シンガー・ソングライターの山崎まさよしさんが、約1年7カ月ぶりとなるシングル「太陽の約束」を2日にリリースした。今作は、NHKの「スタジオパークからこんにちは」テーマソングである表題曲を含め、今の日本の“復興”というターニングポイントを映し出した意味深い1枚。山崎さんに、その真意について聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)
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−−昨年はライブ活動がメーンで新曲のリリースがなかったわけですが、それには何か理由があったんですか。
昨年は、東日本大震災で国中が不安を抱えてるような感じだったんで、あまり制作できるという雰囲気でもなくて。音楽の意味というのをすごく考えましたね。人が今まで楽しんだり、糧にしていたものとしての価値とか、“じゃあ実質役に立つものは何だ?”とか。でも、どんな状況であれ、制作とライブという二つの流れでやってきたことには変わりなくて、できることも実はそれしかないっていうところで、自分の中ではライブやコンサートで“動く”っていうことがすごく重要だったんじゃないかなと思います。
−−そんな時期をへて発表した新曲「太陽の約束」は、NHK総合「スタジオパークからこんにちは」のテーマソングとして書き下ろしたそうですが、“光”や“希望”がテーマになっているんですよね。
“光“という言葉って抽象的だし、どこかあやうい響きがあって昔は好きじゃなかったんですよ。いってみれば“例え”にすぎないから、それを具体的に(何かを)指し示すものの方が僕は書きやすかったんです。“君”や“あなた”、“月”や“太陽”とか。でもやっぱり、僕自身、ずいぶん(曲を書くことから)遠ざかっていて、“光”がちょっと失われてたんですね。楽曲制作のモードになれなかったのは、何かしら暗闇の中を模索してたのかもしれない。その中で“光”という言葉が出てきたので、それは素直に出そうかなという。
−−歌に「太陽に選ばれた君」という言葉も出てきますが、“太陽”は“光”を象徴するものとして用いたワードなんですか。
太陽が照らしたもの、太陽が育むものを“光”としています。植物だったら新芽とか。あと、新たに生まれた子供、木、花、もっといえばダイヤモンドの原石でもいいですし。いわゆる未来を示唆する物事のことです。ようは、太陽は当たり前にあるけど、それに照らされることが重要なんじゃないかと。それで、光が届いてそれを受け入れているものが、我々が生きていく希望になるっていう。大まかな意味ではそういうことを歌ってます。何にせよ“すべてこれから”的な気持ちなんですよね。
−−なるほど。そして2曲目の「あなたしか知らない朝」は、昨年放送されたダスキンの企業CM曲としての書き下ろしだそうですね。
陰で頑張っている主婦の方を、第三者の目線で見守ってるような曲にしようということで。家事って、年収に換算したらかなりの仕事になるらしいんですけど、そういう家の質を保っている女性の存在はけっこう見落としがちというか。昨年は、何気ないものや、日常みたいなものが根こそぎもぎとられたような年だったと思うし、結果的にそういうものに目を向けた歌になりましたね。
−−ちなみに山崎さんご自身は家事はします?
結婚前はやってましたよ。料理も自分で作りましたし。まあ、(今は)家内がやっておりますが、当時はスパゲティとか“なんとか丼”とか。あとお酒が好きなので、ツマミを作ったり。以前はぬか漬けとかもやってましたからね。昨年は梅干しを作りましたし。
−−それは意外な一面で(笑い)。さて、続く「君が好き」(原曲は坂本九が歌った曲)と「浜辺の歌」(愛唱歌)は2曲ともカバー曲ですね。
「君が好き」はちょうど東京五輪(64年)のセレモニーで歌われたという話で、各国の言葉が入ってて。日本という国は関東大震災や戦争で被災と復興を繰り返していて、この東京五輪当時というのは高度経済成長期だった。そういう意味でも、今の復興という国民的なモードがこういう曲を求めてるのかなって。だから、「浜辺の歌」もそうですけど、あまり古くない感じがしますね。
−−「君が好き」はご自身も出演する「キリンフリー」のCMソングですね。CMで瑛太さんと共演されてますが、瑛太さんの印象は?
非常にカッコいいですね。隣にいたくないぐらい(笑い)。(撮影の合間に)「車、何乗ってるんですか?」って聞かれたので「四駆です」とか話してました。僕はもう、テレビとかでいつも彼を見ているんで、ミーハーな気持ちを抑えながらね。
−−今回は久しぶりのシングルとなりましたが、今後は楽曲制作も意欲的にしていきたいというお気持ちなんですか。
そうですね。「エッ!? もう(締め切りまで)日にちないやん」みたいな話をしながら、自分を追い込んで、マゾッ気な感じでやってますけどね。まさよしの“M”です(笑い)。
<プロフィル>
71年12月23日生まれ。滋賀県出身。95年にシングル「月明かりに照らされて」でデビュー。96年に「セロリ」、97年には「One more time,One more chance」をリリース。初めてハマッたポップカルチャー はカンフー映画。「小学生のころ、ブルース・リーが非常に好きでまねしてました。ヌンチャクも持ってましたし。(振り回してるときに)よく後頭部をコンッて打ってましたけどね(笑い)。家の裏が山だったんで、木で作ったりもしましたけど、よく(棒の部分が)飛んでいきました。“あっ、取れた”って(笑い)」と思い出を語った。
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