注目映画紹介:「BRAVE HEARTS 海猿」特殊救難隊に配属された仙崎が最大の海難事故に挑む

「BRAVE HEARTS 海猿」の一場面 (C)2012 フジテレビジョン ROBOT ポニーキャニオン 東宝 小学館 エー・チーム FNS27社
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「BRAVE HEARTS 海猿」の一場面 (C)2012 フジテレビジョン ROBOT ポニーキャニオン 東宝 小学館 エー・チーム FNS27社

 04年の第1作は17億円を超える大ヒット。06年の映画化第2弾、10年の第3弾は、いずれもその年の邦画実写ナンバーワンに輝いた「海猿」シリーズの最新作「BRAVE HEARTS 海猿」(羽住英一郎監督)が13日、公開された。前作「THE LASTMESSAGE」で最後と思われたが、「まだやり残していることがあるのでは」というスタッフたちの思いから作られたのが今作だ。海上保安庁の中でも最高レベルのレスキュー能力を持つ「特殊救難隊」に、念願かなって配属された主人公・仙崎大輔の活躍を描く。

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 シリーズを重ねるごとに事故のスケールが大きくなっていくが、今回描かれるのは、佐藤秀峰さんによる原作マンガで最大の海難事故にして、最高のエピソードとされるジャンボジェット機の海上着水。その救出劇で観客の心をしびれさせ、最後の“もうひと波乱”で感極まらせる。

 大輔役の伊藤英明さん、そのバディ、吉岡哲也役の佐藤隆太さん、大輔の妻、環菜役の加藤あいさんをはじめとするレギュラー陣は、シリーズ開始から8年がたち、キャラクターに厚みが出た。その中において、ジャンボジェット機のパイロット役の平山浩行さん、特殊救難隊副隊長、嶋一彦役の伊原剛志さん、さらに吉岡の恋人でキャビンアテンダントの矢部美香役の仲里依紗さんは、シリーズに新鮮な風を送り込みながら、レギュラー陣に負けない存在感で感動の盛り上げにひと役買う。

 前作で「最後」をうたっておきながら、ここまで潔く新作を作られたら、むしろ見ないわけにはいかない。そんな“中毒性”のようなものを、この作品はまとっている。しかも今回はシリーズ中、最もまとまった印象を受け、涙腺がゆるむ場面もしばしば。これまでは、生きるか死ぬかの瀬戸際に愛を告白し合ったり、感謝の言葉をささげあったり、そんなことしている時間があったら早く逃げろよ的な突っ込みを入れたくなったが(もちろん今回もそういう場面はあるが)、それは納得して我慢できる範囲にとどまっている。あるいは見る側にも“耐性”ができたのか。ともかく、シリーズすべてにおいてかかわっている羽住監督が、「すごくいいものになっているんじゃないかと思う」と胸を張るぐらいだから、「海猿」ファンもそうでない人でも期待していいだろう。13日からTOHOシネマズスカラ座(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

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