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11月21日(木)放送分
高校生たちが知恵をふり絞り、青春を懸けて難問に挑む夏の風物詩「全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ)」(日本テレビ系)が、32回目となる今年も31日に放送される。近年では「知力の甲子園」をスローガンに、東大生も苦戦する超難問を高校生たちにぶつけるという“純粋”でハイレベルなクイズ番組に路線変更し、好評を得ている。番組の総合演出を手掛けている同局の河野雄平さんに、長年支持され続けている理由や「知力の甲子園」化の影響、今大会の見どころなどを聞いた。(大類洋輔/毎日新聞デジタル)
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「高校生クイズ」は、高校生3人1チームで日本一を目指すクイズ大会として83年から放送。例年、地区大会と、勝ち抜いてきた各都道府県代表が対戦する全国大会は夏に行われ、今年の熱戦の模様は31日に放送される。河野さんが総合演出を担当した第28回大会(08年)ごろから番組内容をリニューアルし、「知力の甲子園」をスローガンに難問が次々と出題される現在のスタイルになった。平均視聴率は、リニューアル前の第27回が8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったのに対し、リニューアル後の第28回が14%(同)、昨年の第31回は15.7%(同)と高視聴率を獲得している。
毎年、多くの高校生たちが、参加してくれることが長年番組が続いてきた要因と語る河野さんが考えるのは「なるべく高校生のライフスタイルに合わせて、番組をバージョンアップしていくこと」だという。「昔だったら、片道何時間もかけて集まってきてもらって、そこでクイズを出して、間違ったらさようならという感じの地区大会だったんですけど、今の高校生はすごく忙しいので、今回は過去最多の全国32会場で地区大会を行いました。朝、部活などを済ませて、午後からでも参加できるといった、忙しくても参加できるような試みを実施したんです」と語る。
さらに、各地区大会に、お笑い芸人やアイドルユニットなどの人気芸能人を登場させ、エンターテインメント色を強化。「クイズがやりたい人もいれば、ただはしゃぎたいという高校生もいる。そこでクイズだけでなく、お笑い芸人やアイドルを登場させ、盛り上がれるようにした。また、会場でしか手に入らない限定グッズなども用意し、クイズは苦手だけどいい思い出を作りたいという子も楽しませてあげられるような中身にどんどん変えていった」と高校生の視点に立った改善策が高い支持につながっているようだ。
しかし、地区大会には誰でも気軽に参加できる施策を盛り込む一方で、全国大会の内容は、「知力の甲子園」をうたい、超難問クイズが次から次へと出題される非常にハイレベルなものになっている。「視聴者にとっては、既存のイメージとかけ離れた高校生のすごい一面が垣間見られたり、いろんな知識を蓄え、切磋琢磨(せっさたくま)して、難しい問題を解ける高校生たちがいるんだという驚きがあったのでは」と魅力を分析する。
また、「知力の甲子園」を前面に出し、ルール、形式を固定して番組内容を統一したことがプラスになっているといい、「以前までは、毎年クイズ形式やルールを変えて、飽きさせずに楽しませるという趣旨もあったんですが、近年、形式やルールを固定したことで、より高校生たちの情熱をかき立てているという部分がある」と話す。「やっていることが毎回変わると、練習や努力のしようがない。でも、問題の傾向やルールがある程度決まっていれば、『努力をすれば報われるかもしれない』、『あの高校を倒せるかもしれない』と頑張ってくれる。形式を変えないという方針が名勝負を生んでいるのは確実だろう」とその影響を語った。
今回、番組で出される問題も例年同様極めて難解だ。1回戦では、よりすぐられた超難問30問が次々と出題されるなど、全国大会の難易度は非常にハイレベルになっている。同番組で史上初めてNASA(米航空宇宙局)の協力による超難問も用意。この難問に挑む高校生たちの姿を通し、「今後日本を背負って立つ高校生の頑張りとかを伝えていきたいですね」と話す。
また、番組のもう一つの見どころは、現在2連覇中の“王者”開成高校(東京)が3連覇できるかという点。「開成が史上初の3連覇を成し遂げるか、それをどこが止めるか。去年準優勝の灘高校(兵庫)も狙っているだろうし、地方の公立高校も努力してしのぎを削っています。僕らもそろそろ、どこかが開成を倒してほしいと思ってるんです」と笑う。「そのためにも、スタイルを変えない。変えないことで、今年だめでも来年とか、自分がだめでも後輩たちにとか、そういうきずなができるので、より番組にも厚みが出てくるんです」と強調した。
インターネット特別枠を含む54校のうち、私立は開成、灘、東大寺学園(奈良)、ラ・サール(鹿児島)、公立は札幌南(北海道)、浦和(埼玉)、船橋(千葉)、盛岡第一(岩手)など強豪校が今年も全国大会に名を連ねた。河野さんは、「ここ何年かは名門私立が強かったんですけど、今年は公立高校も名門私立を倒すという目標のもと、各高校が努力して、勝ち上がってきています。だんだん公立高校も努力して力をつけています」と“私立対公立”の戦いも番組の見どころだ。
「ほかの番組では決して見られない、今まで僕らが知らなかった高校生のよいところをたくさん伝えていきたい」という河野さん。「高校野球と全く同じようなことが、勉強だったり、知識や知力に対しても、実は当てはまるんだと。(野球の)甲子園って、スポーツが得意な男子しか参加できないけれど、高校生クイズで目指しているのは、女の子でも参加できるし、運動が苦手な子でも誰でも参加できる甲子園。そんな場所にしたいですね」と熱っぽく語る。
そして、「できることなら死ぬまで番組を担当したい。本当に感動するんです。パワーとか元気とか感動とかを、しかも自分より一回りも若い子たちにもらえる。こんなに努力してたとか、こんなに友達のことを思いやってたとか、こんなに以前の挫折が悔しかったんだとか、毎年感動を与えてもらっているんで、仕事を抜きにして、番組を続けていきたいですね。その感動を視聴者に伝えていくのが僕の使命かな」と笑顔を見せた。
「ライオンスペシャル 第32回全国高等学校クイズ選手権」は、日本テレビ系列で31日午後7時56分から10時54分放送。
河野雄平(こうの・ゆうへい)。01年日本テレビ入社。情報エンターテインメント局所属。今まで「ザ!鉄腕!DASH!!」「所さんの目がテン!」などのディレクターを経験し、08年から「高校生クイズ」の総合演出を手掛ける。
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