「生まれ変わり」を題材にした、父から娘へのラブレターのような映画「スープ~生まれ変わりの物語~」(大塚祐吉監督)が7日、公開された。生瀬勝久さんの単独初主演作。アクの強い役柄が多い生瀬さんが、不器用で気の弱い父親を好演している。あの世が妙にバブルっぽい世界で楽しい。
ウナギノボリ
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渋谷健一(生瀬さん)は妻と離婚後、娘・美加(刈谷友衣子さん)と2人暮らし。だが2人の関係はぎくしゃくしている。健一は、勤務先のインテリアデザイン会社ではやる気に欠け、サポート役で上司の綾瀬由美(小西真奈美さん)にしかられる始末。娘の誕生日、ある出来事がきっかけとなり、娘にカッときた健一は手を上げてしまう。翌日、出張先で健一と由美の頭上に落雷が直撃。2人が目を覚ますと、そこは死後の世界だった。娘と仲たがいしたままの健一。生まれ変わりのスープがあると聞きつけ……というストーリー。森田健さんのノンフィクション「生まれ変わりの村」(河出書房新社)の「スープの伝説」がモチーフ。
あの世で娘を心配し続ける父親・健一。しかし、上司の由美は現世に未練なし。対照的な2人のあの世での旅路が面白い。現世ではまったく相いれなかった上司と部下が、あの世で会話を重ねて徐々に親しくなっていく。健一と娘もこんなふうに、もっと会話を交わしていたら……。父親に素直になれなかったことを後悔する娘役の刈谷さんの表情が印象的で、ベテランの俳優陣の中で存在感を残している。16年後の現世のシーンでは、若手俳優たちの活躍が見ていて楽しく、中でも広瀬アリスさんの思い切りのいい芝居がすがすがしい。死んだ気になれば、いつでもやり直せる。そんなメッセージが心に届いた。7日から有楽町スバル座(東京都千代田区)ほか全国で公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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