長ぐつをはいたネコ:吹き替え版の声優・竹中直人、勝俣州和に聞く「第2弾は南の島か宇宙で!」

劇場版アニメ「長ぐつをはいたネコ」の吹き替え版で声優を務めた竹中直人さん(右)と勝俣州和さん
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劇場版アニメ「長ぐつをはいたネコ」の吹き替え版で声優を務めた竹中直人さん(右)と勝俣州和さん

 大人気の米劇場版アニメシリーズ「シュレック」のキャラクターの中で、圧倒的人気を誇るネコのプスを主人公にした「長ぐつをはいたネコ」が17日に封切られた(2D、3D同時公開)。今作で描かれるのは、プスがシュレックと出会う前のお話。捨てネコで孤児院育ちのプスが、孤児院時代の兄弟分で卵のハンプティ・ダンプティと再会、謎の美女ネコ、キティ・フワフワーテとともに、伝説の秘宝を求めて大冒険を繰り広げる。日本語吹き替え版でプスの声を担当した竹中直人さんと、ハンプティ・ダンプティの声を担当した勝俣州和さんに話を聞いた。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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 「すっごく楽しかったんです」と目を輝かせるのは勝俣さん。「僕にはちょうど小学1年生と2歳の子供がいて、一緒にいろんなDVDを見るんですが、まさしくそのジャンルの作品に自分が参加できるということで、パパとしての株が相当上がるぞと、久しぶりに一生懸命やった仕事です」と、本音ともジョークともつかないアニメの声優初挑戦の感想を、心底うれしそうに語る。

 勝俣さんが声を担当したハンプティ・ダンプティは、ちょっとした企みを持っていて、ときどき邪悪そうな笑みを浮かべる。そんな彼をプス役の竹中さんは「いとおしくて憎たらしい」と表現し、「とんでもない裏切りが待っているんだけど、勝俣くんの声がまた合ってるんだよね」と絶賛。「僕にとっては、オリジナル版の人(ザック・ガリフィアナキスさん)を超えていた」と称える。ベテランの竹中さんに褒められた勝俣さんは「久しぶりに一生懸命やったかいがありました」と喜ぶ一方で、愛着あるハンプティ・ダンプティについては、「(邪悪なのではなく)表情が豊かなんですよ」とフォロー。さらに「でもコイツ、こんな悪い顔するんだと逆に笑わされてせりふがいえないことがありました」と収録での苦労を語った。

 一方、プスが主役の作品が公開されると聞き、「すごい」と驚きながら、内心複雑だったのは竹中さんだ。というのも「シュレック2」以降、プスの声は竹中さんが担当してきたが、今作はプスがシュレックと出会う前の話。ということは年齢が若いはずだ。頭をよぎったのは「小栗旬くんとか、松山ケンイチくんとか、向井理くんとか、若い俳優さんに代わっちゃうんじゃないか」ということだった。だが、ふたを開けてみるとそうはならなかった。「えっ、俺でいいの?」と安堵しながら、おなじみの低音ボイスでプスの若かりしころを演じた。今作は、剣で闘うシーンや、竹中さんお気に入りのフワフワーテとのダンスシーンなど、アクションを伴う場面が多く、動くとノイズが入ってしまうため、「ハッ」や「フッ」といった掛け声だけの演技を求められた。お陰で「過呼吸のようになり、ああ貧血だ、となりながらやっていました」と、勝俣さんに負けない(?)苦労を明かした。

 作品については、「面白かった。すごいスピード感。リズミカルで、3Dによって画面が飛び出してくるというより、自分たちが中に入って疑似体験できる」(竹中さん)、「1時間半、アトラクションに乗っているみたい」(勝俣さん)と2人とも大絶賛。「それでいて深い話」(竹中さん)なのも特徴で、竹中さんいわく、「信じる気持ちが一番大切」ということがテーマの一つになっている。勝俣さんも「いまの世の中、何かしてあげたから何かちょうだいとなりがちですけど、ずっと横にいてあげるということも信じるということ。いろんな種類の“信じる”が、この作品の中にはあります」としみじみと語る。

 なんでも勝俣さんの小学生の娘さんは今作を見て3回泣いたそうだ。勝俣さんが自宅でハンプティ・ダンプティのまねをすると「涙が出ちゃうからやめてと怒られる」のだという。「それだけでもこの仕事をしてよかった」と笑顔の勝俣さん。ちなみに、娘さんのそれまでのナンバーワンの映画は「プリキュア」だったそうだが、どうやらそれに今作は「勝てた」(勝俣さん)ようだ。

 勝俣さんが、「全国のネコ好きの人、卵好きの人に見に来てほしい。それから最近、ちょっと小太りの人は肩身が狭いですが、この映画を見たあとではそういう人が意外と可愛く見えるんじゃないかな。ハンプティ・ダンプティみたいなおじさん、東京の新橋あたりに行ったらいっぱいいますし」と、体形を気にしているお父さんたちの励みになりそうなコメントをすると、竹中さんも「卵ってかわいいのよねえ、という人、なかなかいないもんね。そういう人が見に来てくれたら理想だよね」と後押しする。

 先に封切られた海外37カ国では、初登場1位に輝くなど大ヒットしている。とすれば、プスとハンプティの冒険物語の第2弾も大いに期待できる。「できてほしいです。仲間が増えて一緒に冒険したいです」と勝俣さんがいうと、竹中さんも「今度はハワイに行ってアロハシャツ着たいよね」。すると再び勝俣さんは「いいですね、南の島! 宇宙もいいですね」と本国スタッフそっちのけで2人で盛り上がっていた。

 <竹中直人さんのプロフィル>

 1956年、神奈川県出身。83年「ザ・テレビ演芸」でデビュー。主な出演作は、映画は「Shall we ダンス?」(96年)、「ウォーターボーイズ」(01年)、「まぼろしの邪馬台国」(08年)、「のだめカンタービレ 最終楽章」(09、10年)、テレビではNHK大河ドラマ「秀吉」(96年)、「フリーター、家を買う。」(10、11年)など多数。また、「無能の人」(91年)から「山形スクリーム」(09年)まで6作品の映画監督としても知られる。昨年夏、14年ぶりのCDアルバム「竹中直人のオレンジ気分」を発表した。

 <勝俣州和さんのプロフィール>

 1965年、静岡県出身。劇団「一世風靡」のメンバーをへて、萩本欽一さんに見いだされ、欽ちゃんファミリーの一員に。92年、堀部圭亮さんとお笑いユニット「K2」を結成。バラエティー番組を中心に活躍。主な出演作に、スペシャルドラマ「サザエさん2」(10年)、映画「昆虫探偵ヨシダヨシミ」(10年)で初めて声優を務めた。

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