ダンダダン
第7話「優しい世界へ」
11月14日(木)放送分
1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、月刊マンガ誌「チャンピオンRED」(秋田書店)で連載、死んだ人間の姿が見える男子高校生とその幼なじみの美少女がさまざまな怪奇現象に遭遇する、ひよどり祥子さんのホラーマンガ「死人(しびと)の声をきくがよい」です。
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死んだ人間の姿を見ることができる高校生・岸田純の前に、行方不明になっていた幼なじみの美少女・早川涼子が現れる。しかし涼子の姿はほかの誰にも見えず、純は涼子に招かれるままある家にたどり着く……。
最近、あまり見なくなってしまった正統派ホラーマンガ。でも、少し前の少年誌にあったようなホラーマンガ(「恐怖新聞」「学校怪談」「エコエコアザラク」など)を好きな人は多いハズ……。楳図かずお、伊藤潤二……次にくるのはひよどり祥子!というつもりで「死人の声をきくがよい」を始めました。
出会ったのは、ひよどりさんが(うぐいす祥子名義で)少女マンガ雑誌で描いていたころですが、気付けばひよどりさんはホラー作家、私はRED編集部に……。
「チャンピオンRED」ならということで、ホラー描写も容赦なく、血やよどんだ空気のにおいが漂ってくるような……読み手に恐怖が侵食していく表現を心がけ、その中にひよどりさんならではのユーモアと皮肉を込めています。
時代に合わせて絵(特に女の子を可愛く!)やエピソードなどは新しく……でも、どこか懐かしさ漂う“僕&私たちの好きだったホラーマンガ”にしようと、氏の豊富なホラー知識を生かしつつ奮闘中です。結果、暗い画面の中で恐怖と笑いの絶妙なバランスを保つ読み応えのある作品になっています。
伊藤潤二、高橋葉介、三家本礼、押切蓮介、大西祥平各先生も太鼓判を押す「死人の声をきくがよい」、応援よろしくお願いします!
傑作ホラー「闇夜に遊ぶな子供たち」から待つこと2年。ホラーマンガ界の新星と申し上げても決して大げさではないと思います。随所にわたり作者のマンガの力量を強く感じることができます。
意表を突く展開と登場人物たちの陰のある個性的な絵柄、そして幻想的で退廃的な雰囲気が漂う、どこかシニカルな各話のラストシーンと非常に面白く読むことができました。物語はヒロインの幽霊「早川さん」と死んだ人間が見える高校生「岸田」が行く先々で奇怪な事件に遭遇することで進んでいきます。
これだけだと、よくある「美少女幽霊話」だと予想されると思いますが、これが全くそうではありません。いうなれば幽霊と少年が存在する世界で遭遇する超(メタ)なフィクションであり、それは異世界が異世界をのみ込んでいくような、少し人知を超えた不気味な感覚を読み手にもたらしてくれます。おそらくホラーマンガの熱心な読者ほど面白く読める作品なのではと思います。
ちなみに前出の「闇夜に遊ぶな子供たち」は、10年の作品ですが、すでに絶版になってしまっていて、この文章を書いている時点での価格は5893円となっております。早く復刻するなり重版するなりしてほしいものですね(笑い)。
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