注目映画紹介:「僕等がいた 前篇」 琴線に触れる名ぜりふの数々…

「僕等がいた 前篇」(C)2012「僕等がいた」製作委員会 (C)2002小畑友紀/小学館
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「僕等がいた 前篇」(C)2012「僕等がいた」製作委員会 (C)2002小畑友紀/小学館

 02年から「月刊ベツコミ」(小学館)で連載され、今年2月に発売された3月号で最終回を迎えた、小畑友紀さんの人気マンガを、前・後編の2部構成で描く「僕等がいた」の「前篇」が17日、公開された。ヒロイン高橋七美が運命の人に出会ったのは、高校2年生の新学期。その相手、矢野元晴はクラスメートの3分の2の女子が好きになるという好青年。不釣り合いに見えた2人はやがて付き合い始め、互いを運命の人と確信し始める。だが、唐突な別れが2人を待ち受けていた……。「前篇」では、現在の七美が7年前を回想する形で進んでいく。

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 矢野役の生田斗真さんのキラキラ感はハンパなく、矢野の初登場の場面では、光る星が見えたほど……。一方、七美役の吉高由里子さんも、矢野に一途な女の子を精いっぱい演じ可愛らしい。さらによかったのが脇役陣だ。矢野の親友・竹内匡史役の高岡蒼甫さんは、七美の守護者として好青年ぶりを発揮し、その姉・竹内文香役の須藤理彩さんも、いちいち的を射たコメントで、作品に対する観客の共鳴度アップに貢献する。

 高校生を主人公にした青春ドラマとなると、往々にして青くさく、恋愛重視のベタな物語に陥りがちだが、今作はそれとは異質だ。「過去に負けない今を作ろう」「後悔したことを後悔しない」などなど、数々の名言が心の琴線に触れる。それはもちろん、原作者・小畑さんのストーリーテリングのうまさのお陰だが、脚本を担当した吉田智子さん(「クローズド・ノート」「岳−ガク」)のキャラクターに対する愛情と、“大人な”感性によるところも大きい。そして、それを映像化した三木孝浩監督は、前作「ソラニン」では音楽に特化したため、物語としては少々食い足りなかったが、今作はストーリーに重きが置かれた分、ストーリーに入り込むことができた。4月21日からの「後篇」が待ち遠しい。主題歌はロックバンド「Mr.Children」の書き下ろし「祈り~涙の軌道」(前篇)、「pieces」(後篇)が採用されている。17日からTOHOシネマズ六本木ヒルズ(東京都港区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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