朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第89回 ブルワー・リットン「ポンペイ最後の日」後編

「ポンペイ最後の日」著・ヴルウェー、訳・渡辺秀(サンパウロ)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「ポンペイ最後の日」著・ヴルウェー、訳・渡辺秀(サンパウロ)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに50万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第89回はエドワード・ブルワー・リットン「ポンペイ最後の日」後編だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 「スポーツの秋」体育の日も終わりましたが、皆さんは普段どんな運動をしていますか?

 私は運動はどちらかというと苦手なんですけど、今は自転車に乗るのにちょうど良い季節なので、趣味のポタリングを満喫しています。

 目的地を美術館にすれば芸術の秋、休憩したくなったら自転車を降りて読書の秋、おなかがすいたらお店に立ち寄って食欲の秋、紅葉も見に行けますし、秋をまるごと楽しめるんですよ(*^^*)

 さて、10月7日はミステリー記念日。

 1849年のこの日、作家のエドガー・アラン・ポーさんが亡くなられました。

 以前「アッシャー家の崩壊」でもご紹介しましたが、世界初の推理小説「モルグ街の殺人」の作者であり、江戸川乱歩さんのペンネームの由来にもなった、ミステリー作家の元祖のような方です。

 そこで今回は、その記念日にちなんでミステリー作家お二人をご紹介したいと思います。

 まず、ミステリー記念日の10月7日がお誕生日の、我孫子武丸(あびこ・たけまる)さん。ゲーム「かまいたちの夜」シリーズのシナリオライターとして有名ですよね。

 続いて12日は、島田荘司(しまだ・そうじ)さんのお誕生日です。占星術を得意とする探偵「御手洗潔(みたらい・きよし)」シリーズや、テレビドラマにもなった「吉敷竹史(よしき・たけし)」シリーズで知られています。ちなみに、我孫子武丸さんのペンネームの名付け親でもあるんですよ。

 ではここで朗読倶楽部のコーナー、甲原みかえさんのお話・その5です。

 かつて、大学入学も見据えた長期の予定で、英国に海外留学していたというみかえさん。

 ですがその予定は1年を経ずして切り上げられ、現在は私たち朗読倶楽部の一員になっています。

 部長さんも私も、彼女が留学をしていたことは聞いていましたが、それが長期の予定だったというのはこのとき初めて知りました。

 勉強のできるみかえさんが、途中で落第するようなことがあったとは思えません……なにか別の理由があって日本に帰ってきたはずですが、その理由とは……?

 「私の英会話、訛(なま)っているの」

 英語ができるのに苦手だというみかえさん、聞くのも書くのも完璧な彼女の苦手は「しゃべる」こと……それは間違いではありませんでした。

 ネーティブではない部長さんと私では、「すごい、向こうの人みたい」という感想しか出てきませんでしたが……ネーティブの相手には、訛って聞こえてしまうそうなんです。

 みかえさんが留学途中で帰国したのは、このことが原因でよくからかわれていたから。

 以来、彼女はネイティブの発音が、トラウマになってしまったのだそうです……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね。

■しおりの本の小道 エドワード・ブルワー・リットン「ポンペイ最後の日」後編

 こんにちは、今回は前回に続いてエドワード・ブルワー・リットンさんの「ポンペイ最後の日」をご紹介いたします。

 今から1900年以上前に実際に発生した災害をもとに19世紀に発表された物語ですが、今読んでも色あせない魅力を持っているんですよ。

 ローマ帝国が各国を征服して繁栄を極めた時代……彼らローマ人の常識では、奴隷は「人間」ではなく「所有物」でした。

 その一例を挙げると、この時代では重罪人を猛獣と戦わせる見せ物が人気を集めていましたが、「罪人がいないなら代わりに奴隷を使えばいい、禁止されているなら法律を変えれば良い」と言い出しても誰も異を唱えなかったのです。

 そんな中ギリシャ人の青年貴族グローカスさんは、「奴隷もまた人間である」と主張し、顔見知りの奴隷ニディアさんがむちで打たれているところを助け出しました。

 彼は酒場夫婦からニディアさんを買い上げ、「物」ではなく一人の「人間」として接します。

 そんなグローカスさんに彼女は淡い想いを抱きますが……彼には、別の想い人・アイオンさんがいたのです。

 しかも、ニディアさんの想いを知らないグローカスさんは、彼女にアイオンさんへのラブレターの配達を頼んだばかりか、もし恋人同士になれたらアイオンさんのもとで暮らすように勧めてきたのでした。

 自分の想いを押し殺してアイオンさんのもとへ向かったニディアさんでしたが、彼女は親代わりの人と数年ぶりに会うため留守にしていました。

 ニディアさんはその相手が、宴会で悪事を語っていたあの祭司アーバセスさんだと知って仰天します。

 アイオンさんに危険が迫っていると考えた彼女は、グローカスさんに助けを求めるのですが……。

 本作品の翻訳は大きく分けて二つの種類があります。

 ・原作をすべて訳した「完訳版」

 ・児童文学向けなどに内容を省略・編集した「抄訳(しょうやく)版」

 抄訳版では要約だけでなく、内容を分かりやすくまとめるためにお話の流れにも若干の変更が入っているものがあります。

 どんな翻訳作品もそうですが、翻訳された方によって内容に若干の違いがありますから、いろいろ読み比べて違いを見つけるのも楽しいのではないでしょうか(*^^*)

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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