鬼才・園子温監督の最新作「希望の国」は、原発事故に直面した日本で生きる家族の物語だ。資金集めに苦労をしながら作り上げた園監督の渾身(こんしん)の一作。日本、英国、台湾の合作映画となった。
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東日本大震災から数年後の20××年、長島県大原町。酪農一家の小野家は、泰彦(夏八木勲さん)と認知症の妻・智恵子(大谷直子さん)、息子夫婦の洋一(村上淳さん)といずみ(神楽坂恵さん)の4人で平穏に暮らしていた。しかし大地震によって原発事故が起こり、半径20キロ圏内が警戒区域となった。小野家の庭が避難区域の境界線となり、家は避難区域外となった。避難区域内の隣家の鈴木家は避難していった。泰彦と智恵子はとどまったが、洋一といずみは自主避難。そんな中、いずみは放射能への恐怖を募らせていく……。
牛の世話をする日常。一家がごはんを食べる穏やかなシーンで始まるが、やがて地震と原発事故が起き、映画は緊迫感に包まれる。独特のせりふ回しと、シンプルでインパクトのある表現。「どう思うか」と、観客に大きな問いかけを常にしながら、物語は進んでいく。放射能への恐怖が募り、防護服で出歩くいずみを、私たちは笑い飛ばすことができるだろうか。自主避難を勧められても家にとどまり続ける泰彦を、「がんこ」の一言で片付けられるだろうか。放射能という見えない敵への恐怖と不安が生々しく、巻き込まれた当事者の心痛が伝わってくる。
泰彦の妻は、認知症のため、事故後も変わりなく日常を続けている。果たして「希望」とはなんなのか? そんなことを思いながら、がれきの風景と泰彦が浴衣の妻をおぶるシーンを見ていた。ラストに感情が激しく揺さぶられる。それは、景色がまぶしく、とても美しいからだ。力作である。20日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)、ヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)
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