名探偵コナン
#1145「ホテル連続爆破事件(後編)」
12月14日(土)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、素行不良の警察官がモグラと呼ばれる潜入捜査官として暴力団内部に入り込み、幹部を逮捕するため活躍するさまを描いた高橋のぼるさんのマンガ「土竜(もぐら)の唄」です。「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)編集部の荻野克展さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
交番勤務の問題巡査・菊川玲二(20)が、ある日潜入捜査官となり、巨大ヤクザ組織に潜入するというお話です。いたってシンプルなストーリーですが、実はマンガ作品では過去に類がなく、また高橋のぼる先生のオリジナリティーあふれる作風により、前代未聞の内容となっております。お笑い、お色気、バイオレンスとエンターテインメント要素満載で、誰もが文句なく楽しめる娯楽作品ですが、ただ楽しいというだけでなく、主人公・玲二をはじめとする登場人物たちの熱い男気や感動の人間ドラマが、男女問わず読者の胸を打っているようです。今の時代に忘れかけた大切な物が詰まった作品だと思います。
−−作品が生まれたきっかけは?
今は休刊となりました「週刊ヤングサンデー」にて05年より連載開始となりました。一部で熱狂的な好評を博した世紀の怪作「資格救世主てつんど」の後、高橋のぼる先生から出た一言は「次は“王道”で勝負します!」。担当編集より「次は銀行員などいわゆる職業物はいかがですか?」と話をふったところ、先生は「なるほど……」とうなずかれました。しかし次の打ち合わせでお会いすると「“チンピラ”が描きたいですね」と。……180度違う方向ながら、高橋のぼる先生が描くチンピラ、王道……、これは間違いなくイケると、その後先生と打ち合わせを重ねるうちに「潜入捜査官」という世界が浮かんできました。そして、潜入捜査経験豊富な元・麻薬取締官の方への取材等を経て、「土竜の唄」が生まれたのです。ちなみにですが、王道を模索する中で、黒澤明監督作品をかなり参考とさせていただいており、菊川玲二という名前は「七人の侍」の菊千代から発想を得ております。
−−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。
高橋先生と毎週打ち合わせさせていただくことはとてもうれしいことです。高橋先生は大変サービス精神旺盛な方で、打ち合わせでも毎回面白いお話をしてくださり、私は笑いっぱなしです。また面白い話だけでなく、「人生は決断の連続!」など、とてもためになる人生訓・高橋語録をたくさん教えていただいており、人として成長させていただいていると感じております。
後は、いろいろな方から「土竜の唄面白いね」「玲二イイやつだね」などとお声をかけていただくことが大変うれしく思います。雁屋哲先生や高橋留美子先生などの巨匠作家から、ミュージシャンの湘南乃風の皆さん、ET-KING・KLUTCHさんなど多方面の方から支持していただいており本当に感謝しております。最近では「情熱大陸」でサッカーの内田篤人選手が「土竜の唄」を推薦してくださっているのをテレビで見て、ものすごくうれしく思いました。
担当していて、大変に感じたということは、全くございません。高橋のぼる先生は、締め切りに遅れたり、休載されたりということがこれまでに一度もなく、それどころかいつも増ページやカラーページも快くお受けいただいているという、まさに週刊連載作家のかがみのような方です。先日、中国・上海へ強行軍の海外取材に行ったのですが、その際も休載は一切なさいませんでした。「世の中に寄与貢献する」をモットーに日々ペンをふるう、高橋先生からいつも元気をもらっています。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
08年より掲載誌を「週刊ビッグコミックスピリッツ」に移してからも、おかげさまで毎回大変好評を博しており、現在単行本が第30巻(3月30日発売)まで続く長期連載となっております。長期連載作品ではありますが、単行本のどの巻から読んでも内容がよくわかり、作品にスッと入っていける構成となっておりますので、未読の方もぜひ安心して手にとってご覧いただければと存じます。また現在、最新号では「上海・激闘編」が大変熱い盛り上がりを見せており、こちらも必見です。そして「上海編」の後も、最終ターゲットであるドン・轟周宝(とどろき・しゅうほう)をどう検挙するのか……超人気キャラである玲二の義兄弟・クレイジーパピヨンとの関係はどうなっていくのか……などなど、見どころ満載の展開が待ち受けております。極道潜入伝説「土竜の唄」は今後もますます目が離せません。どうぞご期待ください!
ビッグコミックスピリッツ編集部 荻野克展
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