朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第95回 楠山正雄「浦島太郎」「金太郎」「桃太郎」その3

「日本の昔話 1 (お風呂で読む日本昔話 1) 」著・楠山正雄(フロンティアニセン)の表紙(左)と乙葉しおりさん
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「日本の昔話 1 (お風呂で読む日本昔話 1) 」著・楠山正雄(フロンティアニセン)の表紙(左)と乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第95回は楠山正雄の「浦島太郎」「金太郎」「桃太郎」の3編だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 いよいよ12月、暦の上での秋が終わりを告げ、本格的に冬到来です。寒さもさることながら、乾燥には特に要注意。乾燥するとインフルエンザウイルスも活発になりますし、特にのどを痛めやすくなりますから、私たち朗読倶楽部でもできる範囲で対策をしています。

 具体的には水分補給をいつもより多くしたり、部室に濡れタオルを干してみたり……。でもやはり決定版はこれ、加湿器です。

 私たち朗読倶楽部でも、今年から加湿器を導入したんですよ!

 ただし、図書館の設備費や部費で……とはいかず、みかえさんが持ってきてくれたものなのですが……。実はこの加湿器は空気清浄機も兼ねているので、部室の空気がきれいになった半面、古い本のにおいが少し弱まった気がして、本のにおいが好きな私にとってはちょっとだけ残念な気もします。

 さて、12月1日は小林多喜二さんのお誕生日です。1903年生まれの小林多喜二さんは「蟹工船」の作者として知られるプロレタリア(社会主義・共産主義思想)文学の旗手。近年のブームから劇場映画化への流れは記憶に新しいところではないでしょうか?

 しかし、「蟹工船」が発表された1929年当時は、言論の自由がありませんでした。小林多喜二さんは当時勤めていた職を追われ、不敬罪によって起訴され、言論統制が厳しくなってからは地下活動に身をやつしても自らの信念を貫きましたが、最後は激しい取調べの末、1933年2月20日、29歳の若さで亡くなられたのです……。

 ではここで、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部部長・丙絵ゆいさんのお話・その3です。

 いよいよ部長さんの家庭訪問の日・当日。

 倶楽部活動の一環なのでその日は部室での練習はお休みして、すぐに部長さんのお家へ行くことになっていました。放課後、みかえさんと私、先生の順に部室に集まりましたが、いつもなら一番早く学校が終わって部室にいるはずの部長さんがやってきません。これはやはり何かしらの事情があって、家に来てほしくないのは間違いなさそうです。

 私たちは話し合って、部長さんの家に行かなくてもいいことにしようと決めました。……が、その直後、扉の開く大きな音がして「その必要はないわ!」という声とともに部長さんが入ってきたのです。

 彼女は大きなため息を一つつくと、「事情があってあまり来てほしくないのは事実だけれど、部の代表である部長たるもの、自分の家だけ見せないという不公平は許されない」……と、まくし立てました。

 一応「無理をしなくても……」と申し出たものの、こうなったらテコでも動かないのが部長さん。結局、部長さんの家庭訪問は決行と相成ったのです……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

 ◇しおりの本の小道 楠山正雄「浦島太郎」「金太郎」「桃太郎」その3

 こんにちは、楠山正雄さんの再話(さいわ)文学「浦島太郎」「金太郎」「桃太郎」の3作品についてのお話も3回目、今回が最終回となります。

 最後は、各作品のちょっとしたトリビアをご紹介させてください。

 ●太宰治の「浦島太郎」

 現在の「浦島太郎」の原形が、「御伽草子」にあるということは前回お話ししましたが、なんとあの太宰治さんも4編の昔話を収めた「お伽草紙」を発表していて、その一編に「浦島さん」の題名で「浦島太郎」が収録されていることはご存じですか?  昔話のパロディーとも言えるこの作品、玉手箱に対する一家言は必読ですよ。

 ●食べ物に縁がある?「金太郎」

 どこを切っても同じ絵のあめ、といえば金太郎あめですよね。実はあの赤い「金時豆」も、金太郎さんのモデル・坂田金時さんにちなんでつけられた名前なんだそうです。余談ですが金時さんの息子さん、坂田金平(さかたのきんぴら)さんは、「きんぴらごぼう」の名前の由来になっているそうですよ。

 ●芥川龍之介の「桃太郎」と、尾崎紅葉の「鬼もゝたらう」

 「蜘蛛の糸」などで児童文学作品も残されている芥川龍之介さんですが、実は桃太郎も書かれているんですよ。「金色夜叉」の尾崎紅葉さんも、桃太郎の後日談として鬼の桃太郎成敗をテーマとした「鬼もゝたらう」を発表されています。ほかにも何人かの作家さんが独自の「桃太郎」を残されているんですよ。桃太郎は文豪にも魅力的なテーマだったのかもしれませんね。

 絵本やテレビで親しんだ昔話も、調べてみるといろいろな秘密が隠れているものです。

 今回ご紹介したお話以外にも3人の太郎さんの秘密はまだまだたくさんありますから、興味を持たれた方はぜひ調べてみてはいかがでしょうか?

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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