注目映画紹介:「ペンギン夫婦の作りかた」小池栄子がハマリ役 石垣島に移住した夫婦の物語

「ペンギン夫婦の作りかた」の一場面 (C)2012「ペンギン夫婦の作りかた」製作委員会
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「ペンギン夫婦の作りかた」の一場面 (C)2012「ペンギン夫婦の作りかた」製作委員会

 「食べるラー油」の原点である「石垣島ラー油」を生み出した辺銀(ぺんぎん)食堂の夫婦の実話を基に、国際結婚とラー油誕生秘話を映画化した「ペンギン夫婦の作りかた」(平林克理監督)が公開中だ。石垣島の風景とおいしそうな料理の数々に、サスペンスフルな演出がはさみ込まれ、これまでのホンワカな食べもの映画とは、いい意味でちょっと異なる作品。「辺銀」という変わった名字の謎も解けた。

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 フリーライターの歩美(小池栄子さん)と出版社でカメラマンだったギョウコウ(ワン・チュアンイーさん)は国際結婚をしたものの、ギョウコウの出版社が倒産。2人は東京を離れて石垣島旅行へと出かける。おいしすぎる料理と大自然に魅了された歩美は、不安がるギョウコウを説き伏せてそのまま石垣島に住むことを決めてしまう。歩美は料理店で、ギョウコウは畑で働きながら、新生活をスタートさせる。歩美はイベントに出品するために新しいラー油をつくることを思いつき、地元の食材を苦労して集めて研究を重ねる。だが、イベント当日、ラー油は全く売れなかった……という展開。

 行動的ではつらつとした歩美を演じる小池さんがハマリ役だ。あたって砕けろの精神で、思いついたことをどんどん行動に移す女性を生き生きと演じている。一方、中国人の夫ギョウコウは慎重派。妻に振り回されているように見えて、その実、支えているという姿がほほえましい。お互いを思いやるからこそ、ぶつかり合う2人。けんかもほほえましく、夫婦になっていく姿が丁寧に描かれている。食卓を囲むシーンが何度も出てくるが、料理が目に楽しいだけでなく、おいしそうに食べる2人の姿を見ているだけで幸せな気分になれる。おいしいものは、国境を越え、愛も育む。平林監督は、是枝裕和監督や西川美和監督の下で助監督としての経験を持つ人物。温かみのある室内空間を作り出した露木恵美子さんの美術や、小道具、衣装もすてきだ。20日から全国のユナイテッド・シネマ、新宿武蔵野館(東京都新宿区)、ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区)ほかで公開中。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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