ。オスカーを演じたのは97年生まれのトーマス・ホーン君。初出演にして初主演作がアカデミー賞候補になったのは「本当にラッキーだった」というトーマス君に来日の際に話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 主人公オスカーは、知能が高いうえに感受性が強く、強迫観念にとらわれた行動をとることがある。それゆえ人づきあいが苦手だ。演じるホーン君は、米国の人気クイズ番組に出ていたところを今作のプロデューサーに見いだされた。もともと地理が得意で、その方面のクイズ番組ではカリフォルニア州で3位になったことがある。また、母親がクロアチア人ということでクロアチア語を話し、いまは中国語も勉強中。そんな彼だから暗記は得意だが、演技は小学校の学芸会の舞台に立った程度の“素人”だった。

 それでも、オーディションで彼を見たダルドリー監督の目に狂いはなかった。ダルドリー監督といえば「リトル・ダンサー」(00年)でジェイミー・ベルさん(「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」など)を見いだすなど新人の発掘には定評がある。その期待に、ホーン君は応えた。役作りとして、(他者とうまくコミュニケーションがとれない)アスペルガー症候群について調べ、また、当時4歳足らずだった彼にとっては「無関係だった」9.11同時多発テロの被害者の遺族と実際に話をした。それによって「無知だったことに罪悪感を覚えるほど悲しい出来事だったと悟った」という。

 そうした体験とともに、役作りにもう一役買ったのが、撮影現場近くに設けられた専用の部屋。ホーン君が役に入り込めるようにダルドリー監督が用意してくれたのだという。「20~30分考えて、自分がオスカーになりきる準備ができたと思ったら、そこから出てセットに向かいました。そういう時間とスペースを用意してくれたことを、とても感謝しています」と監督への感謝も忘れていない。

 ベテラン俳優との共演も、彼にとっては心に深く刻まれた出来事だったようだ。母親役のサンドラ・ブロックさんとは、父親を失った悲しみを彼女に向けて爆発させるシーンがある。その撮影のときは、リハーサルと話し合いに5~6時間をかけた。また、別の場面では、完璧を追求し、20テーク以上を重ねたブロックさんのプロ根性を「本当に尊敬に値すると思って見ていました」と振り返る。また、ハンクスさんとの父と子の関係作りにおいては「お父さん(ハンクスさん)側で全部やってくれたようなもので、僕にとっては楽な役作りでした」と打ち明ける。そのハンクスさんに対しては「とても優しくて、僕をリラックスさせてくれ、何に対してもいろいろサポートしてくださる方でした」と懐かしそうに語る。

 もう1人、オスカーが密接に関わる大人として、祖母のアパートの“間借り人”がいる。彼はのちにオスカーにとっての心強い“相棒”となるのだが、それを演じたのは、最近ではリドリー・スコット監督作「ロビン・フッド」に出演していたスウェーデン出身のベテラン俳優マックス・フォン・シドーさんだ。ホーン君は、フォン・シドーさんが自身の(大昔の)子供時代のことを話してくれたのが「楽しかった」そうで、中でも「フォン・シドーさんが13、14歳のころ、学校で演劇を見に行ったときに、芝居こそが自分がやるべき仕事だと感じたと話してくれた」ことがとくに印象に残っているという。ならばホーン君も、今作への出演を機に俳優の道に進むことを考えているのだろうか。

 「今回のことで、プロの俳優さんがどういう演技や立ち居振る舞いをし、他の人々とどう接するのか、そういうことを学べたことは大きいですし、国内外のいろんな国を訪れ、その土地の文化を知ることもできました。それらは素晴らしい経験です」と満足している。ただ、演技の道に進むことはあくまでも「一つの選択肢」であり、「そういう(演技の道に進む)ことをする前に、まずはいい大学に行って、興味があることを勉強したいんです」と目を輝かせる。

 目下、興味があるのは「コンピューター・サイエンス」で、プログラミングの授業を高校で受けているのだという。実は、ホーン君は14歳だが、高校1年生の授業を受けているのだ。さらに「数学も好きだし中国語も勉強しています。歴史にも興味があります。でも、これというものはまだ決めていません」。映画でオスカー少年が、父親からのメッセージに通じる扉の鍵穴を懸命に探したように、ホーン君は、今まさに人生の新しい扉を開けるための鍵探しに夢中のようだ。映画は全国で公開中。

 <プロフィル>

 1997年、米カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。医者である両親の下に生まれる。弟が1人いる。小学校6年生のとき、ナショナルジオグラフィックが主催する地理クイズに参加し、カリフォルニア州で3位になった。また12歳のとき、弟に勧められ米人気クイズ番組に出演、今作のプロデューサーの目にとまり、オーディションを受けて見事、オスカー役を射止める。母親の母国語であるクロアチア語に堪能で、中国語も勉強中。スキー、空手、テニス、クロスカントリーをたしなみ、ピアノも弾く。ちなみに今回の初来日で、日本食はすしとうなぎ、豆腐を食べたという。

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