大沢たかお:「JIN−仁−」以来の新たな挑戦 古代東北の英雄アテルイを演じる

NHK提供
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 俳優の大沢たかおさん(44)がNHKの大型時代劇「火怨・北の英雄 アテルイ伝」(BSプレミアム、総合)に古代東北の英雄アテルイ役で主演する。東北の大自然の中で馬に乗ったり、矢を射たりとアクションにも挑戦。制作側も「大河を超えるスケール」と自信を見せる大作で、同局の連続ドラマに初主演する大沢さんは「(主演ドラマ)『JIN−仁−』が終わって、もっと自分の中で『何かトライできるテーマがあるのかな』と思っていたときに、すごいテーマをいただけた」と明かす。俳優として新たな挑戦を続ける大沢さんに話を聞いた。(毎日新聞デジタル)

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 ◇「もう1回、新人のつもりで」

 大沢さんはモデルとして活躍後、20代で俳優デビューした。その際に、一つの仕事に対して「これで終わってもいい」という姿勢で臨むと決めたという大沢さん。「だんだん忙しくなって、体力の分配をしたりする自分が、30代になって本当に嫌になってきちゃって……」と振り返り、「でも、40歳になったときに、もう1回、新人のつもりでやり直したいと思った。そのときに『JIN−仁−』(09、11年)という作品に出させていただいて、そこから、新人に負けないくらい元気にフレッシュに毎回現場にいたいなと思うようになったんです」と明かす。

 そんな転機ともなった「JIN−仁−」(TBS系)が終了したあと、「もっと自分の中で何かトライできるテーマがあるのかなと思っていたときに、すごいテーマをいただけた」と振り返るのが、今回の「アテルイ伝」だった。奈良時代後期から平安時代初期の東北地方を舞台に、朝廷が東北の征服をもくろむ中、胆沢(現在の岩手県奥州市)の族長の息子アテルイ(大沢さん)が、東北の地と民を守るために立ち上がり、坂上田村麻呂(高嶋政宏さん)が率いる大軍勢に挑む姿を描く大型の“古代劇”だ。

 ◇「難しいからやりがいがある」

 11年3月に起こった東日本大震災を受け、「俳優として、ドラマや作品という一つの枠の中でできることはあるのか」と自問していたという大沢さんは、「今、東北から発信できるもの、東北のヒーローを題材に、東北や全国の人たちに作品を届けたい」というプロデューサーからのオファーに、「まさに自分がトライしたいというか、俳優としてできる大きな一つ(のこと)だった」と出演を決意。撮影までの約1年間は「他の仕事をしながらも、いつも(今作について)頭の中で考えていた」と明かす。

 アテルイが生きた古代東北については、資料も少なく、当時の言葉や状況も分からないことばかり。それでも、研究者やさまざまな意見を聞きながら、キャスト・スタッフが試行錯誤を重ねながら作り上げた。大沢さんは「未知のものを毎日みんなでつかみながらやってました」と苦労を語りながらも、「難しいからやりがいがある」とさらりと言ってのける。「分からないからなんでもやっていいということではないので、分からないところから一生懸命たぐり寄せて、みんなで想像していった。でも、自分の俳優人生で、まさか竪穴式住居で芝居するとは思わなかったですね」と笑顔を見せる。

 ロケ地は「川は信じられないくらいきれいだし、山も美しいし、曇ってしまっても雲海みたいで、『神様がいるんじゃないかな』というくらいの場所だった」と東北の大自然にも魅了された。自然に囲まれて生きるアテルイを演じるには「自由でいたいと思った」といい、「でも、実在の人物だから、万が一、自分が全然違う解釈をして芝居をしたら罰が当たるだろうなと思うし、きっとどこかで見ているんだろうなと感じた。雨なんか降るとドキッとしましたよ。あれ、どこか手抜いたかなとか、気持ち抜けてたかなとか……」と敬意を忘れることはない。

 ◇さらなる挑戦を求めて

 挑戦的な作品に出演し続けている大沢さんは「チャレンジの基準はないです」ときっぱりと語る。「基準を作っちゃうと都合のいいチャレンジになっちゃう。来た瞬間に『困ったなあ、これ』というのがあるじゃないですか。仕事をいただいて初めて気づくことなので。そうしないと、お客さんも20年近く僕の顔見ていいかげん飽きていると思うので、『これでだめですか?』という新しい提案をどんどんしていかないと。もっと自分で自分のいろんな土台を壊していかないと、ファンや見てくれる人に見捨てられるから頑張らないといけないなとシンプルに思う。それが挑戦という感じですね」と力説する。

 13年には「アテルイ伝」を皮切りに、26日からは映画「ストロベリーナイト」、4月には映画「藁の楯」と12年に撮影した作品が次々と放送、公開される。大沢さんは「11年はほとんど遊んでたから、12年は仕事しなきゃまずいなと思ってて、一生懸命仕事してました」と冗談めかしながら、13年は「休む年にはしないつもり。本当にまた、よりもっとチャレンジできるもの、ドキュメンタリーでもドラマでも映画でもいいんですけど、そこを探し求めてやっていく以外にはないですよね」とさらなる挑戦を求めていた。

 ドラマ「アテルイ伝」には大沢さんのほか、北村一輝さん、内田有紀さん、石黒賢さん、高梨臨さん、大杉漣さんらも出演。BSプレミアムで11日から毎週金曜午後8時に放送。全4回。NHK総合では、同3月に全2回の再編集版を放送する予定。

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