日本で2度、テレビドラマ化された乃南アサさんの直木賞受賞作「凍える牙」が韓国で映画化され、8日に公開される。男女の刑事コンビが事件に挑む姿が孤高の存在「狼犬」と重なる。孤独な三つの魂が交差するもの悲しさと、ひりひりとした疾走感にひたれる。
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ソウルで不可解な焼死事件が起きた。停車中の車が炎上。中にいた男から発火したらしい。刑事のサンギル(ソン・ガンホさん)は、新米女性刑事ウニョン(イ・ナヨンさん)とともに事件を担当するよう命じられた。昇進を逃し続けているサンギルは、単純な自殺に見えるこの事件にあまり気が乗らない。おまけに新米で女性であるウニョンを足手まといに感じていた。ところが、事件はそう単純なものではなく、自殺に見せかけた他殺と判明。捜査チームを出し抜いて手柄を立てようと思ったサンギルは、ウニョンと捜査を進めているうちに、新たな事件が起きてしまう……という展開。
警察組織という男社会で浮いている女性刑事ウニョンと、昇進に焦るサンギル。そこに狼でも犬でもなく、両方でもある「狼犬」がからみ、行き場のない三つの点が少しずつ共鳴していく。展開もテンポよく、捜査シーン、アクションシーン、さまざまな角度から映し出しており、画面の作りも丁寧だ。俳優も体を張っていて、とくに女刑事役のイさんのアクションは新鮮。当初はアクションが得意なハ・ジウォンさんの出演を予定していたらしいが、イさんのアクションにこなれ過ぎていない体の動きが、男社会で踏ん張っている感覚とつながって、かえっていい印象を与えている。狼犬を自らに重ねてバイクで追うウニョン。そして、そのウニョンをサンギルがまた追う。夜の闇に哀愁が溶け込んで、忘れられないシーンとなった。頼る家族のいない孤独と向き合う必死さに胸を打たれる。監督・脚本は「マルチュク青春通り」(04年)などを手がけたユ・ハさん。8日から丸の内TOEI(東京都中央区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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