ウィル・スミスさんとトミー・リー・ジョーンズさんが、エイリアンを取り締まる極秘組織メン・イン・ブラック(MIB)のエージェントにふんし活躍する「メン・イン・ブラック3」が、25日に公開された。02年の続編から10年ぶりのスクリーンにカムバックした新作を引っさげ、このほどバリー・ソネンフェルド監督が、スミスさん、ジョーンズさん、今回の“新メンバー”ジョシュ・ブローリンさんと来日。シリーズ1作目からメガホンをとってきたソネンフェルド監督は、かつての仲間たちとの再会を「週末離れていただけのようで、すぐに元のリズムに戻って仕事ができた」と振り返る。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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今作では、スミスさん演じるエージェント“J”が、捜査の過程で姿を消したジョーンズさん演じるエージェント“K”を追って1969年にタイムスリップ。そこで、ブローリンさん演じる若き日の“K”と対面、事件解決に奮闘するというストーリーだ。
−−エイリアンが出てくることだけでも奇抜なのに、今回はそれにタイムトラベルが加わりました。
「3」を作るからには、シリーズをリブート(再起動)させるだけの要素がなければいけない。エイリアンが襲来し、やつらと戦って地球の危機を救うというのは、さすがにマンネリ。でも、タイムトラベルの要素を持ち込めば、69年にさかのぼれ、若き日のKも登場させられる。それに伴ってJもいろんな秘密を知ることができる。
−−過去を69年に設定した理由は?
過去にさかのぼるなら、それなりに特別な年にしたかった。その点、69年は初の月面着陸という人類史上記念すべき年。そもそも「MIB」は、エイリアンや宇宙との関わりを描いてきたシリーズでぴったりはまる。また僕は、あのころの音楽が大好きだし、文化的な面では、アンディ・ウォーホールを劇中に登場させたかった。それに、当時はまだ人種差別があった時代。ウィルに、そういうものに触れさせるのは興味深いと思ったんだ。
−−シリーズ中、最もヒューマンな内容になっていてホロリとさせられました。
ありがとう。爆発やアクション、コメディーではないエモーショナルな部分で充足感を味わってもらえるのはうれしいことだよ。実は今回のアイデアは、「2」の撮影中にウィルから出されたものなんだ。当時の彼のアイデアでは、MIB本部が(エイリアンの襲来で)壊滅状態となり、エージェント全員が死にJだけが生き残る。そこで彼が過去にさかのぼり、Kたちを救うというものだった。そのすべてが採用とはならなったけれど、それを聞いたとき、3作の中で最も感情的な面で満足感が得られるところに引かれたんだ。
−−過去の世界でブローリンさん演じる若き日のKと、ジョーンズさんが演じる現在のKが全く違和感がなかったのには驚きました。
僕としては、ジョシュは当然のキャスティングだった。脚本を読んだ段階で彼に決めたんだ。というのも、彼はかつて「ブッシュ」(08年)という映画で大統領を演じていたが、それが単にその人をなめるのではなく、ブッシュという人間を解釈した上で似せる演技をしていた。それが本当に素晴らしかった。また、数多くいる俳優の中でも、ジョシュとトミー・リーは最も頭が大きい俳優で、しかも、そのサイズはぴったりなんだ (笑い)。そして、ジョシュも僕も、コーエン兄弟と縁があって、これまでにもパーティーで会っていた。まさか今回トミー・リーを演じることになるとはジョシュ自身も思っていなかっただろうけど、そういえば、パーティーの席でジョシュが、トミー・リーのまねをしていたことがあったなあ。そうそう、それに今回は3D上映。それでジョシュの頭を見たら面白いに違いないと思ったんだ(笑い)。
−−前作から10年が経過しています。その間に撮影技術も進歩しました。それによって可能になったことはありますか?
僕は、グリーンバックの前で役者に演じさせるのは、実はあまり好きじゃないんだ。エイリアンが登場するのであれば、(実物を作り)その場で撮って、(映像を)加工することを好む。とはいえ、コンピューターグラフィックス(CG)なくしては今回の作品はできなかった。それを実感した場面は三つある。一つは、(Jがタイムスリップするとき)クライスラービルから飛び降りる場面。マンハッタンのミッドタウン全体をCG処理したんだけれど、一つの処理に1週間もかかった。それぐらい手の込んだ作業だった。それから、今はもうないシェイスタジアムをCGで復元させたこと。もう一つはロケット打ち上げのシーン。この三つの場面に関しては、セット8%、CG92%でやり遂げたんだ。
−−改めて見どころを。
3人の俳優の演技、ストーリーはちろんのこと、エイリアン、コメディー、アクションが満載で、しかも、シリーズ初の3D上映。ほかの3D映画であれば、奥行きを重視するためにスクリーンの奥の方でいろんなことで起きるけれど、今回のは僕仕様のレンズの効果で、スクリーンの前の方、つまり観客により近いところで立体感を味わえるんだ。だから一層、物語に入り込める。あとはなんといっても、今回の物語は大変感動的であるということ。そこもぜひ楽しんでほしい。
<プロフィル>
1953年生まれ、米ニューヨーク州出身。ニューヨーク大学卒業後に撮影したドキュメンタリーで注目される。84年、大学の同窓生だったジョエル・コーエンと、その弟イーサンの監督作「ブラッド・シンプル」で撮影監督を務め、以来、「赤ちゃん泥棒」(87年)、「ミラーズ・クロッシング」(90年)のコーエン作品や、「恋人たちの予感」(89年)、「ミザリー」(90年)といったロブ・ライナー監督作で撮影監督として活躍。91年、「アダムス・ファミリー」で監督デビュー。その後、「メン・イン・ブラック」シリーズ(97、02年)、「ワイルド・ワイルド・ウエスト」(99年)などの監督を務めた。ほかに、「レディ・キラーズ」(04年)、「魔法にかけられて」(07年)など製作を担当した作品がある。
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